東京メトロ東西線は、中野~日本橋~葛西・浦安~西船橋を結ぶ地下路線です。首都圏に数ある地下鉄の中でも乗車数がもっとも多く、東京メトロ最大の輸送量を誇ります。
その数は1日平均145万人。利用者の7割が会社員で、30~40代と働き盛りの割合が高いことが特徴です。また、男性61.2%に対し、女性が38.8%とやや低めとなっています。過去には最高乗車率が199%だったこともあり、混雑ぶりでも群を抜いています。利用者の傾向としては沿線在住者が多いため、出店に際しても東西線沿線の人口に注目したいところです。
東京メトロ東西線の開設当初は、総武線の混雑緩和策としてのバイパス的役割でしたが、日本橋と西船橋間を20分で結ぶ快速により、船橋、津田沼地域の住宅開発を促進するに至ります。東西線の開通で住宅地化が進んだ結果、ベッドタウンの形成に一役を担うこととなったのです。
東京メトロ東西線は、千葉方面から都心へ出るのに非常に利便性が高く、加えてターミナル駅である大手町駅を拠点に多方面への移動が可能です。居住地から企業や学校への足として、首都圏の動脈的位置づけにあるといえます。出店候補としては混雑路線上位で、住宅地エリアに属する駅が多いため、東京メトロ東西線には最適なエリアが多数存在することが考えられます。
それぞれ異なる特徴の中野駅・早稲田駅・神楽坂駅周辺
中野駅周辺は、サブカルチャーの街として全国的に有名なエリアです。また、衣・食・住のバランスが良く住みやすいことでも人気があります。中野駅や落合駅は、駅から少し離れると古い文化の残る閑静な住宅街が広がっているのが特徴です。
高田馬場駅・早稲田駅周辺は学生や若いサラリーマンの楽しめる場所が多く、20代を中心ににぎわいます。集まる属性を反映して、安価な飲食店が人気となっています。一方、大学と反対側は意外なほど静かな街並みです。学生街のイメージとは真逆の、渋さを押し出したコンセプトで出店をねらうという手もあります。
神楽坂駅は、名店が多いことで知られる美食の街です。規制があるため高層の建物がなく、独特の雰囲気が保たれています。老舗高級店が多数存在しており、客層もハイクラス。店のコンセプトにもよりますが、出店へのハードルは高めと考えられます。
皇居近く九段下・大手町・日本橋駅周辺エリア
九段下駅周辺には、靖国神社、千鳥ヶ淵など、都内有数の観光スポットがあります。皇居が近く、国の大きな施設が数多く存在するエリアです。
ビジネスの中心地として近代的なオフィスがひしめく大手町・日本橋駅周辺は、古くから金融・経済の中心として栄えてきました。「三越」「高島屋」「コレド室町」など、伝統と近代が融合した大型商業施設が多数見られます。
茅場町駅周辺には証券取引所があるため、金融系のビジネスマンの利用者が多いエリアです。居住者が少なく、昼と夜の人口差が大きいことが特徴です。
下町情緒の残るエリアから首都圏の休日スポットまで
門前仲町駅から木場駅、東陽町駅界隈には、下町情緒が残る場所が多く見られます。大小さまざまな企業や商店が混在し、活気のあるエリアです。
葛西駅から浦安駅には、「葛西臨海公園」や「ディズニーランド」など平日・休日ともに多くの人でにぎわう人気スポットがあります。また、新鮮な魚介でも人気の高いエリアで、遊びだけではなく、食を楽しみに訪れる人もいます。大型テーマパークがあるだけに、集客は期待できますが、立地によっては素通りされがちとなる可能性もあります。
妙典駅周辺には大型ショッピングセンターもあり、ベッドタウンとして適度なサイズ感のあるエリアとなっています。ファミリー層が多く居住しているので、子ども向けの店舗もねらい目です。
西船橋駅は都心に向かう利用者のターミナル駅であるため、乗降客数の多いのがメリットです。「行田公園」「ふなばし三番瀬海浜公園」「ふなばしアンデルセン公園」など、自然豊かで伸び伸びと過ごせる公園に恵まれています。
西船橋駅周辺の商業施設には、「ペリエ西船橋」「西船橋メトロピア」などがあります。また生活圏内に「ららぽーとTOKYO-BAY」「IKEA Tokyo-Bay」といった、首都圏からも買い物客が訪れる大型商業施設があります。居住者の層も広く、さまざまなコンセプトの出店計画に対応できるエリアです。
まとめ:エリアごとに異なる魅力を持つ東西線
まさに日本一混む電車といっても過言ではない、東京メトロ東西線。沿線に住む人が多く利用していることからも、各駅の魅力が伝わります。特徴的なのは、そのバラエティに富んだエリア色。首都圏といって思い浮かべる要素が、すべてがそろっています。魅力あふれる駅ばかりなので出店場所を選ぶのに悩みますが、エリアの個性と店舗のコンセプトを良く比較検討して、ニーズに合った立地を考えることが大切です。