コロナ禍3回目の冬 今年の忘・新年会需要は?
新型コロナの感染拡大から、今年は3回目の冬となる。東京商工サーチは、2022年末から来年にかけての忘年会・新年会の需要について調査した結果を公表した。それによると、忘年会を「開催しない」とする企業の割合は減っている。調査結果の詳細をみていこう。
忘・新年会を「開催しない」は6割超
東京商工リサーチが2022年10月に全国の企業を対象に実施したアンケート調査によると、忘年会を「開催しない」企業は61.4%で、前年10月の調査に比べて9.0ポイント減った*1。つまり、忘年会の開催に前向きな企業が増えているといえる。
ただ、もちろん無条件というわけではない。「開催する」場合の具体的条件は、
・「緊急事態宣言」の対象地域となっていなければ開催する:7.7%
・「まん延防止等重点措置」の対象区域となっていなければ開催する:25.5%
・「緊急事態宣言」「まん延防止等重点措置」に関係なく開催する:5.2%
となっている。
なお、都道府県別に見ると、「開催しない」割合が最も高かったのは栃木県の75.6%だった。以下、長崎県74.0%、静岡県73.6%、岡山県72.7%と続く。一方、最も低かったのは秋田県の35.0%、次いで沖縄県の39.6%だった。
「参加したい」個人の意向は半数以上
また、日本フードデリバリー株式会社のアンケート調査によると、2022年は対面での忘年会に参加する・参加したいという人の割合が56.1%だった。2021年の調査よりも12.6ポイント増えている。
(出所: PR TIMES「2022年、忘年会の意識調査を実施。56.1%が対面での忘年会に『参加したい」と回答』)
このうち、「参加したくない・未定」とした人に対して「どのような忘年会であれば参加したいか」をたずねたところ、「プライベート」「少人数」なものであれば参加したいという回答が多かった。
(出所: PR TIMES「2022年、忘年会の意識調査を実施。56.1%が対面での忘年会に『参加したい」と回答』)
飲食店側としては、このような需要にも注目したいところだ。
飲食店倒産件数は減少傾向
さて、長くにわたって苦境を強いられる飲食店業界だが、ここで経営状況についても見てみたい。東京商工リサーチによると、2022年上半期(1-6月)の飲食業倒産(負債1000万円以上)は237件で、前の年の同じ時期より28.1%減少している。2年連続の減少となる。
(出所: 東京商工リサーチ「2022年上半期飲食業倒産、過去20年間で最少 コロナ関連は全体の約6割に上昇」)
ただ、資本金「1億円以上」が3年ぶり、負債「50億円以上」が2件(前年同期ゼロ)発生するなど、倒産企業の規模は中堅まで広がっているという特徴もある。
なお、経営形態別にみる倒産件数の内訳は以下の通り。
(出所: 東京商工リサーチ「2022年上半期飲食業倒産、過去20年間で最少 コロナ関連は全体の約6割に上昇」)
なお、東京商工リサーチは、「小・零細規模を中心に、過剰債務を抱え、業績回復が遅れた飲食業者の息切れ倒産が増勢に転じる可能性も高まっている」と指摘している。
定番行事が薄れかける中、新しい生き残り策を
忘年会・新年会といえば誰もに馴染みがある「定番行事」であり、飲食業界にとっても最大の書き入れ時であった。しかし、コロナで始まった新しい生活様式が定着し、積極的に外食しなくても良いという風潮がある程度残っているのが現状だろう。
飲食店としては、年に一度の大型需要にのみ収入を頼る経営方針を見直す必要もありそうだ。
*1 東京商工リサーチ「忘・新年会を『開催しない』が61.4%、前年から9.0ポイント減少 ~ 2022年『忘・新年会に関するアンケート』調査 ~」
- ニュース・特集最新記事はこちらから
「ニュース・特集」の関連記事
関連タグ
-
6月21日より「まん延防止措置」へ移行 飲食店の酒提供、新たな協力金申請の注意点は?
-
6月21日より「まん延防止措置」へ移行 飲食店の酒提供、新たな協力金申請の注意点は?
-
「まん延防止等重点措置」来月6日まで延長 36都道府県に適用拡大
-
「まん延防止等重点措置」来月6日まで延長 36都道府県に適用拡大