東武伊勢崎線は浅草駅(東京都台東区)から伊勢崎駅(群馬県伊勢崎市)までの55駅、114.5kmを結ぶ鉄道路線です。大手私鉄の中では路線距離が最も長く、駅数が多いことで知られます。2012年からは東京スカイツリー開業に合わせ浅草駅から東武動物公園駅、押上駅から曳舟駅の部分に「東武スカイツリーライン」の愛称が使われるようになりました。
北千住駅から日比谷線、押上駅から半蔵門線に直通乗り入れがあり、埼玉から乗り換えなしで渋谷・恵比寿方面にアクセスができる利便性の高い路線です。
一日平均利用数は約170万人。一日平均乗降人員が最も多いのは北千住駅、次いで押上駅、新越谷駅、草加駅と続きます。JR山手線とは接続していませんが、群馬、埼玉と都内主要地を結び、観光・通勤にと重宝されています。複数路線が乗り入れる北千住駅が、実質的なターミナル駅となっています。
有名観光地多数!「浅草~北千住」エリア
浅草界隈は、浅草寺・雷門・仲見世商店街・東京スカイツリーを始めとして人気観光スポットが多いエリアです。東京下町の風情が色濃く残り、新旧の魅力が感じられます。地域密着型や老舗店も多く見られますが、新しい業態も多数登場しています。
曳舟から東向島には、さらに昔懐かしい昭和の東京が残るイメージがあります。この特徴を生かし、「鳩の街通り商店街振興組合」では、「鈴木荘プロジェクト」など空き家や空き店舗活用を促進。店舗・ギャラリー開店、クリエイター、アーティストなどの若い世代の入居も増えています。
観光地の集客力、下町の魅力など、店舗展開においては利用価値が高いエリアである一方で、入れ替わりの激しさなど、有名地ならではの難しさもあります。
北千住駅は、東武伊勢崎線でもっとも利用者の多い駅です。JR、東京メトロ、首都圏新都市鉄道など、4社5路線が乗り入れます。商業施設、地元商店街、大型スーパーがあるので生活利便性に富み、東京藝術大学 千住キャンパス、東京未来大学、帝京科学大学、東京電機大学 東京千住キャンパスなど5つの大学が立地。学生の姿も多く見られます。
都心、観光地へつながるハブ的な役割が高く、乗降での利用があるため、人の往来が盛んです。商業施設が充実しているところから、近隣からの買い物客も集客の対象にできるでしょう。
また、首都圏の中では家賃が安いため、若い世代を含め、居住地としても人気。学生・ショッピング・居住者と出店のターゲット層は広いと見られます。駅周辺は密集型の街となっているため競争率が高くなりますが、客層が多様なのでコンセプトづくりを入念にすることでターゲットを絞り込んだ集客が期待できます。
北千住駅周辺の居住者情報は、2km圏内居住者数が約17.5万人、昼間人口が約13万人。1人世帯比率は約42%で30~39歳人口比率が最も多くなっています。
エリア内のランドマークには、「浅草寺」「東京スカイツリー」「東京ソラマチ」「ポンテポルタ千住」「ぬりえ美術館」「堀切菖蒲園」などがあります。
東京のベッドタウン的役割を果たす「西新井~竹ノ塚」エリア
北千住駅から北越谷駅までの18.9kmは、私鉄最長の複々線区間で利便性に富むエリアです。東武鉄道の路線では、最初に開業した区間でもあります。
西新井駅は東京メトロ日比谷線、半蔵門線へのアクセスがあり、交通利便性が良好。駅前には大型スーパーも複数立地しています。駅周辺は繁華街となっており終日活気がありますが、ファミリー世帯が多い住宅地は静かで、住みやすい土地と言えるでしょう。
竹ノ塚駅のバスロータリーからのバス便は13ルート。駅を基点に足立区内各所に運行しています。東口は開けており、商業施設が多数並びます。2021年には文教大学 あだちキャンパスが開校し、また2022年には新駅舎・駅の高架化が予定されています。開発によるさらなる集客チャンスが期待できそうです。
エリア的には派手さはありませんが、程よい利用客数があり居住者を含めて客層も多彩です。有名地や商業集積地とは異なる業態の店舗計画にも可能性があります。独自のこだわりコンセプトを生かせる、店舗計画への余地が感じられるエリアです。
西新井駅周辺の居住者情報は、2km圏内居住者数が約20万人、昼間人口が約14万人。1人世帯比率は約40%で、30代・40代がほぼ同率で最も多くなっています。
エリア内のランドマークには、「アリオ西新井」「イオン西新井店」「パサージオ」などがあります。
自然に近く程よい利便性で人気「春日部~東武動物公園」
春日部エリアは、利根川・江戸川・荒川と関東を代表する河川に囲まれた水の豊かな土地柄です。春日部駅は、人口約23万人を擁する春日部市の中心部にあたります。東武野田線の東武アーバンパークラインが運行し、普通・区間急行・区間準急が停車。東武伊勢崎線では5番目の利用者数です。
都心へは1時間程度で出られ、物価・家賃の安さでファミリー層からも人気があります。
春日部市の人口は2021年3月時点で約23万人、高齢化率は約28%です。15~39歳の割合は約23%、40~64歳の割合は約33%となっています。
首都圏との適度な距離感で、近年のテレワークによる移住候補としても注目されています。駅周辺は再開発や鉄道高架化開発が進行中。今後の発展性が期待されるところです。働き盛りからシニア層・ファミリー層など、多彩な店舗計画が考えられそうです。
東武動物公園駅エリアはほどよく自然があり、のどかで静かな住宅街です。都会とは言えませんが、徒歩圏内で生活用品がそろうため、居住者の満足度は悪くありません。治安も良く動物公園や遊園地が近いことから、子育て世代にも人気です。
東武動物公園からは、日光・群馬・中央林間方面、浅草方面へのアクセスが良好。都内へは電車で40分程度、圏央道が開通し旧4号、新4号、国道16号と車での移動も便利です。
出店に関しては、中央からの店の進出が少なく、飲食店に物足りなさを感じる住民の声も。地域密着型で、ファミリー層も気軽に入れる店舗ニーズが高いことが予測されます。一方で行楽地としての集客もあるため、観光地・自動車利用の客をターゲットとした店舗計画にも期待できます。
エリア内のランドマークには、「東武動物公園」をはじめ「ララガーデン春日部」「首都圏外郭放水路」「権現堂堤」などがあります。
東武伊勢崎線はバラエティ豊かな色をもつ長距離路線
東京スカイツリーから埼玉、群馬へと至る東武伊勢崎線。その沿線にはバラエティが豊かな風景が広がります。有名観光地から自然が豊かなエリア、首都のベッドタウン的なエリアと出店を考えたときには、多種多様なコンセプトでの店舗計画が可能です。自分がイメージする店舗と実際の土地柄のマッチングを見極めながら、ここぞと感じる出店地を見つけていきましょう。