飲食店開業までのスケジュール いつ何を準備すべきかをわかりやすく解説
飲食店を開業すると決めたものの、具体的な準備やスケジュールがわからない人もいるのではないでしょうか。この記事では、飲食店の開業が初めての人に向けて、準備から開業までのスケジュールの目安と注意点、取り組み内容などをわかりやすく解説します。これから飲食店を開業する人は、ぜひ参考にしてください。
◆飲食店開業までに必要な準備期間や準備内容の全体像
まずは、飲食店を開業するまでにどのくらいの準備期間が必要なのか、準備すべき内容を以下で詳しく解説します。
◇一般的に必要な準備期間
飲食店の開業に必要な期間は、どの段階からスタートしているのかで異なります。たとえば、店舗のコンセプトの検討や物件探しなど、ゼロからスタートする場合は、開業日から逆算して1年前から準備を始める必要があります。
◇必要な準備の内容例
飲食店の開業に必要な準備の一例を解説します。最初に取り組むべき準備は、店舗のコンセプトを決めることです。コンセプトが明確になってから事業計画を策定し、物件探しや資金の調達、メニューの開発などを進めていきます。物件の決定後は、必要に応じて店舗の内外装の設計・施工工事や、厨房設備機器・什器・備品などの搬入を行います。
さらに、開業にあたって各種届出や手続きに加え、調理・ホールスタッフの採用・教育なども必要です。開業前には、プレオープンやレセプションを開催し、オープン前に最後のオペレーションを確認します。
◆飲食店開業のスケジュールにおける注意点
飲食店の開業に向けてスケジュールをこなすうえで、気をつけるべき注意点を解説します。
◇決めたスケジュールは調整しながら進める
開業の準備はやることがたくさんあるため、スケジュール作りが重要です。スケジュールを進めていく中で問題が生じる可能性もあるため、都度調整しながら進めていきましょう。また、スケジュールを立てる際は、予定がずれ込むことも想定したうえで準備する必要があります。たとえば、立地のよい物件が見つからない場合に備えて、生活費を多めに準備しておくなどです。
◇借りる物件の種類によって準備期間が変わる
準備期間は、スケルトン物件や居抜き物件など、物件の種類によって異なります。スケルトン物件とは、建物が骨組みになっている状態の物件を指します。店舗の内外装の自由度が高い反面、内外装の設計・施工や厨房設備などの搬入も、すべて自社で行わなければなりません。
一方で、居抜き物件とは、前の契約者が使用したままの状態で契約する物件のことです。居抜き物件のように、内外装の設計・施工や厨房設備の搬入が必要ない物件を選べば、開業資金を安く抑えることも可能です。今回は、スケルトン物件を借りることを想定して、解説していきます。
費用に関しての比較はぜひこちらをご覧ください。
◇開業とオープン日のタイミングを検討することも重要
・開業のタイミング
自己資金が貯まる頃を、開業の目安にするとよいでしょう。一般的に、飲食店の経営を軌道に乗せるためには半年程度の期間が必要といわれています。半年間は売上が少ないため、店舗の運営費や生活費などは自己資金で賄うことになります。また、自己資金が不足していると、融資を受けられない可能性があるため注意が必要です。
・オープン日のタイミング
飲食店のオープン日は、一般的に9~10月が適しているといわれています。12月はクリスマスや忘年会、1月は新年会、2月はバレンタインなどのイベントが続きます。11月以降に飲食店をオープンすると、スタッフが通常業務に慣れる前に繁忙期を迎えるため、混乱を招きかねません。9~10月にオープンすれば、スタッフが業務に慣れてから繁忙期を迎えられます。
◇防火管理者と食品衛生責任者の講習日に注意
防火管理者と食品衛生責任者の資格は、飲食店営業許可を得るために不可欠です。資格を取得するためには、各自治体で実施している講習会の受講が必要です。講習会の申し込みが直前になると、希望の日程で受講できず開業日に間に合わなくなる可能性があります。事前に受講日のスケジュールを確認しておき、早めに申し込みましょう。資格の詳細は、後述するスケジュール例の項目で解説しています。
〇防火管理者について詳しく知りたい方は こちら をチェック!
〇食品衛生責任者について詳しく知りたい方は こちら をチェック!
◆飲食店開業の目安となるスケジュール例
飲食店の開業に向けて、いつ何をするのか具体的な目安と実施時のポイントを解説します。スケジュールを立てる際の参考にしてください。
◇【オープン日1年前】開業についての情報収集・店舗コンセプトを検討
まずは、インターネットやセミナーなどで、飲食店の開業に必要な情報を集めましょう。同時に、店舗のコンセプトを検討します。コンセプトとは、どのような店舗を作りたいのかを明確にしたものです。コンセプトを明確化しなければ他店舗との差別化ができず、うまく集客できません。その際はぜひこちらを参考にしてください。
店舗のコンセプトを検討する際は、フレンチなどの業態やターゲットにする客層、商品の価格、メニューの種類、店内のインテリアなどを考慮しましょう。コンセプトの決定後に、商標登録されていない店舗名を考えます。
〇ネーミング方法について詳しく知りたい方は こちら をチェック!
◇【10-11ヶ月前】事業計画策定・事業計画書の作成
オープン日から10~11ヶ月前には事業計画を策定し、事業計画書を作成する必要があります。事業計画とは、事業内容や経営上の収支計画などを指します。事業計画を書類にまとめたものが事業計画書です。
事業計画書は金融機関から融資を受ける際にも必要になるため、売上予測や客単価、回転率などの数値を根拠に収支計画などを立てることが重要です。また、よいものができるまで修正を行い、計画書を完成させましょう。
◇【6-8ヶ月前】出店候補地の選定・店舗用の物件探し
オープンから6~8ヶ月前には、出店する候補地の選定や物件探しを始めましょう。物件を探す際は店舗のコンセプトを前提に考え、ターゲットの客層が通いやすく、予算内に収まるかどうかで決める必要があります。
また、候補になる物件が見つからずスケジュールがずれる可能性もあるため、スケジュールを調整しながら進めていくことも大切です。上述したとおり、スケルトン物件と居抜き物件のどちらを選ぶのかで、オープン日までのスケジュールが変わることも考慮しておきましょう。
◇【5ヶ月前】資金確保・資金調達・借入
オープン日から5ヶ月前には、開業に向けて必要な資金の調達を行います。一般的に、飲食店の開業には1,000万円前後の資金が必要といわれています。開業資金の内訳は、店舗の内外装の工事費や設備費、運転資金などです。
自己資金で賄いきれない場合は、金融機関で融資を受ける、親族に支援してもらう、クラウドファンディングで支援を募るなどの方法で資金を調達しましょう。ただし、金融機関で融資を受ける際は、審査に通らなければ借り入れできません。
◇【3-4ヶ月前】店舗の内外装の設計~施工
オープンから3~4ヶ月前には、店舗の内外装の設計・施工を行います。理想のイメージに近い店舗にするためには、コンセプトにあったデザインやインテリアを選ぶ必要があります。また、内外装の業者選びも重要です。
施工業者を選ぶ際は飲食店の施工実績があり、相談にのってくれるようなコミュニケーションをとりやすい会社を選びましょう。店舗の内外装を変更する際は時間やコストがかかるため、簡単には作り直せません。内外装を設計する際は慎重に対応することが大切です。
◇【2-4ヶ月前】料理・メニュー開発~仕入れ業者の選定
オープン日から2~4ヶ月前には、メニューの開発や仕入れ業者の選定を進めていきます。具体的に提供するメニュー・料理が決まらないと、仕入れ先の選定はもちろん、食器類の発注やメニュー表の作成、価格の設定などの準備が滞ってしまいます。こだわりすぎて時間をかけすぎないように注意しましょう。
メニューを検討する際のポイントは店舗のコンセプトにあっており、原価をある程度抑えられるかどうかです。また、スタッフの調理技術を考慮したメニューを選ぶことも重要です。
◇【2-3ヶ月前】厨房設備・食器や什器・備品の購入~搬入
内装工事が完了し、オープン日の2~3ヶ月前には厨房設備や食器・什器、備品などの発注から搬入までを済ませておく必要があります。買い忘れを防ぐためにも、あらかじめ厨房とホールのそれぞれに分けて、必要な種類や数を記載した買い物リストを作成しておきましょう。
厨房設備を購入する際は調理方法や使用する食材の種類・量などを考慮し、必要なサイズや数を選ぶことが大切です。食器・什器や卓上用の調味料入れなどの客席で使用する備品は、提供する料理や業態、コンセプトを意識して統一感のあるものを選びましょう。
◇【1ヶ月前】各種届出・手続き
飲食店を開業する際は、食品衛生責任者の資格取得後に飲食店営業許可を届け出る必要があります。食品衛生責任者の資格取得は、管轄の保健所で開催される講習の受講が必須条件です。税務署では個人事業主の開業届出書と所得税の青色申告承認申請書、給与支払い事務所の開設届の提出が必要です。
また、30席以上ある店舗は防火管理者の資格も必要なため、各自治体で開催される講習会を受講し、消防署への届出が必要です。深夜営業をする場合は、警察署へ深夜酒類提供飲食店営業開始届出書の届出も忘れずに行いましょう。
◇【1ヶ月前】スタッフの採用・研修・マニュアル作成
オープン日から1ヶ月前には、厨房・ホールスタッフの採用と教育、マニュアルの作成を行う必要があります。スタッフを募集する際は、求人サイトやアルバイト情報誌などに求人広告を掲載しましょう。社員を採用する場合は身内や一緒に働いた経験のある人を選べば、安定した人材を確保できるため開業をスムーズに進められます。
スタッフの採用後は、接客マナーや食品衛生面の教育を行うことも重要です。作成すべきマニュアルは、業務・接客・調理の3種類です。遅くともオープン日の2週間前までに完成させておきましょう。
〇接客マニュアルについて詳しく知りたい方は こちら をチェック!
◇【1-2週間前】オープン準備・レセプション・プレオープン
オープン日の1~2週間前には、レセプションやプレオープンの準備や告知を行います。レセプションとは、関係者を対象にした店舗のお披露目パーティーです。プレオープンは、実際に店舗へ客を入れて行うものです。
プレオープンでは、満席にしてオペレーションに問題がないか確認する必要があります。改善点を洗い出し、オープンに向けて作業動線やオペレーションを調整していきます。また、集客のためにSNSの公式アカウントを開設し、店舗情報やオープン日を告知しておきましょう。
〇オープンPRレセプションについて詳しく知りたい方は こちら をチェック!
◇オープン日当日~オープン後
オープン日当日は、提供するメニューやスタッフの接客が、来客にどのような印象を与えているのか検証する必要があります。たとえば、アンケートを実施して来客に率直な意見を書いてもらうのも有効です。また、販売促進のためにチラシ配布やSNSでの発信なども、引き続き行っていくことも大切です。
オープン後は事業計画書に沿って店舗の運営を行い、財務状況を定期的にチェックするようにしましょう。
◆まとめ
飲食店の開業は、オープン日の1年前から計画的に準備する必要があります。物件探しで難航する可能性もあるため、スケジュールは状況にあわせて調整するようにしましょう。なるべく開業資金を安く抑えたい場合は、厨房設備や内装付きの居抜き物件がおすすめです。
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