東武野田線は、埼玉県さいたま市の大宮駅と千葉県船橋市の船橋駅までの間を、柏市の柏駅を経由して走行する路線です。全線開通は昭和5年(1930年)。現在は全長62.7kmで35駅を結び、東武鉄道の路線では唯一、千葉県内を通る路線として知られています。
2014年4月より「東武アーバンパークライン」の愛称がつけられており、旅客案内ではこの名称で統一。「アーバンパークライン」というネーミングは、都市間を結んでいることと、大型の公園に多数恵まれていることが由来となっています。
埼玉県南東部から千葉県北西部にかけて東京30km圏内の東半分を結んでおり、全線区域が東京近郊のベッドタウンに含まれる通勤利用の多い路線です。東武野田線の中でも、大宮駅・春日部駅・流山おおたかの森駅・柏駅・新鎌ケ谷駅・船橋駅が通勤・通学時の主な乗換の中心的な駅となっています。
現在こそ通勤の足となっていますが、開設当初は野田から柏まで醤油を運ぶ貨物輸送として設置されました。途中駅である柏駅にスイッチバックがあるのには、こうした歴史的な背景が理由となっています。
都心部からのアクセスが良好な大宮駅周辺エリア
大宮駅には、JR東日本・東武鉄道・埼玉新都市交通が乗り入れています。新幹線だけでも東北新幹線・山形新幹線・秋田新幹線・上越新幹線・北陸新幹線が運行している、日本有数の巨大ターミナル駅です。
大宮駅から大宮公園駅は3~4分程度の近距離となっており、大宮の巨大な商圏に含まれています。2022年には大宮駅前に大型複合施設が開業するなど、さらなる発展が見込まれます。大型商業施設が林立する一方で、「大宮すずらん通り」といったレトロな商店街も人気です。
大宮公園駅にはその名称となった「大宮公園」「大宮氷川神社」などのスポットが多数あり、商業・自然・文化のバランスがとれたエリアでファミリー層にも人気が高くなっています。
大宮駅2km圏内の人口は約12.3万人、昼間人口は約17.7万人。1人世帯割合は約38%で、30代比率が最大。昼間人口の方が多いため、出店の際には、周辺から通勤する層もターゲットにできます。
近代的な街とレトロ感が同居しており、おしゃれな現代風の店舗から、親しみやすい家庭的な店舗まで検討の余地は広い場所と言えるでしょう。自然豊かな環境も、居心地の良さをアピールできる好材料です。
このエリア周辺のランドマークには、「ソニックシティ」「さいたま市宇宙劇場」「鉄道博物館」「大宮公園」「さいたま市大宮盆栽美術館」などがあります。
子育て世代の人気急上昇!流山おおたかの森駅周辺
流山おおたかの森駅周辺では、30~40歳代の子育て世帯が増加中です。つくばエクスプレスの開通以後、流山市が「都心から一番近い森の街」を掲げてファミリー層に積極的にアピールした成果が見えてきています。
現在も独自の子育て支援制度や共稼ぎ世帯が活用したい子育てサービスなどを展開しており、一層の発展が見込まれます。マンションの建設、住宅地開発が進行する中、ショッピングセンターをはじめとする商業施設が次々とオープンしており、今後もさらに若い世代の流入が期待できそうです。
若いファミリー層が増加という背景から、感度の高いママ世代にアピールする店づくりに商機が感じられます。
流山市の人口状況を見ると、10年間で人口が約3.5万人増。年齢別人口では35~39歳代の人口のボリュームが最も多く増えています。また4歳以下の子どもの数も増加しており、合計特殊出生率は全国平均よりも高く、千葉県では1位となっています。
このエリアの主なランドマークとしては、「流山おおたかの森S・C」などがあります。
歴史的魅力と利便性に富んだ、鎌ケ谷駅~船橋駅エリア
鎌ケ谷駅から船橋駅までは、およそ10分の近距離にあります。このエリアの特徴は、東京都心部・成田空港いずれへもアクセスが良好であることです。東京の中心部から電車で30分以内という好立地にあり、どこへ行くにも動きやすい環境にあります。船橋市内には9つの路線と35の駅があり交通の要所となっています。
一方で、旧石器時代の遺跡も多数発掘、江戸時代には宿場町として栄えたという文化的な背景にも恵まれています。現在の新鎌ケ谷駅周辺は近年大型商業施設の進出が見られ、さらなる発展が期待されるスポットです。
このエリアのランドマークには、「ふなばしアンデルセン公園」「鎌ケ谷大仏」などがあります。
船橋駅がある船橋市は、千葉市に次いで、県内第2位の人口規模を誇ります。「ららぽーとTOKYO-BAY」「IKEA Tokyo-Bay」「東武百貨店 船橋店」「津田沼パルコ」などの、大型商業施設が充実しています。
船橋市の平均年齢は約44歳で、令和に入ってからも人口の微増が続いています。生産年齢人口(15~64歳) の割合63.3% 、高齢者の割合は24.0%です。
出店の環境としては交通の利便性に加え、周辺からは新鮮な食材の調達ができるという利点があります。自然と交通環境の良さ、文化と商業などバランスに優れた土地柄を活用し、健康志向や自然志向などのこの地ならではの特有の店づくりが成功のカギとなりそうです。
住み良さで人気が高まる東武野田線沿線エリア
東武野田線沿線は、これまで首都圏の「田舎」というイメージを持たれがちでした。現在でも美しい自然や豊かな産物に恵まれていることには変わりありませんが、その暮らしやすさが注目され人口の増えている地域が多く見られます。課題であった複線化も徐々に進行しており、さらなる発展に期待がかかります。多様な土地柄の中から、自分の作りたい店にマッチするエリアを見つけてみてはいかがでしょうか。