京急空港線は、東京都大田区の京急蒲田駅と羽田空港第1・第2ターミナル駅を結ぶ路線で、大田区内を東西に走行する東京国際空港(羽田空港)への空港アクセス路線となっています。
停車駅は京急蒲田駅、糀谷駅、大鳥居駅、穴守稲荷駅、天空橋駅、羽田空港第3ターミナル駅、羽田空港第1・第2ターミナル駅の7つ。
京急による空港路線戦略の要の路線であり、横浜駅、逗子・葉山駅方面や成田国際空港への直通電車も設定されているほか、品川駅方面と羽田空港駅を結ぶ快特の大幅な増便がなされています。空港への交通機関といえばかつてはモノレールでしたが、利便性の高さを見せていてその地位を脅かす存在です。
京急空港線の所要時間は全線でも10分前後。横浜駅方面と羽田空港間を直通運転する電車の運行を可能としています。
路線が走行するのは、東京23区内で最大の面積を有する大田区。沿線エリアは川や海、緑など自然が豊かでありながら、商業地区、物流・工業地区など多彩な機能を有する土地柄です。生活環境が良く、住みやすいことでも高評価を得るなど、空港へのアクセス以外の面でも注目されます。
空へも都心へもアクセス便利な、天空橋駅~大鳥居駅周辺
天空橋駅は羽田空港に隣接し、東京モノレールと2路線が乗り入れています。京急線の一日の乗降客数は約19,000人、モノレールは約11,500人と多くの利用がある駅です。
モノレール利用ではJR山手線・東京メトロ・りんかい線・京浜東北線の利用が便利、京急利用では新幹線の利用や神奈川方面へのアクセスが容易と、路線を使い分けることで利便性が増します。
天空橋駅周辺には飲食店がほとんどありませんが、近隣の2駅は20分程度の徒歩圏内にあります。両駅には外食スポットやコンビニ、昔ながらの商店街や24時間営業のスーパーなどが多数あり、また生活に利便な施設、図書館など公共施設が充実しています。
天空橋駅〜大鳥居駅間は徒歩で移動する人も多いため、一つのまとまったエリアと見ても問題はありません。
大鳥居駅、穴守稲荷駅周辺では多種多様な飲食店が立ち並び、チェーン店・個人店いずれの業態も多数。どのような形態でもライバル店の存在は避けられませんが、逆に見ればどのような店舗計画も可能ということになります。
駅の近くであれば、乗降客であるサラリーマン向けの店が想定できます。一方でマンションが多く立ち並ぶエリアでもあり、また下町的要素もある住宅エリアも広がっているためファミリー向けの店にも商機が見えます。
同エリアのランドマークには、「羽田空港天空橋船着場」があります。
再開発で生活環境の整備が進む、糀谷駅周辺
糀谷駅南側を流れる多摩川を渡れば川崎市。京急蒲田駅までは、約2分の徒歩圏内にあります。糀谷駅周辺には独特の雰囲気があり、「糀谷商店街」「おいで通り糀谷商店街」など地域密着の店が並ぶ活気のある街です。
商店街を挙げてのお祭りもあり、下町の親しみある空気が漂います。駅から徒歩5分圏内には、数十件もの飲食店が立ち並ぶ密集地です。
「萩中神社」「東官守稲荷神社」は江戸後期から人々が参拝し、今も多くの人が四季折々に訪れます。
糀谷駅2km圏内人口は約21.8万人、65歳以上人口比率は約20%。20~39歳の割合が高く、また、1人世帯率は約半数に迫ります。
人とのつながりの感じられる下町エリアであり、若い人からも居住地として好まれています。出店に際しては地域性を考慮し、親しみやすい店づくりがおすすめ。単身率が高く、若い層が多いためボリュームのあるメニュー提供も併せて考えたいところです。
“蒲田要塞”とも呼ばれる、京急蒲田駅周辺
京急蒲田駅には、京浜急行電鉄の本線と空港線が停車します。1日の平均乗降者数は5万9000人弱で、京急空港線の駅では1位にランク。品川駅まで快速特急8分、羽田空港国内線ターミナルまで8分と、都心にも空の便にも近い駅となっています。
京急蒲田駅直結の「あすとウィズ」、「ウィングキッチン」、JR蒲田駅直結の「東急プラザ蒲田」など大型商業施設が充実。さらに駅周辺にも飲食店が集結し、多国籍料理、和食、中華など話題の人気店が並びます。
駅周辺にはスーパーが6軒、コンビニエンスストア21軒、ドラッグストア4軒と、生活者にも便利。駅のそばには呑川が流れ、「夫婦橘親水公園」「仲蒲田公園」などリラックスできる空間も身近にある好環境のエリアです。
京急蒲田駅の2km圏内人口は約26.6万人、65歳以上人口比率は約20%。20~39歳人口割合が高く、1人世帯率は約50.7%です。
駅周辺人口が多いため、居住者層をターゲットとした展開も十分に可能。特に単身率が高く、若い層が多い点が注目されます。居住者向けの夕食メニューや夜の飲み系ニーズをつかめれば、成功に近づきます。一方で駅西側には閑静な住宅地も多く、ファミリー層をターゲットにした店づくりにも期待が持てます。
また、乗降客数が多く、JRからの乗り換えがある駅であることも考慮すれば、駅周辺の乗降・買い物客をターゲットとするランチ需要という方向性も。
立地の選択次第で、さまざまな可能性があるエリアといえるでしょう。
同エリアのランドマークには、「蒲田八幡神社」「ゆ〜シティ蒲田」「アロマスクエア」などがあります。
空港行きだけじゃない京急空港線沿線の魅力
京急空港線はターミナルへの乗り入れによって、今やモノレールをしのぐ存在となりました。6.5kmと短い距離ながら、沿線には多彩な風景が広がります。各駅は都心や神奈川方面への利便性が高い一方で、下町情緒を残していたり自然が間近に感じられたりするエリアもあります。比較的若い層から居住地としての支持があるため、ターゲット層をさらに多角的に考えていけそうです。