ニュース・特集

飲食店を開業するための6ステップ|開業準備から補助金制度まで徹底解説

画像

独立や開業を目指す際に、飲食店を選ぶ人が多くいます。日々多くの飲食店がオープンするなかで、スタートで躓かないためにも、事前準備からオープンまでの手順をしっかり確認し、ポイントを抑えておくことが大事です。
 
この記事では、飲食店を初めて開業する人向けに、開業に必要な手順やポイント、活用できる補助金制度などについて詳しく解説します。
 


 

◆飲食店の開業は1人でもできる?

飲食店の開業は、1人でも回せるキャパシティーの店舗であれば、1人でも可能です。10~15坪ほどの小さな規模で、飲食店を経営している事業者も少なくありません。1人であれば人件費がかからず、その分開業時にかかる費用面のリスクが軽減されます。
 
しかし、1人で飲食店を開業すると、調理、接客、会計など多くの業務を全て1人でこなす必要があり、常に忙しくなりがちです。広い店舗を借りる場合や、1人では業務を回しきれずに十分なパフォーマンスが発揮できない場合は、人を雇うことも考える必要があります。
 

◆飲食店の開業手順と準備に必要な期間

飲食店の開業には、準備からオープンまで半年程度かかるでしょう。早めに開業準備を進めたい場合は、居抜き物件を活用するなど、工夫次第で2~3か月程度での開業も目指せます。飲食店の開業手順は以下の通りです。
 
1.コンセプト設計
2.事業計画
3.物件選び
4.資金調達
5.資格の取得
6.届け出の提出
 
それぞれの手順ごとの進め方やポイントについては、次項以降で解説します。
 

◆飲食店開業ステップ1:コンセプト設計

飲食店の開業は、コンセプト設計から始めることが大事です。飲食店のコンセプト設計では、「どんな店で」「どのようなメニューで」「どんなターゲット層を狙って」「どんなサービスを提供するのか」や、それに合わせた価格設定などを決めます。
 
できるだけ細かく具体的にコンセプトを決めると、開業準備がしやすくなるでしょう。新規顧客に興味を持ってもらえて、来店したいと思ってもらえるようなコンセプト作りが必要です。
 
関連記事:目指せ!繁盛店!「どんなお店にしたいか、何をどう売るのか」飲食店のコンセプトの決め方とは
 

◆飲食店開業ステップ2:事業計画を策定

コンセプト設計ができたら、次は事業計画の策定です。事業計画では、事業内容を考え、雇用計画や資金計画、収支計画などをまとめます。飲食店を開業するにあたって必要な資金の把握や、事業内容の課題整理などに役立つでしょう。
 
また、資金調達の際に金融機関からの融資や補助金などの利用を考えている場合には、具体的な事業計画が必要となるケースがあります。将来性が見込める、現実味のある事業計画を立てておきましょう。
 
関連記事:飲食店の事業計画書の書き方 テンプレートの入手方法や作成のポイントなども解説
 

◆飲食店開業ステップ3:物件選び

飲食店を開業するためには、コンセプトに合った物件選びが重要です。選ぶ物件によって、飲食店の売り上げは左右されます。ここからは、飲食店の物件選びで注意したいポイントについて解説するため、ぜひ参考にしてください。
 

◇物件の種類を決める

飲食店の店舗として借りる物件は、居抜き物件とスケルトン物件の2種類があります。下記を参考に、それぞれの特徴とメリットデメリットを理解し、開業コンセプトに合う方を探すとよいでしょう。
 
居抜き物件
・前にその物件を使っていた店舗の内装や設備をそのまま引き継ぐ
・不動産では「造作譲渡物件」とも呼ばれる
〇メリット
・内装費や設備費を削減できる
・開業準備期間が短くなる
・多く出回っている
〇デメリット
・設備の整備が必要になる
・レイアウトを自由に変更しにくい
 
スケルトン物件
・内装や設備はなく構造躯体のみ
〇メリット
・自分の好きな内装や設備で始められる
・設備を管理しやすい
〇デメリット
・工費がかかる
・開業に時間がかかる
・退去する場合に原状回復が必要になる
 

◇条件に合う物件を探す

コンセプトに沿う物件の条件を考え、当てはまる物件を探します。特に、駅までの距離、オフィス街かどうか、周囲に飲食店はあるのかなどの立地条件は大事です。コンセプトに合うターゲット層を狙える場所なのかを考えましょう。また、コンセプトに合う店づくりをするために、坪数は適しているか、家賃は予算内に収まるかなども条件として重要です。
 

◇内装や外装を考える

物件を探す際には、同時に内装や外装についても考えておきましょう。希望する内装や外装が、物件によっては出来ない場合もあります。内装や外装をコンセプトに合ったものにするためには、希望通りに施工できる物件を探さなければなりません。物件を内見する際には、施工業者と一緒にいき、希望通りに施工可能か確認しましょう。
 
関連記事:飲食店の内装工事はいくらかかる?坪単価は?費用を安く抑える選択とは
関連記事:飲食店の内装工事にはどんな種類がある?手順と気をつけるべきポイント
 

◆飲食店開業ステップ4:資金調達

飲食店の開業には、十分な資金が必要です。事業計画を立て、物件が決まると大体どのくらいの費用が必要になるか把握できるため、次は資金調達を行います。
 
ここからは、飲食店の開業費用の目安と、資金調達方法について解説します。
 
関連記事:飲食店開業にかかる資金とは 「当初の計算よりお金がかかった!」
 

◇飲食店の開業に必要な費用

飲食店の開業資金は、500万円~1,000万円程度が目安です。主に、物件や内外装費用によって差が出ます。具体的な費用の内容は、以下の3種類が基本です。
 
・物件契約費:敷金、保証金、仲介手数料など
・店舗の設備費:内外装費、備品・厨房費用、販促費用など
・初期の運転費:赤字の場合の人件費や家賃、光熱費、材料費などの資金
 

◇資金調達の方法

飲食店の開業であっても、自己資金のみで開業する必要はなく、国や金融機関からの融資によって資金調達する事業者も多くいます。融資先は、日本政策金融公庫が一般的です。地方銀行や信用金庫からの借入も可能ですが、日本政策金融公庫よりも条件が厳しくなるケースが多いため、まずは日本政策金融公庫で融資を受けられるか相談してみましょう。
 
関連記事:飲食店開業に必要な資金には何がある?相場は?資金調達方法は?
 

◆飲食店開業ステップ5:必要な資格の取得

飲食店の開業には、いくつか必要な資格があります。以下では、開業までに取得が必要な資格について解説します。
 
関連記事:飲食店経営には資格が必要?取得の方法と手続きについて解説
 

◇食品衛生責任者の取得

食品衛生責任者は、飲食店の開業には必須の資格で、最低1人は取得しておく必要があります。受講料は1万円程で、各都道府県が実施する講習会を受講し、試験に合格すれば取得可能です。調理師や栄養士の資格を取得している場合は、講座の受講ならびに試験は不要で取得できます。また、一度取得しておけば、他の都道府県でも食品衛生責任者の資格を取得できるようになります。
 
関連記事:食品衛生責任者の資格を取るには?費用や試験、申し込み方法について解説します
 

◇防火管理者の取得

開業する店舗の収容人数が30名以上(従業員も含む)の場合、防火管理者の取得が必要です。消防署が実施する防火管理講習が1~2日間あり、受講すると取得できます。受講料は3,000円~8,000円程度です。店舗の広さに応じて2種類あるため、物件に合う方を取得しましょう。
 
関連記事:飲食店開業における防火管理者について知ろう!必要な場合は?資格の取得方法は?
 

◇調理師免許は必須ではない

飲食店とはいえ、調理師免許の取得は必須ではありません。調理師免許を取得していれば、食品衛生責任者の取得が簡単になりますが、取得条件として飲食店での調理経験が2年以上必要なので、経験がないと取得できません。
 
関連記事:飲食店開業には調理師の免許は必要?調理師免許について考えよう!
 

◆飲食店開業ステップ6:各種届け出の提出

飲食店を開業するには、各種届け出も必要です。ここからは、飲食店に必要な届け出について詳しく解説します。
 
関連記事:飲食店の開業で必要な届出・手続きとは 開業届や保健所・消防署・警察署への各届出も解説

 

◇所轄する税務署に開業届を提出する

飲食店を開業する場合、店舗がある所在地を所轄する税務署に、開業届を提出する義務があります。開業届は、開業日から1か月以内の提出が必要です。フォーマットは、税務署または国税庁のサイトから取得できるため、必要事項を入力し提出しましょう。
 

◇管轄の保健所に飲食店営業許可を申請する

飲食店は、あらかじめ保健所に営業許可を得る必要があります。営業許可は、店舗所在地を管轄する保健所に申請し、検査に合格するともらえます。申請する前に、食品衛生責任者の資格取得が必要です。営業許可を申請して許可が出るまでには、2~3週間かかるため、オープン日に間に合うように早めに準備しておきましょう。
 
関連記事:飲食店の開業には保健所の営業許可が必要!営業許可をとるための要件や手続きの流れをご紹介
 

◇管轄消防署へ必要な届け出をする

飲食店の開業には、消防署への届け出もいくつか必要となります。まず、収容人数が30名以上の場合は、店舗の管轄消防署に「防火管理者選任届」を提出しなければなりません。また、建物や建物の一部を新たに使用する場合、開業する7日前までに「防火対象設備使用開始届」の提出が必要です。さらに、ガスコンロなどで火を使う場合は、「火を使用する設備等の設置届」も必要となるため、店舗の状況に応じて必ず提出しておきましょう。
 

◇条件によって必要となる届け出

開業する飲食店で従業員を雇用する場合、健康保険や厚生年金保険、雇用保険、労災保険などへの加入が必要となるケースがあります。雇用条件によって該当する場合は、必ず加入しておきましょう。
 
また、24時以降に酒類を提供する場合は、警察署に「深夜における酒類提供飲食店営業営業開始届出書」を提出する必要があります。さらに、お客さまへの接待がある、低照度飲食店である、ダーツなどをセットする場合などは、「風俗営業許可申請」の提出が必要となるケースもあるので、漏れないようにチェックしておきましょう。
 
関連記事:深夜酒類提供飲食店営業届が必要な要件と届出の手続きや注意点を解説
 

◆飲食店の開業に向いている人

飲食店を開業するか迷っている人のなかには、自分に向いているかどうか不安という人も多いのではないでしょうか。そこで、飲食店の開業に向いている人の特徴を解説します。
 

◇行動力や決断力のある人

行動力や決断力のある人は飲食店に向いている傾向にあります。新しいことに興味を持ってチャレンジできる行動力は、ライバル店との差別化にもつながります。お店作りはもちろん、開業後も常に選択する場面があるため、決断力の高さは不可欠です。
 

◇コミュニケーション能力のある人

コミュニケーション能力の高い人は、お客さまとの会話からお店の改善点を見つけながら、飲食店をうまく経営していける可能性があります。さらに発信力があれば、業者とのやりとりやスタッフへの指示出しも円滑にできるでしょう。
 

◇数字に強い人

飲食店の開業は、事業計画の段階から実際の店舗運営に至るまで数字を扱うため、数字に強いかどうかも大事です。特に、利益を出すためには食材原価や人件費について把握し、できるだけ無駄をなくせるように工夫しなければなりません。
 

◆飲食店が活用できる補助金制度

国や自治体ごとに実施されている補助金や助成金制度のなかには、飲食店が活用できるものもあります。各補助金・助成金の要件を確認し、当てはまるものがあれば活用しましょう。
 
【飲食店が活用できる補助金・助成金の例】
・小規模事業者持続化補助金
・創業助成金(東京都)
・IT導入補助金(POSレジなどを導入する場合)
など
 

◆まとめ

飲食店の開業は、初めてでも正しいステップで進めれば1人でも可能です。どんなお店をつくりたいかしっかりと考え、お客さまに来店してもらえるような店舗づくりを行いましょう。
 
また、飲食店の開業に詳しい不動産会社を選んで物件を選ぶことも大切です。飲食店舗の物件探しや運営、トラブル対応は特殊で、専門知識が必要な要素が多くあります。そのため、飲食店の開業に詳しい不動産会社に協力してもらう方が安心です。
 
レスタンダード株式会社は、「居抜き物件掲載トップクラス居抜き市場(いちば)」を運営している店舗専門の不動産業者で、飲食店の出退店に関して熟知しています。開業のノウハウなど、飲食店経営に役立つ幅広い情報を発信しているため、ぜひ参考にしてください。
 

 
文 飲食店開業応援マガジン[RESTA(レスタ)]編集部 Facebookはこちらから
 

「ニュース・特集」の関連記事

関連タグ

「繁盛店への道」記事の一覧