JR常磐線は、東京から仙台を結ぶ路線です。東京の日暮里・北千住、千葉県の松戸・柏、茨城県の水戸、福島県のいわき・相馬といった駅を経由し、東北の拠点である仙台を終点とします。太平洋沿岸地域を経由して結ぶ路線として知られていますが、千葉県から東京への通勤電車としての利用が多い路線でもあります。
特に朝の通勤時の快速は非常に混雑し、もっとも乗車率が高いのは松戸~北千住の区間です。上野をのぞいた乗降客数のランキングでは、北千住、柏、日暮里、次いで松戸の順で、首都のベッドタウン的エリアからの通勤客が多いことがわかります。
2015年の上野東京ライン開業により、上野駅止まりであった常磐線が東京駅・品川駅まで直通運転となりました。利便性が向上し、乗り換えの手間や混雑が軽減されています。
上野直結で東京各所に出やすく、沿線の家賃・物価が比較的安いことから居住地としても人気の高いエリアです。また、再開発の対象となっているエリアも多く、さらなる住みやすさの向上が期待されており、子育て世代から支持されています。
日暮里・北千住は路線の接続多数
下町情緒が漂う日暮里・北千住駅周辺は、近年路線の接続数が増えたことで利便性が増す、注目のエリアです。
▶︎ 日暮里駅:
山手線・京浜東北線・京成本線・日暮里・舎人ライナーと接続
▶︎ 北千住:
東武スイカツリーライン、アキバエクスプレス、地下鉄日比谷線、千代田線と接続
日暮里、北千住は常磐線の中で、いずれも乗降客数上位にランク付けされています。
日暮里駅から2km圏内の居住者は30~39歳人口が多く、駅周辺にはエキュート日暮里・日暮里繊維街などの商業施設が数多くあります。
また、上野や谷中など下町観光エリアの一角であり、駅から徒歩圏内には大型商業施設から昔懐かしい風情の商店街まで、多彩な店舗で充実しています。
北千住から2 km圏内の居住者も30~39歳人口が多く、「穴場だと思う街(駅)ランキング」の上位にあがっています。北千住は古くから交通の要所として栄えた街で、旧日光街道の本陣跡といった歴史的なスポットがある点も魅力の一つです。
近年は東京芸術大学、東京未来大学、帝京科学大学、東京電機大学が東京千住キャンパスを新設し、街を歩く学生が増えています。下町と近代的な商業施設が融合するエリアとして、多様な店舗計画が考えられます。
居住性と利便性が両立 綾瀬・亀有・松戸駅周辺
大型商業施設も豊富で、ファミリータウンとして人気の高い千葉県エリア。地元で愛される店づくりを目指しているのならば、最適な土地柄です。
綾瀬駅周辺には、再開発により近代的になったエリアと昭和の雰囲気が残るエリアが両立し、独特の空気をもたらしています。「東京武道館」「ハト公園」「東綾瀬公園」など、人が集まるスポットがあり、イベントも多数開催されます。スーパーが多く日常生活に困らない、都心に出やすいなどで幅広い層から人気です。
人気漫画で有名な亀有は、古くからの商店街や大型ショッピング施設など、買い物環境に恵まれています。忙しい子育て世代を中心に、ファミリー人気の高いエリアです。
松戸駅は、千葉県では2番目の乗降客数を誇ります。周辺の商業施設は、アトレ松戸、ピアザ松戸、プラーレ松戸、KITE MITE MATSUDO(キテミテマツド)などがあります。上野東京ライン・新京成線も乗り入れており、東京駅までは乗り換えなしで30分の通勤の利便性の良さが魅力。松戸市の平均年齢は44.26才、年齢別分布では45~55歳、70~75歳が多く、落ち着いた雰囲気の街が形成されています。
子育て世代からの支持が高い柏・我孫子・天王台駅周辺
千葉県の中でも住みやすく、ファミリー世帯からの支持が高い柏市。大型商業施設が多い一方で、緑豊かな自然にも恵まれています。快速が止まるため、乗換なしで都心に出られる点も好評。主な大型商業施設としては柏モディ、柏高島屋ステーションモール、スカイプラザ柏、ららぽーと柏の葉などがあります。中でも高島屋は駅直結で、多くの集客が見込めます。柏市の平均年齢は44.9歳。働き盛りの世代をターゲットとする業態に、勝機がありそうです。
我孫子駅周辺は、柏市のベッドタウン的な存在です。快速も止まりますが、千代田線直通は各駅停車。繁華街、商業施設は多くありませんが、イトーヨーカドーと60の専門店が入るあびこショッピングプラザが暮らしを支えています。手賀沼や大小の公園があり、自然が身近に感じられます。
天王台駅周辺は田園が残る、穏やかな雰囲気のエリアです。大型商業施設はありませんが、駅の北側には生活用品がそろうスーパーや薬局が見られます。駅前にはシュラスコレストランや、和食、イタリアンダイニングなどがあり、地元の外食ニーズに対応しています。都内までは1時間程度で、上野まで乗り換えなしという良好なアクセス状況。ニーズがありながら出店数がまだ少ないタイプの、家族連れでも使える雰囲気の良い店、おしゃれなレストランカフェなどで、出店計画を考える余地が感じられます。
まとめ:ファミリー世代が狙い目のJR常磐線沿線
JR常磐線沿線は、下町の魅力と閑静な住宅街が折り重なるエリア。総体的にファミリー層に人気が高いですが、複数の路線が乗り入れている駅も多く、若い年代が暮らしている駅も。駅前に店が少ないという声が聞かれるので、上手に出店場所を選んでいけば、そうしたニーズをすくい上げることができそうです。