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「居抜き物件」とは?飲食店を開業前に確認しておきたいメリット・デメリット、注意点、事例などを解説

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飲食店を開業前に確認しておきたい

「居抜き物件」とは?

  • メリット・デメリット
  • 注意点
  • 事例など

まとめてご紹介!

飲食店開業に際して、近年脚光を浴びているのが「居抜き物件」です。「居抜き物件」とはどういうものか、メリット・デメリット、気をつけなければならない点など、まとめてご紹介します。

1.「居抜き」「居抜き物件」とは?

広辞苑第 5 版では、「居抜き」とは「住宅や店舗を、家具や商品・設備をつけたまま、売りまたは貸すこと」と示されています。
したがって、「居抜き物件」は、店舗や工場、旅館などの、内装や設備が付帯した状態での賃貸や売買の対象となっている不動産を意味します。
一般的に、飲食店として借りるテナント物件は、スケルトン状態(内装や設備が何もない状態)であることが多いため、 それらが付いてくる物件を「居抜き物件」として区別しています。
居抜き物件を賃貸借する場合に理解しておきたいことは、テナントとしての賃貸借契約は、物件所有者・貸主と交わし、 内装や設備などの、前借主に所有権(注1)があるものについて、前借主と新借主の間で売買するということです。

居抜き物件の契約当事者の関係図

物件内の内装や設備は「造作」とよばれ、テナントの前借主から新借主へ造作を譲渡する契約は、 「造作譲渡契約」「造作売買契約」「飲食店舗付属資産譲渡契約」「飲食店舗付属資産売買契約」と呼ばれています。
上記のほかにも「飲食店譲渡契約」や「飲食店売買契約」というのもあるようです。
飲食店経営者にとって居抜き物件は、内装工事や内装解体工事を省略できるという利点があるため関心が集まっています。 現在は、居抜き物件を専門に扱う不動産や、インターネット上でも飲食店開店・閉店向けの居抜き物件専用サイトもあり、居抜き物件を活用しやすくなっているといえるでしょう。
注1:前借主が居抜きで入居していた場合には、前借主が設置したものだけでなく、それ以前の借主が造作又は設置した内装・設備等が存在します。 それらの所有権も、設備等の設置状況・経緯にかかわらず、すべて前借主の所有となることを理解しておきましょう。

2.居抜き物件における造作譲渡とは

居抜き物件を賃貸借する場合に理解すべきことは、テナントとしての賃貸借契約は、物件所有者・貸主と交わし、内装や設備などの、前借主に所有権(注 1)があるものに対して、前借主と新借主の間で売買することです。

物件内の内装や設備を「造作」と呼び、造作をテナントの前借主から新借主に譲ることを「居抜き物件における造作譲渡」といいます。造作を譲渡する際に結ぶ契約は、名称は様々で「造作譲渡契約」「店舗資産譲渡契約」「造作売買契約」「飲食店舗付属資産売買契約」「飲食店舗付属資産譲渡契約」と呼ばれています。

上記以外にも、「飲食店売買契約」や「飲食店譲渡契約」という契約もあります。飲食店経営者にとって居抜き物件は、内装工事や内装解体工事を省略できるというメリットがあるため、関心が集まっている状況です。現在では、居抜き物件を専門とした不動産会社や、飲食店開店・閉店向けの居抜き物件専用サイトもあるため、居抜き物件を活用しやすい状況となっています。

注 1:前借主が居抜きで入居していた場合には、前借主が設置した内装・設備だけでなく、それ以前の借主が造作または設置した内装・設備なども存在します。それらの所有権も、設備等の設置状況や経緯にかかわらず、すべて前借主の所有となります。

3.「居抜き物件」のメリット・デメリットは?

それでは、飲食店の開店する立場からの、居抜き物件のメリット、デメリットを見ていきましょう。メリットだけではなく、デメリットもよく考慮に入れたうえで物件取得を検討する必要があります。

居抜き物件のメリット

開店コストを抑えることができる

飲食店開店のためには、通常は長い期間がかかり、多くの資金も必要となります。 飲食店にかかる費用については、こちらが参考になるでしょう。

→「飲食店開業にかかる費用とは?vol.1当初の計算よりお金がかかった!」

コンセプトにあった居抜き物件に巡り合えたならば、内装工事がほとんど必要なく、設備も手ごろな価格で入手することができるので、その分を運転資金に回すなどすることができます。
そして、内装工事期間が必要ないので、物件の賃貸借契約を交わしたら時間をおかずに開店することが可能です。
内装の設計や、厨房設備や排気設備などを選ぶ手間が省け、多忙な開店前に時間的な余裕が生まれます。
さらに、内装工事費や設備費を抑えることができると、減価償却費も抑えることができるので、開店時だけではなく、開店後の経営においても、大変助かるでしょう。

居抜き物件のデメリット

内装や設備などに妥協が必要なことがある

こだわりがある場合には特に、理想とする内装と合致する物件を見つけることは容易くないでしょう。ある程度の妥協が必要であったり、少し内装工事を入れる必要が出たりすることがあるかもしれません。
設備についても、揃えたいものと実際に譲り受けるものとに若干の違いがあるかもしれません。
また、設備は開店当初からすでに中古品ということになるので、早期に故障したり、買い替え時期が早めに来たりすることを想定しておく必要があるでしょう。

4.居抜き物件とスケルトン物件の違いを確認しておこう

ここでは、飲食店を開店する立場から、スケルトン物件について確認し、居抜き物件とスケルトン物件の違いを明確にしておきましょう。
スケルトン物件とは、壁や床がコンクリートむき出しになっている状態の物件を指します。天井も配線が出ている状態であることが多いでしょう
スケルトン物件では、前テナントの業種業態にかかわらず、自分の店を一から作り上げることができるのが魅力です。ただし、裏を返せば、その分の労力と時間的コストと金銭的コストが必要であるといえます。
それに対して居抜き物件は先述したとおり、内装工事がすんでおり、厨房設備なども備えられ、飲食店としての体裁がすでに整っている状態の物件です。居抜き物件の取得は、スケルトン状態から飲食店としての体裁を整えるための労力やコストをすべて省略できることを意味します。

居抜き物件とスケルトン物件の比較

飲食店開店の際にかかる費用を、居抜き物件とスケルトン物件で比較したい場合には、こちらが参考になります。

→「飲食店開業にかかる費用とは? vol.2 スケルトンと居抜き物件比較」

5.飲食店開業、こんな時には居抜き物件がおすすめ

以下のようなケースにあてはまる場合には、居抜き物件の取得を積極的に検討するとよいでしょう。

  • 男性A

    1. 時間的に制約がある

    人生設計上、いつまでに開店させたいという希望があり、開業までの時間があまりないときには、内装工事期間が不要である居抜き物件がおすすめです。

  • 女性B

    2. 資金の調達がはかばかしくない

    思っていたよりも開業資金が集まらなかったり、そもそも少額の開業資金での開店を目指したりしている場合には、内装工事費を節約できる居抜き物件がよいでしょう。

  • 男性A

    3. 内装へのこだわりが少ない

    特別な業種業態ではなく、一般的な内装で OK という場合には、市場に出ている居抜き物件のなかから気に入ったところが見つけるのがよいでしょう。居抜き物件のメリットを大いに活かせるため、おすすめです。

  • 女性B

    4. 開業までの作業を省略化したい

    通常、開店に至るまでの作業は多方面にわたります。店舗の内装や厨房機器などの設置についても、店舗内の設計を考えることはもちろん、内装業者を選び、契約を交わし、工事日程を組み、床や壁、天井の種類や色などを選び、厨房機器も選択する必要があり、かなりの手間がかかります。それらの作業が面倒に思われる場合には、飲食店舗としてすでに整えてある居抜き物件を選ぶとよいでしょう。

6.飲食店舗の物件取得費と内外装費の目安の考え方

物件取得費と内外装費にはどのような費用が含まれているのか、確認しておきましょう。
物件取得費には、以下のような費用が含まれます。

  • 保証金:賃料の6ヵ月~10ヵ月程度が相場とされています。
  • 礼金:物件所有者・貸主への謝礼金であり、返還されません。賃料2か月分までであることが多いでしょう。
  • 仲介手数料:不動産業者への手数料として、通常は賃料の1か月分を支払います。
  • 賃料:契約月の日割り計算した賃料と翌月の賃料を合わせて払うのが一般的です。
    したがって、物件取得費には、礼金の有無にもよりますが賃料の10~15か月分が目安になります。
    また、保証会社を利用した場合の保証会社保証料、管理・共益費、保険料なども考慮に入れる必要があるでしょう。
    また、居抜き物件の場合には、造作譲渡費がプラスされます。

内外装費には以下のような項目があります。

  • 内装設計、施工費
  • 看板施工費
  • 厨房機器費
  • レジや備品の費用
  • 店舗クリーニング費用(場合による)

上記の内外装費以外にも、「販売促進、広告費」「開店前経費」や、従業員を雇うならば「従業員の募集費用」が必要です。

個人開業の小規模飲食店では、開業資金は600万~1,200万円といわれています。その開業資金の使途については、日本政策金融公庫の「飲食店開設費用の内訳(不動産を購入した企業を除く。)」によると、「内外装工事」が41.7%、「機械・什器・備品等」が21.1%、「運転資金」が19.1%、「テナント賃借費用」が17.5%となっていました。

飲食店開設費用の内訳

ただし、店舗の規模が大きければ大きいほど、物件取得費が高くなり、また、カフェやラーメン店などよりはレストランなどのほうが内外装工事費が高くなることは推察しやすいことでしょう。それぞれが実際にいくらかかるかについては、立地や店舗の規模、業種業態によってかなり変わってくるというということになります。
また、日本政策金融公庫では、開店する予定の飲食店について、どのような要素で特色を出すかという観点で賃料や減価償却費などの固定費を考えることをすすめています。例えば、提供する食事内容で勝負したいのならば、売上に対する原材料費を多めに取れるように、賃料や人件費を抑えるようにする。行き届いたサービスでアピールしたいのならば、人件費に予算を多く割けるように、賃料や諸経費などを抑えておく。あるいは、立地の良さで稼ぐのであれば、賃料が高めであっても良い物件を探すなどです。
売上予測、利益予測を立て、店のコンセプトを勘案し、それらから費やせる物件取得費、内外装費の目安を算出するのもよいでしょう。諸事情により、開業資金の行先の約4割を占める内外装工事費を抑えたい場合には、居抜き物件がおすすめです。

7.居抜き物件活用の具体例

それでは、居抜き物件を活用した具体的な例をいくつか見てみましょう。以下のリストでは、「居抜き物件の坪数:業種業態:造作譲渡価格」の順で表記してあります。

15坪:居酒屋:300万円
探していた立地での物件で、営業年数3年、丁寧に使用されてきた状態の良い造作。
24坪:カフェ:200万円
営業年数8年。造作売却を急いでいた物件。
25坪:和食系居酒屋:180万円
やや人気のない立地。
28坪:イタリアンレストラン:280万円
特徴的な内装のため、造作を買い取りたい人がなかなか見つからなかった物件。
40坪:和食:460万円
そっくりそのまま使用可能な物件。

そのほか、造作譲渡が成立した物件には、譲渡価格が80万円の10坪のバーなどもあります。 居抜き専門業者ならば、年間3,000物件以上を扱うところもあり、専門業者を介するのならば、 探している立地での希望する坪数の店舗を見つけることは、そう難しいことではないかもしれません。

8.居抜き物件のタイプと成約の流れ

店をたたむにあたって、経営者が造作譲渡を望む物件を居抜き物件として見てきましたが、実のところ「居抜き物件」にはいくつかのタイプがありますので、以下にご紹介します。候補物件に巡り合った際にはどのタイプであるのか注意するようにしましょう。

造作譲渡代金を支払う居抜き物件

これまでご紹介してきた、いわゆる居抜き物件がこれにあたります。現テナント借主の入居中に交渉して、店舗内の造作一式を有償で譲り受けるものです。
このタイプの居抜き物件には、現借主の退却日は決まっており、それまでに引き渡しされる物件と、現借主が、物件所有者・貸主へ解約予告通知を出していない物件の2種類があります。
解約予告通知が出されていない場合には、造作譲渡の合意が得られてから現借主が物件所有者・貸主に解約予告するため、物件所有者・貸主の承諾を得るなどのステップから始まるので、成約までの時間がかかることが多いでしょう。ただし、もともとが「売れたら店をやめる」予定で、切羽詰まった状況ではないことから、立地や客層が好条件であることも多いとも考えられます。

造作譲渡代金を支払う必要がない造作残置の物件

前テナント借主の退去後に造作が残っている状態です。前借主は造作の所有権を放棄しており、物件所有者・貸主は、次の借主へ無償譲渡することが多いようです。解体や廃棄の手間がかかる場合もありますが、残置されていることが多い排気ダクトやグリストラップなどをそのまま利用できると、内装工事費を抑えることができます。
そのほかの物件として、内装、厨房設備、什器等が揃っており、すぐに営業が開始できる状態の店舗を、すべてひっくるめて借りる「リース店舗」というものもあります。所有権はありませんが、故障の際の修理やメンテナンスなどをリース業者にやってもらえます。

居抜き物件の成約までの流れ

それでは、造作譲渡代金を支払うタイプの居抜き物件について、成約に至るまでの流れを簡単に見ておきましょう。

  • ①

    居抜き物件専門業者の選定

    数多くの経験がある信頼性の高い専門の業者を選定することが大切です。

  • ②

    候補物件の内見

    内装や設備の状態を見るだけではなく、譲渡対象と先方が引き上げるものを分けて確認することが大切です。

  • ③

    譲渡項目書の入手

    どの什器や設備をいくらで譲ってもらうのか、明確にリストアップしたものをもらいましょう。

  • ④

    造作譲渡契約内容の確定と締結

    契約は、不動産業者など第三者の立ち会いのもとで締結しましょう。

  • ⑤

    引き渡し

    動作確認の後、契約書の規定通りに代金を支払います。

9.居抜き物件の探し方とポイント

居抜き物件の探し方は、現在のところ、次の三つに分けられます。

  • インターネット

    居抜き物件専門のサイトもありますので、こまめにチェックしましょう。

    インターネット
  • 現地の不動産業者

    出店を希望する地域の不動産業者を回り、近隣の状況を確認しつつ、相場などを尋ねるとよいでしょう。

    現地の不動産業者
  • 飲食店を経営している友人、知人のつて

    居抜き売却の希望が市場に出ていないこともあります。居抜きで買いたい意向を友人や知人に伝え、人づてに探すのもまた有効です。

    友人・知人

居抜き物件を探す際の基本的なポイント

  • 1.希望する条件を明確にしておく

    「良いところがあれば、どこでもいい」という人は多いものです。しかし、どういうところが「良い」かについては、店の業種業態や個人的な事情によって分かれます。どういう物件を探すのか、地域、立地、規模、内装の雰囲気、閉店後の期間、厨房機器の種類、設備のメンテナンスの状態など、詳しく詰めておきましょう。また、どのくらいの追加工事が可能かについても決めておきましょう。

  • 2.条件に優先順位をつけ、妥協できる範囲も考えておく

    希望するすべての条件を満たすような理想的な物件というものはなかなか出てこないものです。「そういうことならば、あっちの店でもよかった……」と、悩み出すとキリがありません。そこで、隣接地域もよい、こういう条件ならば規模が小さくても構わないなど、条件に幅を持たせられないか検討しておきましょう。同時に、絶対に譲れない条件と、妥協できる条件とに分け、それぞれに優先順位をつけておくと、効率的に探すことができるでしょう。

  • 3.スピード感が必要であることを念頭に入れておく

    ときには、現オーナーが居抜きでの閉店を急いでいる物件もあります。短期間にさまざまなことで決断を迫られることもあるでしょう。先に検討しておけることはなるべくすませておいてください。また、業種業態の異なる店を候補に入れたり、店のコンセプトに合わせたりなどのために、少し内装工事を入れる予定ならば、内見の際に内装工事業者を同行してアドバイスなどをもらうことも考えておきましょう。

  • 4.自分に合った業者を見つける

    どのような店を理想とするかは、人によって千差万別です。物件取得は費用も大きくかかるうえ、店舗は事業の要となりますので、専門家の立場から親身になってアドバイスしてくれるような不動産業者を探すとよいでしょう。

10.飲食店の立地選びのコツ

それでは、物件探しでもっとも大きなポイントである立地についても、選び方のポイントをご紹介しましょう。

事業計画から立地条件を案出

SNSやグルメサイトの隆興により、そのお店を探して訪れるという目的来店性が飲食業界でも高まってきてはいますが、「1日10客限りの完全予約制」というようなコンセプトではない限り、近隣の通行客に立ち寄ってもらわねば経営が成り立たない場合が多いでしょう。したがって、事業計画をきちんと立てたうえで、商圏分析をし、ターゲットの客層を呼び込むのに適した条件で立地を探す必要があります。単に通行量の多く、視認性のよい場所というだけではなく、ターゲットの客層が多い場所を探しましょう。さらに、ターゲットの客層の行動パターンから条件を絞り込むとよいでしょう。

予算以内の賃料

好条件だが賃料が予算よりも少しだけ高い物件に行き当たった際に、賃料をもう少し出してもいいじゃないかと思うことはあるでしょう。この物件に想定したよりも5,000円多く出すのなら、10,000円多く出してあの物件はどうだろうかとキリがなくなり、おおいに迷うことになります。しかし賃料は、出費額が変動することのない固定費として常に損益計算書について回ります。経営を早く黒字化するためにも、事業計画で設定した賃料の範囲内で物件を探すのがおすすめです。

候補物件の周辺を確認

内見する機会とは別に、時間帯や、平日、週末というように日を変えて、物件を訪れ、近隣や通行客の様子を確認しておきましょう。

11.飲食店の業態別|居抜き物件で開業するポイント

居抜き物件で開業するポイントする際には、ポイントを押さえることが大切です。飲食店の業態別に解説するので、対象の業態を確認しましょう。

カフェ

居抜き物件でカフェを開業する際には、以下の点を確認しましょう。

  • 物件の立地条件が適切か
  • 物件の階層が適切か
  • 各種設備は正常に動作するか
  • 清潔感はあるか

カフェの開業を成功させるためには、物件の立地条件の確認が必須です。駅に近い店舗であれば人通りの多さ、ロードサイト店舗であれば車の交通量の多さを確認しましょう。店舗のコンセプトに適した階層であるかも重要です。

また、店舗を運営するためには、各種設備や電気・ガス・水道、電気容量、飲食店としての清潔感があるかどうかも確認しましょう。入居後に問題が発覚すると、後に改装が必要となったり、追加で費用がかかったりするため、注意すべきです。

パン屋

居抜き物件でパン屋を開業する際の確認点は、以下の通りです。

  • 内装のイメージや敷地面積、レイアウトが適切か
  • 導入したい設備が使えるか

パン屋を開業する際には、清潔感がある内装やおしゃれな内装を好む人が多い傾向があり、木目調のナチュラルな雰囲気が主流になっています。内装を大きく変更するとなると、改装費用の負担が大きくなるため、物件選びは重要です。また、導入したい設備を搬入できるか、十分に使用できる電気容量はあるかも、事前に確認しましょう。

バー

居抜き物件でバーを開業する際には、以下の点を確認することが大切です。

  • トイレや手洗い場などが保健所の検査に通るか
  • 深夜営業が可能か
  • 深夜営業が換気・排気設備は問題ないか可能か

バーを開業する際には、保健所の検査に通過して、営業許可をもらえる物件かどうかの確認を念入りにしましょう。保健所の検査では、衛生面で安全な建物か、衛生的で安全な設備が整っているかなどが、確認されます。特に、トイレや手洗い場などのチェックは必須です。

また、バーは夜間に営業することが多いため、深夜営業が可能かどうかも把握しておく必要があります。物件が地下の場合は、換気や排気設備は問題ないかも確認しましょう。

12.居抜き物件の造作譲渡契約で注意すべきこと

飲食店の開店を目指す経営者にとっても、飲食店を閉店させて引き上げようという経営者にとってもメリットの大きい造作譲渡ですが、契約時に気をつけなければならない点がいくつかありますので、順に見ていきましょう。

  1. 1.物件所有者・貸主の承諾を得る

    造作の譲渡はテナントの借主間で行われるものですが、物件所有者・貸主の承諾を得ておく必要があります。場合によっては、不動産の管理会社の承諾も得る必要があります。
    譲渡を検討する場合には、最初に賃貸契約書の内容を確認しましょう。譲渡を認めない契約になっていることが通常ですが、交渉次第で認めてもらえることは少なくありません。ただし、居抜きという言葉を聞いただけで難色を示す物件所有者・貸主もいますので、上手に交渉することが大切です。

  2. 2.譲渡項目書を作成する

    内見の際の説明だけでは譲渡品に含まれるものについて誤解が生じる可能性が高いので、契約書に「造作一式」とあっても、必ずリストを添付し、売買の対象となっている物品の認識にズレがないようにしましょう。特に、譲渡品にリース物品が含まれているかどうかをチェックしましょう(含まれていた場合については6で説明)。

  3. 3.譲渡品の状態を確認する

    譲渡する側は、すでに明らかになっている故障や不調について隠すことなく伝えることが大切です。譲渡される側も、設備などはそれぞれの動作確認を行うとともに、後の不満の種にならぬよう、メーカーや使用年数、使用頻度などの情報を確認したうえで、価格交渉する必要があります。

  4. 4.契約書を取り交わす

    価格を交渉し、現金を渡して終わりということで、わざわざ契約書を結ばなくてもと考える人がいますが、譲渡価格にかかわらずきちんと契約書を交わすようにしましょう。後からトラブルに巻き込まれることがないよう、契約書には「契約解除の条件」など、盛り込んでおくべき条項もありますので、居抜き専門の不動産業者や行政書士に契約書の作成を依頼したり、リーガルチェックをしてもらったりするとよいでしょう。

  5. 5.引渡し前に動作を確認する

    引き渡し後に、空調設備が動かない、厨房機器が壊れていたとなるとトラブルのもとになりますので、引渡し前に動作確認を必ず行うようにしてください。

  6. 6.リース物品を確認する

    店内にリース物品がある場合には、精算して引き上げるのか、契約を引き継ぐのかについて、お互いに誤解がないように明確にしておきましょう。

13.居抜き物件を出るときにはどうなる?

居抜き物件では閉店するときに不都合があるのも困ると心配になる人もいるでしょう。そこで、退去時のポイントについてもいくつかご紹介します。

賃貸契約書内の原状回復条項

スケルトン物件であっても、居抜き物件であっても、賃貸契約書には原状回復条項が盛り込まれている場合がほとんどです。つまり、入居時にスケルトン状態であってもなくても、スケルトン状態で返却する条項が賃貸契約書に含まれていれば、退去時にスケルトン状態に戻すことが求められます。

飲食店閉店の際のコストについてはこちらもご参照ください。

→「飲食店、閉店するなら店舗譲渡を検討しよう」

原状回復区分について

居抜き物件の場合には特に、どこまで原状回復工事をすべきか、貸主・物件所有者との間に認識に食い違いが出がちです。スケルトン渡しであっても、穴を塞ぐかどうかでもめたり、「この壁は残しておいてほしい」という要望が貸主・物件所有者から出たりすることがあるので、賃貸契約書を交わす前に、できれば、建物の図面や内装工事図面をもとに原状回復区分についてよく確認しておくことをおすすめします。

原状回復工事について、詳しくはこちらもご参照ください。

→「飲食店撤退の際の原状回復工事とは?工事は回避できる?」

造作売却も可能

居抜き物件として取得した店舗も、もちろん再び居抜き物件として市場に出すことが可能です。

閉店する際の居抜きについて、詳しくはこちらをご参照ください。

→「飲食店の戦略的撤退、造作譲渡で閉店費用を抑えよう!」

そのほか、飲食店廃業時の手続きについてはこちらをご参照ください。

→「飲食店廃業の手続き、必要な届出は?どこに出せばいい?」

14.居抜き物件で開業した人の事例をチェック!

実際に居抜き物件で開業した人の話を知りたいと思う人は多いでしょう。そんなときに、おすすめなのが、「飲食店開業者インタビュー」です。ここでは、定食屋の開業例を簡単にご紹介しましょう。

「定食屋 神田本店」

定食屋神田本店の外観と内装
業態:
定食
広さ:
9.98坪
物件を決めた理由:
オフィス街の出店を目指しており、10件程度の店舗を内見。現物件に出合ったときに、前の店舗の退去理由や周囲のお店の味や状況、お客様層や入り具合をチェックし、集客が見込めるという確認を持てたので即決。
内装工事や設備などで手を入れた部分:
カウンターを設営し、テレビを設置。前の店舗がタイ料理店だったため、厨房機器、食器を新調。冷蔵庫やコンロ、シンクなどはそのまま利用。
これから独立する方へのアドバイス3箇条:
  1. 1. 施工業者の選定が重要
  2. 2. 自己満足でなくお客様のためになっているか考える
  3. 3. 飽きの来ないお店になっているかを常に考える

そのほか 「飲食店開業者インタビュー」では、フレンチレストラン、焼き鳥店、パティスリーなど幅広い業態の開業者の話を読むことができます。

15.居抜き物件専門の業者を探すところから始めよう

飲食店開業の際に、開業資金を抑えられると同時に、減価償却費も抑えられるため、居抜き物件には開業時も開業後にも大きなメリットがあります。ただし、居抜き物件を取得する際には、物件所有者・貸主との契約のほかに、造作譲渡契約を結ぶ必要もあり、トラブルを避けるためには、居抜き物件の売買に長けた店舗専門の不動産業者を介するのがおすすめです。さらに、居抜き物件を効率的に探し出すためには、居抜き物件専門の業者がよいでしょう。実績があり、店のコンセプト、ターゲットとしている客層、提供予定のメニューなどから丁寧に話を聞いてくれるところを探してみてください。

こちらの居抜き物件を数多く扱っている専門サイトも参考になるでしょう。

→「居抜き市場」

参考:「2018年度新規開業実態調査」~アンケート結果の概要~|日本政策金融公庫
新規開業実態調査から|日本政策金融公庫

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