小田急小田原線の正式名称は「小田急電鉄小田原線」。全長82.5km、小田急電鉄の基幹路線として1927年4月に開通しました。新百合ヶ丘駅からは小田急多摩線、相模大野駅からは小田急江ノ島線へと分岐、代々木上原駅では東京メトロ千代田線と相互直通運転が行われています。
グループ傘下に箱根登山鉄道(株)があり箱根登山線への乗り入れをしているため、新宿駅から箱根湯本駅まで電車一本で行ける気軽さ。箱根周遊ルートの足としても人気があります。
運行形態は各駅停車、急行、準急、快速急行、ラッシュ時には通勤急行と通勤準急、さらに特急ロマンスカーと多彩です。1日平均乗降人員は約325万人。最も多いのは新宿駅、次いで代々木上原駅、登戸駅、新百合ヶ丘駅、下北沢駅の順となっています。
副都心のにぎわいから閑静な住宅街へ 新宿・参宮橋・代々木上原周辺エリア
副都心であり巨大商業・ビジネス集積地である新宿駅。小田急線の1日平均状況数は約51.7万人で、JR東日本・京王電鉄・東京メトロ・都営地下鉄が乗り入れています。接続している路線合計では約350万人の客数を誇り、世界一の規模でギネス記録になっています。
駅周辺にはほぼすべての業態が集結しており、集客チャンスは多いですが競争が激しく、店舗の入れ替わりが早い傾向にあります。そのためこのエリアで特徴を出すのは、かなり厳しいと見られます。
一方、南新宿、参宮橋方面は比較的落ち着いたエリアです。新宿駅〜参宮橋駅間は約3分と非常に近距離にあり、緑が多い住宅地として人気があります。参宮橋駅からは、明治神宮へアクセスしやすく、こぢんまりとしたお店や隠れた名店も点在しています。
代々木上原駅は駅ビル「アコルデ代々木上原」と直結。駅周辺には雰囲気のある個人店が多く見られるエリアで、新宿副都心のにぎわいと対照的なたたずまいがあります。
距離的には新宿駅周辺と同エリアともいえますが、出店の傾向を考える際にはそれぞれの駅周辺でかなり異なるイメージがあることに留意しておきましょう。
代々木上原駅周辺の居住者情報は、2km圏内の総人口が約20.6人万人、昼間人口約25万人で30~39歳人口歳人口が特に多いのが特徴的です。1人世帯数の割合は6割を超えています。
エリア内のランドマークには、「東京都庁」「バスタ新宿」「伊勢丹 新宿店」「ゴジラヘッド」「新宿アルタ」「明治神宮」「古賀政男音楽博物館」などがあります。
利便性の高さと住みやすさで人気 狛江・登戸~新百合ヶ丘周辺エリア
東京都狛江市は、世田谷区と川崎市の間に位置する穏やかな印象の街です。2018年3月のダイヤ改正で地下鉄千代田線直通の準急が停車するようになり、アクセスが各段に良くなりました。昔ながらの商店街があり、下町情緒の残る街並みと閑静な住宅街が広がる、大人の味わいがあるエリアです。
登戸駅は神奈川県川崎市に立地しており、小田急線・南武線の2路線が運行。両路線ともに快速が停車する、利便性の高さが特徴です。新宿には快速急行で約18分。駅からは多摩川の河川敷が近く環境も良好です。狛江市とは多摩水道橋でつながっています。現在、駅の南西が再開発中で、さらなる発展が期待できるエリアです。
新百合ヶ丘駅には特急ロマンスカーのほかすべての電車が停車。小田急多摩線も運行しており、通勤・通学の利便性は良好です。駅前のバスロータリーには、5社の路線が乗り入れており、羽田空港や成田空港行きの高速バスがあるため国内外への移動もしやすいのが魅力。
駅前には、「ホテルモリノ新百合丘」「OPA」「Odakyu OX 新百合ヶ丘店」「イオンスタイル新百合ヶ丘店」「イトーヨーカドー新百合ヶ丘店」などの大型商業施設が立ち並びます。さらに「マプレ専門店街」という、ゆったりとしたイメージの商店街があり、地元民に親しまれています。
狛江・登戸~新百合ヶ丘周辺エリアは自然が豊かな生活環境に、程よい利便性に恵まれたベッドタウン的な土地柄です。小田急線沿線の近隣駅には、遊びのスポットも多く日常的な生活にもレジャーにも便利。派手さはありませんが、地元密着の愛される店づくりをコンセプトにすると、将来性が見込めそうです。
ママ友のランチ、夫婦、ファミリー向けの憩いの場の提供など、アットホームな方向性がおすすめといえるでしょう。
新百合ヶ丘駅周辺の居住者情報としては、駅から徒歩10分以内の居住者数が約2.5万人(神奈川県では平均的)、単身世帯比率は38.2%で、平均年齢は41.9歳となっています。
エリア内のランドマークには、「Odakyu OX 新百合ヶ丘店」「イオンスタイル新百合ヶ丘店」などがあります。
短い区間で駅がひしめく東海大学前~小田原エリア
東海大学前駅から小田原駅までは急行で約30分。各駅間が短く、個性豊かな駅がひしめいています。
東海大学駅は「東海大学 湘南キャンパス」の最寄り駅となっており、学生の利用が多く見られます。駅ビル「小田急マルシェ」のほか、幅広い層が利用する大小の商業施設が点在。スーパーマーケットやショッピングモールなどがあり、近隣の生活者をサポートしています。
隣駅の秦野駅までは約4分。秦野は人口17万人ほどの町ですが、バラ園や湖、関東有数の神社、温泉、美術館など、知る人ぞ知る観光名所が多数あります。新宿からロマンスカーで1時間程度なので、東京から訪れる人も多く、自然に恵まれた大地から採れる食物や、秦野の名水によるグルメスポットとしても人気です。
小田急小田原線の終点となる小田原駅は、都心から程よい距離感の観光スポットとして知られています。箱根登山鉄道への乗り入れもあり、箱根観光の拠点となっているので、集客ターゲットとして観光客・地元住民双方での想定が可能です。
小田原は戦国時代の武将、北条氏の城下町として栄えた歴史をもち、街には情緒が漂います。駅前には飲食店が立ち並ぶ「錦通り」、昭和のたたずまいを感じさせる「おしゃれ横丁」などがあり、都会とはひと味違う店舗計画ができそうです。
時間的距離があまりない場所に、特徴的な駅が存在するエリアなので出店駅を慎重に検討する必要があります。店舗のターゲットが学生か、観光客・居住者かで出店先を選択していくと良いでしょう。出店にあたっては、東京都心からのほど良い距離感をうまく利用したいものです。
小田原市の年間来訪客は年間約 450 万人、人口は約20万人となっています。
エリア内のランドマークには、「東海大学」「金目親水公園」「出雲大社相模分祠」「白笹稲荷神社」「小田原城」などがあります。
小田急小田原線沿線のバラエティに富んだ魅力
東京を代表する巨大ターミナル新宿から、閑静な住宅街が並ぶエリアを抜けて、箱根路へと続く緑が豊かな土地へ。途中車窓から広大な海を臨み、歴史と文化の街小田原に到着します。どの駅にもそれぞれの魅力があり、出店場所に悩んでしまいそうです。集客チャンスを逃さないように、エリアの特徴をつかみながら、店舗計画に活かしていきましょう。