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飲食店の経理の重要性と押さえたい基礎知識は?勘定科目や業務のやり方・任せ方などを解説

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飲食店の経理は、経営に関する判断や、税金の支払いなどに関係する重要な業務です。この記事では、飲食店における経理の重要性や、取り組む際に押さえておきたい基礎知識などを解説します。飲食店の経営を円滑に進めるため、ぜひ参考にしてください。
 


 

◆飲食店における経理の重要性と仕事内容

質のよいサービスは、飲食店の経営を支える重要な要素です。ただし、経理業務をおろそかにしてはいけません。経理業務の目的の1つは、法的なルールに従って帳簿付けをして、確定申告することです。確定申告では飲食事業の利益に課される所得税を計算したうえで、適切な額を納付します。
 
また、売上アップを狙った施策を考えるためにも、経理業務は役立ちます。帳簿から、売れ行きのよいメニューやコスト削減につながる情報を見つけ、売上アップに役立てましょう。
 

◇飲食店における経理の仕事内容

経理の業務は、日々行うものと、半年単位、年単位で実施するものに分けられます。飲食店に限りませんが、経理業務として代表的なものを以下に示しました。
 
・現金管理
・預金管理
・掛金管理
・資産管理
・給与・保険の計算
・税務申告
・決算書の作成
 

◆飲食店の経理が扱う伝票と帳簿

以下に、飲食店が扱う主な伝票をまとめたので、参考にしてください。
 
・入金伝票
・出金伝票
・振替伝票
・仕入伝票
・売上伝票
 
現金取引が多い飲食店では、入金伝票・出金伝票・振替伝票で管理する「3伝票制」が多く用いられます。売掛金や買掛金を管理する場合は、仕入伝票と売上伝票も加えた「5伝票制」が向いています。また、飲食店が扱う主な帳簿は主要簿と補助簿です。帳簿には、個々の伝票のデータが集約されています。
 

◆飲食店の経理で押さえておきたい基礎知識

飲食店での経理に関わるには、さまざまな知識を網羅的に把握しなくてはいけません。ここでは、まず押さえておきたい基礎知識を解説します。
 

◇企業や店舗はほぼ複式簿記を採用

帳簿には単式簿記と複式簿記の2種類の形式がありますが、企業や店舗が採用する形式は、ほぼ複式簿記です。単式簿記では、金銭の移動の確認しかできません。一方、複式簿記では、仕訳により金銭の移動が生じた理由まで記録しておけます。また、青色申告特別控除を受けて節税するためには、複式簿記の採用が必要です。
 

◇帳簿付けは発生主義

帳簿は発生主義で付ける必要があります。発生主義とは、取引が発生したタイミングで記録するやり方です。なお、実際に現金のやり取りがない場合でも、発生主義では取引と認めます。
 
例えば「4月1日に予約の連絡を受けて、4月15日にお客さまが店舗を利用して支払いを済ませた」としましょう。帳簿では、1日に確定した取引の内容や未払いの売上を、15日には支払われた現金などの動きを記録します。
 

◇厨房機器など高額なものは減価償却可能

減価償却は、事業に関係する資産の購入代金を、数年に分割して経費計上する会計処理です。分割する方法は、資産の法定耐用年数によって変わります。また、減価償却には、節税や財政状況の把握といったメリットがあります。減価償却につながる可能性がある厨房機器の一例を、以下に示しました。
 
・電子レンジやガスレンジ
・シンク
・作業台
・冷蔵庫や冷凍庫
・フライヤー
・食器棚
 
関連記事:「減価償却費」とは?飲食店のメリットや計算方法についてご紹介!
 

◇キャッシュレス決済は売掛金で計上

キャッシュレス決済がなされた際は、発生主義にもとづき売掛金として仕訳します。お客さまが店舗で飲食してキャッシュレス決済した日に、借方に売掛金と書きましょう。飲食店の預金口座に入金があった時点で、売掛金を消し込みます。
 
関連記事:飲食店の集客手法10選 コロナ禍における対応方法や活用すべきツールも解説
 

◇現金出納帳は現金のやりとりが多い飲食店に必須

現金のやりとりが多い飲食店にとって、現金出納帳は必須です。現金出納帳は補助簿の1つで、現金の入出金が記録されています。飲食店では、毎日の営業が終わったあとに「レジ締め」をします。レジ締めは、現金出納帳の残高とレジの残金が合っているか確認する作業です。現金の手渡しミスなどが発生していれば、現金出納帳の残高とレジの残金が合わなくなります。
 

◇インボイス制度への対応

インボイス制度が始まるにあたって、自分が課税事業者になるか決断し、仕入先の立場も確認する必要があります。飲食店を利用するお客さまの多くが一般人なら、免税事業者のままでも売上に影響がないかもしれません。一方、お客さまの多くが企業の場合は、インボイス(適格請求書)を発行してもらえない免税事業者のままでは、取引が少なくなる懸念があります。
 
また、仕入先が免税事業者の場合は、インボイスを発行してもらえないため、仕入税額控除を受けられなくなる恐れがあります。
 

◆飲食店が支払う税金

飲食店が支払う税金は、個人経営か法人経営かによって変わります。
 
個人経営の飲食店が支払う税金を以下にまとめました。
・個人住民税
・個人事業税
・所得税
・復興特別所得税
 
法人経営の場合は、以下の税金が課せられます。
・法人住民税
・法人事業税
・地方税
・法人税
 
なお、以下の税金は、個人経営と法人経営のいずれも発生します。
・固定資産税
・源泉所得税
・特別徴収住民税
・消費税
・印紙税
 
関連記事:知っておかないと損をする?飲食店にかかる税金の仕組みを解説!
 

◆飲食店の経理でよく使われる勘定科目

ここでは、飲食店の経理でよく使われる勘定科目を紹介します。
 
売上:お客さまに提供した飲食に関する費用
元入金:自分の口座から出した開業資金
長期借入金:融資を受け、今後返済が必要な開業資金
開業費:オープン前に支払った家賃や広告費などの費用
仕入:食材や消耗品など仕入に関する費用
地代家賃:土地や建物の賃料
サービス費:雑誌・新聞代など店舗の快適さに関する費用
水道光熱費:電気代や水道代、厨房のガス代などに関する費用
消耗品費:文房具や伝票など備品に関する費用
法定外福利費:住宅手当や食事補助などに関する費用
法定福利費:社会保険料や雇用保険、労災保険などに関する費用
荷造運賃:飲食品の発送にかかる費用
広告宣伝費:集客にかかる費用
通信費:通信にかかる費用
給料・賞与:従業員への給料
減価償却費:減価償却のルールに従って、期ごとに計上される費用
事業主貸:売上から個人的な用途に充てた費用
事業主借:個人的な口座から事業に回した費用
 

◆飲食店における経理のやり方3選

飲食店における経理のやり方は、3種類あります。自分で経理業務をする場合は、Excel・会計ソフトのいずれかを選択して取り組みましょう。一方、経理業務は難しそうで取り組む時間も捻出できそうにないという人は、税理士に依頼するという手段もご検討ください。
 

◆Excelを使うメリット・デメリット

表計算ソフトであるExcelを、経理業務に使うメリット・デメリットを解説します。
 

◇Excelのメリット

Excelのメリットは、以下のとおりです。
 
・すでに活用している店舗も多く、導入コストを抑えられる
・操作に慣れている人が多く、従業員に操作方法を教える手間を省ける
・フィルター機能や関数などの機能を使えば、簡単な分析ができる
・経理業務に使える無料のテンプレートが豊富で、見やすく、見栄えよくまとめられる
 

◇Excelのデメリット

Excelのデメリットは、以下のとおりです。
 
・消費税計算など複雑な計算が難しい
・日付や費目ごとの検索がしにくい
・簿記の知識がないと、複式簿記では記載しにくい場合がある
・複数人で同時に作業しにくい
・複数の店舗の管理など、データの一括管理が難しい
 

◆会計ソフトを使うメリット・デメリット

会計ソフトは経理業務を効率化するためのソフトで、クラウド型とインストール型に分けられます。クラウド型なら、店舗のパソコンに限らずどの端末からもアクセスできるため、経理業務の効率化が可能です。
 
インストール型は、基本的に買い切り型であるため月々の使用料がかかりません。また、カスタマイズ性に優れている点も、インストール型のメリットといえます。
 

◇会計ソフトのメリット

会計ソフトのメリットは、以下のとおりです。
 
・簿記の知識がない人でも経理業務を担当しやすい
・テンプレートを穴埋めする形式であり、入力ミス・入力忘れが起こりにくい
・レジデータを自動的に取得して帳簿に反映するなど、経理担当者の負担を減らせる機能が充実している
・決算書の作成や分析をサポートしてくれるソフトもある
 

◇会計ソフトのデメリット

会計ソフトのデメリットは、以下のとおりです。
 
・導入や運営にあたって、月額料金や初期費用が発生する場合がある
・従業員が操作方法を覚えるまで時間がかかる可能性がある
 

◆税理士に依頼するメリット・デメリット

税理士に経理代行や確定申告を依頼することも可能です。しかし、確定申告の時期になって相談しても、既存の顧客対応で忙しい税理士には対応を断られる恐れがあります。確定申告の依頼を検討する予定であれば、日頃から顧問契約を結んでおくと安心です。
 

◇税理士に依頼するメリット

税理士に依頼するメリットは、以下のとおりです。
 
・難しい経理業務を理解する手間を省け、飲食店の経営に専念できる
・最新の法改正なども熟知しているため、的確に処理してもらえる
・帳簿の数値をもとに客観的に分析してもらえる
・経理のプロとしての意見を聞ける
 

◇税理士に依頼するデメリット

税理士に依頼するデメリットは、以下のとおりです。
 
・顧問料や代行料が発生する
・店舗に経理のノウハウが残らず、契約を辞められなくなる
・経理業務に詳しい従業員を育成できない
・飲食店に詳しい税理士探しに時間がかかる
・先方のセキュリティ体制によっては、情報漏洩のリスクがある
 

◆まとめ

飲食店の経理業務は、適切な帳簿付けと確定申告をして、売上アップにつながる施策を考えるための重要な役割です。基礎知識や飲食店で使われがちな勘定科目を理解して、経理業務ができる環境を整えましょう。
 
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