東急大井町線は、品川区にある大井町から川崎市にある溝の口まで走る路線です。以下の順番で開通しています。
・1927年(昭和2年)7月6日 大井町~大岡山開通
・1929年(昭和4年)11月1日 自由ケ丘(現 自由が丘)~二子玉川開通
・1929年(昭和4年)12月25日 大岡山~自由ケ丘開通
現在の田園都市線と一体の路線で直通運転を行っていた時期もあり、今の運行形態となったのは1979年(昭和54年)8月からです。2008年(平成20年)3月からは急行運転を開始。各駅停車は5両編成、急行は7両編成で運行しています。
田園都市線の混雑緩和路線としての役割を担っており、一日平均利用数は約34万人。一日平均乗降人員が最も多いのは二子玉川駅、次いで自由が丘駅、大井町駅となっています。
沿線には高級住宅街もあり、商業エリアへのアクセスも良好。23区内唯一の等々力渓谷は、鉄道敷設に従って整備された人気の行楽スポットです。
比較的小規模な駅が多いのですが、急行の運行に加え、池上線、目黒線、東横線、田園都市線など他路線との接続が良く、利便性が高い路線として知られます。急行が止まるのは大井町駅、旗の台駅、大岡山駅、自由が丘駅、二子玉川駅、溝の口駅の6駅です。
利便性の良さが魅力「大井町・荏原町・旗の台」エリア
東急大井町線の起点である大井町駅は、JR京浜東北線、東京臨海高速鉄道りんかい線にも接続しており、ベイエリアへのアクセスも良好です。品川駅までは約3分、東京駅までは約18分という利便性の良さから人気が高く、にぎわいがあります。
駅から少し離れると落ち着いた住宅街が広がる一方で、人気スポットの「しながわ水族館」があるため、集客力に恵まれている地域といえます。新旧を持ち合わせた独特の雰囲気があるので、多彩な店舗計画が立てられます。
荏原町駅と大井町駅間は約7分。荏原町駅周辺は、街一体に広がる商店街が特徴的です。地元スーパーや八百屋などの小売店にも元気があり、気取らず親近感のもちやすいコンセプトの店づくりが有効と考えられます。
旗の台駅は、荏原町駅から徒歩約6分。東急池上線が利用可能なため、大井町方面だけではなく五反田方面へも利便性が高い駅です。周辺には荏原町駅と同様に商店街が広がります。駅から線路わきに商店街がつらなり、帰宅途中での買い物に便利。この特性を生かし、足を止めて気軽に夕食が食べられる店舗や、買い物ついでに立ち寄れる軽食系の店などの需要が見込めます。
大井町駅周辺の居住者情報は、2km圏内の総人口約23万人、昼間人口約27万人。30~49歳人口が特に多いのが特徴で、1人世帯数の割合は5割。夜間と昼間の差はあまり見られません。
エリア内のランドマークとしては、「アトレ大井町」「阪急大井町ガーデン」「東小路飲食店街」などがあります。
憧れのおしゃれな街「自由が丘」と「二子玉川」
おしゃれ・グルメスポットとして、全国的に有名な自由が丘駅エリア。洗練されたカフェやセレクトショップが並ぶマリ・クレール通りは、平日でも若い層を中心ににぎわっています。その一方でラーメン激戦区という面も見られ、さまざまな層の人々が集まります。また、駅から少し離れると落ち着いた住宅街が広がっており、繁華街とは異なる客層の店舗計画も期待できるでしょう。
大岡山駅は、東京メトロ南北線と都営三田線直通の目黒線も乗り入れる、利便性の高い駅です。活気に満ちた駅前商店街と、東京工業大学の広大なキャンパスが特徴的。国内初の駅上総合病院の東急病院もあり、にぎやかな駅前を少し離れると、静かな住宅地が広がります。学生からファミリーまで多様な客層で、商店街や通院客、周辺住民も併せ、昼間営業に特化した店舗でも集客が期待できそうです。
エリア内のランドマークとしては、「マリ・クレール通り」「ヤマダ電機LABI LIFE SELECT自由が丘店」「東京工業大学」「洗足池公園」などがあります。
二子玉川駅は東京都の端、急行利用の場合、終点溝の口駅の手前に位置します。東急田園都市線も乗り入れており、乗降客が多い駅です。「二子玉川ライズ」は再開発で生まれた街で、玉川高島屋を中心に洗練された商業エリアが広がります。映画館や公園、テーマパークなど遊びスポットも多数。買い物客・観光客・地元住民など、各方面に対してのアプローチが可能です。おしゃれな店舗が集結しているだけに、どのように個性を出すのかがカギとなるでしょう。
二子玉川駅周辺の居住者情報は、2km圏内の総人口が約15万人、昼間人口は約11.5万人。30~39歳人口比率が高く、比較的若い層の居住が多いと見られます。1人世帯割合は5割以下で、ファミリー層が半分を占めています。
昼間人口があまり落ちず、訪れる人が多いこともあるため、昼中心の店舗でも十分に集客が可能。若い層やファミリー層をターゲットとした、周囲環境と調和するような店舗計画がおすすめです。
エリア内のランドマークには、「玉川高島屋」「兵庫島公園」などがあります。
鉄道開業に伴って整備された「等々力、上野毛、尾山台駅」エリア
等々力、上野毛、尾山台駅周辺は、田園調布の開発を参考とし、鉄道の開業に合わせた耕地整理によって整備されたエリアで、快適な環境となっています。
等々力駅周辺には、親しみやすい商店街があり、大学のキャンパスも複数あることから、学生も多く見られます。緑豊かな等々力渓谷は、東京随一の水の景勝地。こちらも鉄道開通によって、観光地として整備された経緯があります。
上野毛駅の駅舎は、著名な建築家・安藤忠雄さんが手がけたことで知られます。隣の二子玉川駅まで徒歩圏内。等々力、上野毛、尾山台駅周辺には、いずれも静かな高級住宅街が広がっています。
等々力駅周辺の居住者情報は、2km圏内の総人口が約15万人、昼間人口約11.5万人。30~49歳人口比率が高く、働き盛りの層が厚くなっています。1人世帯割合は4割で、ファミリー層が多いエリアです。
二子玉川と同様に、比較的生活に余裕があり落ち着いた層の居住するエリアです。週末には首都圏からの自然豊かな渓谷を楽しむ行楽客も訪れるため、平日・休日のどちらに重点を置いた店舗設計とするかを決めることがポイントとなりそうです。
エリア内のランドマークには、「ハッピーロード尾山台」「等々力商店街」「東京都市大学」などがあります。
東急大井町線沿線は、落ち着いた街並みが多数存在する
東急大井町線沿線は、田園都市線を始めとして多数の路線とつながる利便性があります。またおしゃれスポットのある人気の街、憧れの高級住宅街、さらに東京随一の清涼な渓谷もあり、多彩な魅力に富む路線です。利用者数としては比較的小規模な駅が多いものの、集客のチャンスは小さくありません。出店に際しては、駅同士の関係や周囲環境を良く研究しながら、店舗計画を立てることが大切です。