開業ノウハウ

飲食店の内装工事にはどんな種類がある?手順と気をつけるべきポイント

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飲食店を開業しようというとき、その開業資金の多くは工事費用に充てられます。そんな飲食店の内装工事について、種類や手順、注意すべきポイントなどをご紹介します。
 

内装工事―指定と負担の種類

内装工事には施工業者の指定と費用負担についての工事区分があります。施工業者を誰が指定するのか、その費用はどちらが負担するのかによって工事の呼び方が違います。内装工事を依頼するときに使われる可能性も高いので、覚えておいて損はないでしょう。
 
▷A工事
貸主が施工業者を指定し費用も負担するのがA工事です。
ビルの躯体や共用の通路や窓など、ビル本体の資産価値に関わるような部分の工事です。
また、電気、ガス、水道メーターなどの必要な設備工事においてもA工事で行われるのが一般的です。借主のいない状態のときに行われることが多く、テナントとして入居する飲食店経営者はあまり関係することはありません。
▷B工事
貸主が施工業者を指定し、借主が費用を負担するのがB工事です。
空調や電気、防災関連設備などの移設や増設を行う場合はB工事で行われる傾向にあります。
入居する側の借主は業者を選べず費用だけ負担させられるというイメージになるかもしれませんが、今後の借主が変わった場合にも継続して使われる部分や、安全のために重要な部分に関しての工事なため、致し方ないところではあります。B工事は指定業者の為、借主は費用をコントロールできないケースが多いので契約前に事前の内容、費用確認をすることをお勧めします。
▷C工事
借主が施工業者を指定し費用も負担するのがC工事です。
C工事によって施工された部分の所有権は入居者にあります。
店舗の内装やインテリア、什器設備、照明器具、通信機器などはC工事で行われるのが一般的です。工事箇所に関してはビルオーナーの承諾が必要な場合もありますが、業者も入居者が選択できるので思い通りのオーダーが可能です。減額交渉を行い納得したうえで工事契約をしてください。
 

内装工事―施工する場所と内容

飲食店を新規オープンしようとするとき、次のような場所の内装工事が必要です。それぞれの場所をぞれぞれの業者に依頼するのではなく、内装工事業者に一式を発注するのが一般的です。
 
▷電気
照明器具の取り付け場所に合わせた配線、壁のコンセントの場所など、店舗の使い方に合わせて発注する必要があります。また、エアコンや給排気のファン、大型厨房設備の専用配線も必要になることがあります。
▷ガス
厨房設備の設置場所に合わせて配管工事が必要です。
▷水道
厨房は水道設備と切っても切れない関係があります。必要な場所に水道蛇口を配置する工事をしなければなりません。また、保健所から指導のある二層シンク、グリストラップといった定められた水道周りの設備も設置する必要があります。
▷給排気
厨房のフードやダクト、店内の換気設備、トイレの換気扇の工事も必要です。焼肉店や鉄板焼店の場合はさらに重要になります。
▷空調
エアコンを設置するとき、室内機は店内の配置に合わせて考える必要があり、室外機の設置はビルオーナーに確認が必要になる場合があります。
▷インテリア
テーブルや椅子、飾りを置くための棚やショーケースなどの設置のほか、照明の取り付けも必要です。
▷厨房設備
飲食店にとって最も重要ともいえる工事です。厨房設備の設置工事はその後の効率を大きく左右するため、慎重に検討を重ねる必要があります。
 

内装工事の流れ

飲食店開業時の内装工事は一般的に次のような流れで進みます。
 
1.スケジュール策定
開店時期に合わせてスケジュールを策定していきます。一般的にはオープンの3~4カ月以上前に、内装工事会社に依頼する必要があるといわれます。開店までに店舗が完成していないと、損害を生じるリスクがあります。全体に余裕をもたせてスケジュールを組んでいきましょう。
2.コンセプト決め
店舗のコンセプトを客観的に理解されるよう具体化しておきます。ここを明確にすることにより、依頼側の意図に沿った店舗づくりをしてくれる業者を選びやすくなります。
3.見積依頼
いきなりひとつの業者に絞るのは簡単ではなく、相場がわからなくなるリスクもあります。これと思う業者を2~3社に絞り、相見積もりを依頼するのが賢明です。
各社で見積項目がバラバラの場合には比較が難しくなるため、自社で見積表を作成して渡すと見落としや理解の食い違いを回避できます。
4.デザイン会社・施工会社選定
依頼する業者を選定します。デザインから施工まですべてを扱う会社、デザイン・施工のみ請け負う会社などがあります。デザイン会社に先に依頼し、施工会社を紹介してもらうという方法もあります。
5.依頼契約
依頼する会社と契約を交わします。
6.工期
実際の内装工事が開始されます。一般的な工期は1~2カ月程度です。できる限り現場にこまめに足を運び、工事の様子を見ることが大切です。仕上がり後には修正が効きません。納得ができない箇所があれば、責任者に確認するようにしていきます。
7.引き渡し
工事の終了後に竣工検査が行われ、引き渡しとなります。厨房設備や空調、照明などの動作確認も行います。このとき、内装工事実施箇所の図面や設備の型番リスト、機器類の取扱説明書と保証書などを受け取るのを忘れないようにしましょう。
 

内装工事で気をつけるポイント

内装工事を行う際に気をつけたいこと、注意すべきポイントは次のようなことです。
 
▷コンセプトを的確に伝える
お店のコンセプトが明確になっているかどうかは、内装工事が成功するか失敗するかを大きく左右するポイントです。コンセプトをしっかりと伝えることで、どういった設計にするかが決まります。想定する客層や客単価、回転率によって適した配置を行うためには、その前提となるコンセプトを的確に正しく伝えることが重要です。
▷工期を正確に把握する
内装工事の工期については、居抜き物件、スケルトン物件によっても大きく差が出ます。また業態によっては特殊な設備工事に思わぬ工期がかかる場合も多いでしょう。正確なオープン日を告知し、集客活動をするためにも、工事契約を結ぶ前に、細かい工事内容と工期、引き渡しの日の目安を把握することが大切です。
▷こまめに現場を確認する
着工後は、オープンまでの準備に忙しく工事現場に足を運ばない施主がいらっしゃいます。しかし、依頼内容との相違や工程の遅れなど、現場に足を運ぶことで気づき、早い段階の修正が可能です。
また、手抜き工事の予防になるだけでなく、現場の職人さんとコミュニケーションをとることで細かな依頼を行いやすくなる等、満足な仕上がりにするためにこまめに現場に足を運ぶようにしてください。
▷引き渡し時のチェックを怠らない
内装工事が完了したら、引き渡しまでには念入りな確認作業が必要になります。この時、施主である飲食店オーナーだけでなく、設計者、施工責任者を同伴しチェックを行います。図面との比較は勿論ですが、電気がつくか、ガスが通っているかなどの設備面、各機器の電源が適切に作動するかなどチェックをします。
また、床や壁、テーブルなどの建材が指定通りに行われているか、また傷や不良がないかなど細かいチェックを怠らないことが大切です。
引き渡しが行われた後、明らかな施工ミス以外は、追加工事として費用発生することが常識です。すべて納得したうえで引き渡し受けてください。
 
飲食店開業応援マガジン[RESTA(レスタ)]編集部
 

 

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