都営新宿線の開業は1978(昭和53)年12月21日。当初は「岩本町」から「東大島」まで走行していました。現在の都営新宿線は、東京の新宿から千葉県市川市の本八幡駅まで東西に走る路線です。
新宿からは京王電鉄と相互直通運転しており、新線新宿駅から笹塚駅までをつないでいます。JR本八幡駅との接続の関係で、都営地下鉄としては唯一越境している路線としても知られています。
中央線や千代田線などの駅と近接している駅が多く、東京の路線としては混雑度が比較的低いため、通勤ラッシュを避けたい人の利用も多くなっています。それでも都営地下鉄の中では2番目に利用者数が多い路線であり、1日あたり約80万人の利用があります。
一日平均乗降人員が最も多いのは新宿駅、次いで神保町駅、馬喰横山駅、九段下駅などです。都心を貫いているため、各交通機関との接続が多く利便性が高い路線です。特に新宿は京王線・小田原線・大江戸線・山手線・埼京線・湘南新宿ライン・中央線快速・中央総武線各駅停車と接続。他にも乗り換えに便利な駅が多数あります。
また、比較的歴史のある路線のため、新線のように地下深くに位置しておらず、乗り換えが楽なことも特徴です。
東京の副都心「新宿」界隈は、多様な層が集結!
新線新宿駅から初台駅までは約2分、笹塚駅まで約5分の近さにあります。新宿駅・新宿三丁目駅周辺にはビジネス・商業施設が多数集まっています。特に、新宿駅周辺はあらゆる分野のショッピングが楽しめ、グルメの発信地でもあります。非常に競争が厳しいエリアの一つですが、集客には不安がありません。格安店から高級志向の店までジャンルは幅広く、十分なマーケティングとコンセプトの精査が重要となりそうです。
新宿駅西口方面はビジネスマン、駅周辺は買い物客や若者、周辺には専門学校や語学学校も多数あるため学生もターゲットにできます。昼間は買い物客・ランチ需要、夕方からは若年層が集まるエリアであるため、立地や時間帯によるターゲット層の変化に注意が必要です。
初台駅周辺は、新宿から近距離で便利な立地にあります。新宿駅周辺とはうってかわって落ち着いた雰囲気で、コンセプト次第では穴場となる可能性も。古典芸能などの文化施設や観光スポットと多彩な環境にあり、施設に訪れる層やファミリー向け、居住者向けなど新宿駅界隈とは異なるタイプでの出店も検討の余地があります。
初台駅周辺の居住者情報は、2km圏内の総人口が約18万人、昼間人口は約57万人となっています。30~39歳人口が特に多いのが特徴的で、1人世帯数の割合が高いことから働く単身者が多いと予測されます。
同エリア内の主なランドマークとしては、「オペラシティ」「新国立劇場」「明治神宮」「東京都庁」「伊勢丹新宿店」「高島屋新宿店」「ルミネ新宿」「新宿サザンテラス」「京王百貨店」「小田急百貨店」など、多種多様です。
ビジネス・文化・緑豊かな自然まで。曙橋から浜町エリア
曙橋駅、市ヶ谷駅、九段下駅周辺は、ビジネス街や公的な機関・施設が多く見られます。各路線の駅が集結しており、徒歩圏内でさまざまな交通機関が選択できることから、人が多く移動し交差するエリアです。
曙橋には予約の取れない有名店が多く、グルメスポットとしても知られています。神保町は古書街で有名な地で、全国から愛好家が訪れます。
日本橋馬喰町と日本橋横山町を統合して誕生した馬喰横山は、古くから繊維製品の問屋街と馬の売買で栄えた街です。最近は路線の利便性の良さが見直され、カフェ・レストラン、ギャラリー・雑貨店など若者来訪の誘因となる店舗も増えてきています。
日本橋界隈の一角を担う浜町では、銭湯や豆腐・魚の小売店が今も健在。古き良き時代の雰囲気が残るエリアです。緑豊かな自然を感じられる公園もあり、首都中心部とは異なる魅力に恵まれています。
浜町駅周辺の居住者情報は駅から2km圏内の人口が約18.6万人、昼間人口は約84.8万人となっています。30~49歳人口比率が高く、働き盛りの層が多く居住しています。
近年は、再開発ビル「トルナーレ日本橋浜町」でのマルシェが人気を集めています。中央区最大の公園もあることから、若い世代やファミリー層の集客も見込め、出店環境としては良好です。森下、菊川周辺は昔ながらの住宅街も多く、また団地やアパートには子育て世代が入居しています。繁華街とは異なる店舗計画で成功できる可能性があります。
同エリア内の主なランドマークには、「靖国神社」「日本武道館」「古書店街」「浜町公園」「東京都現代美術館」「トルナーレ日本橋浜町」などがあります。
江戸川区から千葉県につながるエリアは子育て世代に人気
一之江駅、瑞江駅、篠崎駅周辺には、再開発による住宅街が広がっています。学校・教育施設が多数存在し、子育て世代から人気のエリアです。周囲は道路環境が整備され、新築のマンション・アパートが目立ちます。また、大小の公園が配置され、のびのびとした環境です。飲食店の出店については主にチェーン店が多いため、独自性をもった店舗に勝機が期待できます。
篠崎駅周辺の居住者情報は、駅から2km圏内の人口が約15万人、昼間人口は約9万人とベッドタウン的な傾向にあります。30~49歳の人口が多く、1人世帯数の割合が約35%と東京都の他エリアと比較してもかなり低めです。ファミリー世帯が多いと考えられるため、ターゲット層を決める際の参考となるでしょう。
本八幡駅周辺は、3路線が使えて利便性が高いエリアです。成田・羽田両空港への直通便もあり、都心や国内外への移動にも便利です。市川市の市政の中心地であるため、各種施設が集結しているエリアでもあります。
古くから庶民に親しまれている地元の商店街があり、さらに作家や詩人に愛されてきた老舗店も健在。独特の雰囲気をもつエリアなので、多様な店舗計画への可能性がふくらみます。
市川市の人口状況は、年齢別人口構成では40歳代前半が最も多くなっています。30~40歳代を中心に、女性よりも男性がやや多い傾向にあります。行政の活躍により、出生率は回復傾向。今後の発展が期待されます。
同エリア内のランドマークには、「東部フレンドホール」「ラパーク瑞江」「都立篠崎公園」「篠崎ポニーランド」「ニッケコルトンプラザ」「シャポー本八幡」「パティオ本八幡」など、遊びのスポットが多数あります。
まとめ:都営新宿線は巨大ターミナル駅から静かな住宅地までバラエティ豊か
都営新宿線は、ビジネスと商業の集積地新宿から東京23区を抜けて千葉県市川市まで走ります。途中にはさまざまな表情をもつ街が広がり、各駅周辺エリアにはそれぞれに異なる集客のチャンスが眠っています。出店計画にあたっては、すでに良く知られた駅だけでなく、秘められた魅力をもつエリアにも目を向けることが大切。目指す店舗に見合う条件から、土地の特性に注目していきましょう。利便性の高い都営新宿線のメリットを、十分に活かした出店計画を立てていきたいものです。