古い歴史と新しいものづくりの魅力を伝える高津区
江戸時代に庶民のブームとなった「大山詣」の宿場町として発展した高津区は、その後、江戸に物資を運ぶ輸送路として栄え、商業や文化の発信地として発展しました。また、古くからの神社仏閣も多く、歴史や文化的資源にも恵まれた土地です。
現在は、溝の口駅を中心に商業施設を多く持つ高津地区と、都市農業が盛んな橘地区の大きく2つに分けられます。また、川崎市のなかでは、川崎区に次いで工場が多く、特に優れた技術を持った町工場が多数あるのも特徴のひとつです。ミツトヨ測定博物館やかながわサイエンスパークなど、過去の歴史を振り返る博物館や新しい町工場の形となる施設もあり、製造業の町として栄えています。
交通は、東急田園都市線の梶が谷駅、溝の口駅、高津駅、二子新地駅、JR南武線の久地駅、津田山駅、武蔵溝ノ口駅の2路線7駅です。特ににぎわっているのは、溝の口駅とそこから徒歩1分の距離にある武蔵溝ノ口駅周辺でしょう。溝の口駅の乗降客数は11万2,195人(2020年)と東急田園都市線のなかでは、渋谷駅に次いで多い人数です。そうした意味でもJRも走ってはいますが、都内へ出やすい東急田園都市線がメインといえます。
また、自動車道は、東急田園都市線に沿って国道246号線、それと並行に走る第三京浜道路。JRと並行に走る府中街道があり、交通は非常に便利です。
若者にも高齢者にも魅力的な街
前項でも触れたように、高津区で最も人が集まる地域といえば、溝の口駅、武蔵溝ノ口駅周辺です。特に武蔵溝ノ口駅東側には、駅に直結しているショッピングモール「ノクティプラザ」や「マルイファミリー溝口」があり、多くの人が行き交います。さらにはポレポレタウンとして、「イトーヨーカドー 溝ノ口店」「東急ストア」「マルエツ」などさまざまな商業施設が点在。飲食店も多いことから、親子連れ、若者、シニアなどさまざまな層の人が平日、週末を問わず、訪れています。
これに対し、西側にあるのは「溝の口駅西口商店街」。昔ながらの商店が軒を連ねていて、古くからの常連はもちろん、昭和の雰囲気を楽しむ人でにぎわいを見せています。居酒屋などお酒を提供する店舗が多く、大人が楽しめる商店街となっています。
東急田園都市線沿線では、二子新地駅周辺は溝の口駅周辺とはまったく違った顔を持っています。すぐ近くに多摩川が流れるこの地域には、多摩川緑地バーベキュー広場のほか、東高根森林公園や二ヶ領用水久地円筒分水、久本薬医門公園など自然が楽しめる場所もあります。瀬田少年野球場や二子ソフトボール場では、週末に家族連れでバーベキューをしたり、スポーツを楽しんだりする人々であふれています。
バーベキュー広場では、食材や調理器具の販売・レンタルがなく持ち込みとなるため、そうした層を狙った出店を検討してみてもいいのではないでしょうか。また、高津区は製造業の町でもあるため、特に工場が多くある久地駅周辺や下野毛、坂戸周辺では、持ち帰り弁当やボリュームのある定食屋など気軽に立ち寄れる飲食店の需要が見込めます。
高津区に住む住民の年齢層で最も多いのは、50~59歳のシニア層ですが、次いで多いのが25~29歳、5~9歳です。つまり、20代後半の夫婦とその子どもといった若い家族が多い区だと推測できます。このことから、若い家族向け、もしくは小さな子ども向けの商材やアイデアを持って出店すれば、大きな商機が見込めるのではないでしょうか。
また、20代前半と65歳以上を筆頭に、全体的にも女性人口の比率が高いため、女性向けのカフェや飲食店、雑貨、小物などのショップも需要があると考えられます。若い夫婦、小さな子ども、おじいちゃんおばあちゃんをターゲットに、出店計画を進めるとよいでしょう。
川崎市高津区は今後のさらなる発展が見込める
高津区の商圏は、溝の口駅や武蔵溝ノ口駅周辺に集中しているうえ、渋谷や二子玉川にもすぐに出られる立地ということもあり、高津駅は区の名前を冠しているにもかかわらず、商業施設は多くありません。そうした意味でも、区の中心となるのは溝の口です。そして、高津駅や梶が谷駅もこれからまだまだ大きく発展の余地を残しているともいえるのではないでしょうか。
20代後半、そして小さな子どもの人口も多いことから、東急沿線に20代向けの飲食店や気軽に立ち寄れるショップ、子ども向けのグッズを販売する店舗が求められています。そうした意味でこれからの魅力が詰まった街といえるでしょう。