中原区に次いで人口密度の高い幸区
幸区は、川崎市でも最も面積の小さな区ですが、人口密度だけで見ると、最も人口の多い中原区に次いで2位と、にぎわいのある区です(令和4年1月1日現在)。
幸区が位置するのは川崎市南東部で、川崎区・中原区、横浜市の鶴見区・港北区、東京都の大田区と隣接しています。交通は、第二京浜や府中街道が縦横に走り、並行してJR南武線の尻手駅、鹿島田駅と横須賀線の新川崎駅があります。さらに川崎市内で最も大きなターミナル駅である、川崎駅の西口が幸区に面していることから、東海道本線、京浜東北線を使って都内への移動も容易です。
北西部にある加瀬山がありますが、標高は35mとかなり低い山なうえ、ほかの地域にはほとんど高低差がありません。そのため、全体的には平らな土地が多い地形です。また、多摩川、鶴見川、矢上川の3つの河川に囲われていることから、人口密度は高いながらも自然も残る穏やかな面も残されています。
若者から高齢者まで幅広い年齢層が楽しめる施設が豊富
幸区の歴史は古く、加瀬山周辺以外は海面下にあったものの、海面が後退し、陸地になった後、縄文・弥生時代から人々が住んでいたことを示す、土器や骨器が発掘されています。その後も寺社など数多くの文化遺産を持つ歴史がある街です。
時代は進み昭和に入ると南武鉄道(現・JR南武線)や新鶴見操車場が整備され、工場の操業が増加。街の工業化が進みました。そして、近年になると工場移転が進んだ後に、大規模な集合住宅や大学のタウンキャンパス、コンサートホール、大規模ショッピングセンターなどさまざまな施設が建立し、新たな科学技術や産業を創造する研究開発拠点も作られ、幅広い年齢層が集まる場へと変貌しています。
商業施設が最も多いのは川崎駅西口周辺で、「ラゾーナ川崎プラザ」「ミューザ川崎」と2つのショッピングモールがあります。特にラゾーナ川崎プラザには、千葉、東京、埼玉にも店舗を構えるホームセンターのユニディや大型家電量販店のビックカメラが入っており、地元や近隣の人でにぎわいを見せています。また、10のスクリーンを持つ映画館「109シネマ」など、年齢を問わず楽しめる施設も充実しています。
一方で、「ミューザ川崎」には、最大1,997席のコンサートホール「ミューザ川崎シンフォニーホール」を併設。オーケストラやピアノ、管弦楽団などさまざまなライブが行われています。コンサートホールは、ほかに川崎駅から7分ほど歩いた場所にも478の座席数を持つ「川崎市産業振興会館」があり、コンサート以外に展示会、レセプションとしても利用されています。
新川崎駅周辺には、ショッピングモール「新川崎スクエア」、鹿島田駅周辺には、昔ながらの商店街「かしまだ駅前通商店街」、尻手駅周辺には「尻手銀座商店街」と、地元客が買い物に集まるスポットがあります。人口密度が高いこともあり、これらの人が集まりやすい場所での出店計画で、特性を見出すことで高い商機が見込めるでしょう。
駅周辺以外の場所に目を向けてみると、自然が多く残されているスポットも点在しています。レッサーパンダやシマウマ、ペンギンなどがいる「夢見ヶ崎動物公園」、春先には梅が楽しめる「御幸公園」、春には桜、秋には紅葉と季節を通じて多くの人がにぎわう「南河原公園」など家族連れで楽しめる場所も多く、そうした場所でくつろいでお茶を飲める店舗もよいのではないでしょうか。
年齢層で最も多いのは、55~59歳。次いで50~54歳、45~49歳です。しかし、25~29歳の若者世代も比較的多めとなっています。20代の独身もしくは若い夫婦向けのショップ需要も少なくはないでしょう。また、65歳以上は女性の比率が高く、シニアの女性に向けた店舗も場所によっては需要が高いかもしれません。
大学は、慶応大学新川崎タウンキャンパスのほか、川崎市立看護短期大学があります。また、隣接する横浜市港北区には、矢上川を挟んで慶応大学日吉キャンパスもあり、学生が気軽に立ち寄れるカフェや雑貨店、飲食店の出店にも対応できるのではないでしょうか。
小さいなかにさまざまな魅力が詰まった、川崎市幸区
人口数は川崎7区のなかで最も少ないものの、中原区に次ぐ人口密度を持つ幸区。小さいながらも、町の魅力がコンパクトに詰まったエリアです。第二京浜や府中街道が縦横に走り、並行してJR南武線と横須賀線もあるため、交通の便も良く、どこに店舗を出しても気軽に立ち寄れる立地となるでしょう。それこそが、幸区最大の魅力と言えそうです。