西武多摩湖線は、東京都国分寺市の国分寺駅から東京都東村山市の多摩湖駅までを走行する全長9.2kmほどの路線です。国分寺駅、一橋学園駅、青梅街道駅、萩山駅、八坂駅、武蔵大和駅、多摩湖駅の7駅があり、全線乗車でも約16分です。
単線で構成されており基本的にはワンマンの折り返し運転で、ラッシュ時も含む全時間帯において10分間隔のダイヤで運行しています。また日中は半数が、国分寺駅〜萩山駅の折り返し運行がされています。
通常は沿線地域の生活を支える路線として利用されていますが、西武ドームでイベントがあるときにはJR中央線方面から西武ドームへの観客輸送を担います。野球の開催日には、通常ダイヤに加えて不定期列車が増発され、多くの人でにぎわいます。
短距離でありながらも、それぞれに特徴的な駅周辺エリアが存在する魅力的な路線で、全沿線を通じて適度な利便性と生活環境の良さを支持する声も多く聞かれます。
主要駅へのアクセスが良好な国分寺駅周辺
国分寺駅は、JR中央線・西武国分寺線をあわせ2社3路線の利用が可能。国分寺線では東村山方面へ、JR中央線の特別快速利用では新宿駅まで乗り換えなしで最短19分、東京駅へも乗り換えなしで約34分と、都心へのアクセスも良好です。
電車の本数も多く、通勤・通学の利便性が非常に高い駅となっています。また、北口・南口からは路線バス・コミュニティバスが発着しており、府中行きを始め、各方面への移動も便利です。
駅周辺には大型商業施設が立ち並び、駅を中心としてスーパーが徒歩5分圏内で6店舗、コンビニエンスストアは14店舗と近隣在住者は生活必需品の調達に困ることはありません。また、病院や公共施設も多数点在し、暮らしやすさを提供しています。
駅ビル内には飲食店が豊富で、乗り換えついでや帰宅途中で立ち寄るのにも便利です。駅周辺では開発が進行しており、タワーマンションの建設も目立ちます。全体的に活気が感じられるエリアとなっており、今後の発展にも期待がかかります。
国分寺駅から2km圏内人口は約13.8万人、65歳以上人口は約18%と低く、30~39歳が最も多い居住者層です。1人世帯比率は約45.4%。
交通利便性、生活環境ともに良好であることから、若い世代の居住も多くなっています。
出店に際しては、独身層も一定数見込めるため、ファミリー向けと個食層向けの両方をターゲットとして想定できます。駅ビルの飲食店についての感想としてお値打ち感が聞かれることから、駅周辺で開業する場合には、価格設定に関しての検討が必要です。
路線数が多く、商業施設も集積しているため、集客チャンスは期待されますがライバルも多いと考えて良いでしょう。
同エリアのランドマークには「国分寺マルイ」「ミーツ国分寺」「セレオ国分寺」などがあります。
生活に便利で落ち着いた暮らしが人気の一橋学園駅周辺
一橋学園駅周辺には、駅名となっている「一橋大学 小平国際キャンパス」のほか、「国際交流プラザ」「関東管区警察学校」などを始め、教育関連施設が多数見られます。他エリアと比べても、学生や若い世代の姿が目立つ町です。
地域的には、学校の多い文教地区と閑静な住宅街で構成されており、落ち着いた暮らしができる雰囲気があります。商業施設としては、「スーパーあまいけ一橋学園店」「マルエツ 一橋学園店」があり両店とも23時まで営業。大型店舗はありませんが、生活利便性を満たす条件としては十分です。
一橋学園駅2km圏内人口は約13.3万人、65歳以上人口比率は約17%、40~49歳居住人口の割合が高くなっていますが、30代もそれに次いでいます。
駅周辺は個人経営の飲食店が多く、学生が多いため比較的安価な価格設定でボリュームのあるメニューが人気。駅名が表すように学生街のあるエリアだけに、若い世代をターゲットとした店舗計画がおすすめです。
トレンドを押さえながら若い人に人気のある麺系、ごはん系や、夜の需要をとらえた居酒屋系統などに商機が感じられます。
同エリアのランドマークには、「一橋大学 小平国際キャンパス」「関東管区警察学校」「旧三井家拝島別邸」などがあります。
豊かな水景とテーマパークが楽しめる多摩湖駅周辺
多摩湖駅は、2021年3月に西武遊園地駅から現在の多摩湖駅に改称されました。立川駅・立川北駅までは約31分、新宿駅まで約42分で、西武多摩湖線と西武山口線(レオライナー)の2路線が利用可能です。
北口には「西武園ゆうえんち」があり、休日には家族連れでにぎわいます。特に夏休み期間には毎週土曜日・日曜日に花火大会が催され、多くの人が来園。2021年春のリニューアル後は「昭和の熱気」をテーマにしたレトロ感が漂うコンテンツや「ゴジラ・ザ・ライド」といったアトラクションで人気が再燃しています。
駅の西側には狭山公園、多摩湖が広がります。多摩湖一帯にはサイクリングロードが整備されており、交通の便の良さもあって、首都圏から散策やアクティビティに訪れる人の姿も目立ちます。
多摩湖駅から2km圏内の人口は6万人程度。居住者だけではなく、行楽客をどう取り込めるのかといったターゲット層の設定がカギとなりそうです。
テーマパークの集客力を活用するのであれば、ファミリー層向けの店舗計画、多摩湖や公園目当ての層にはナチュラル感をコンセプトにした健康的なメニューの提供というように、場所の魅力とそこに集まる人の方向性を見極めた店づくりが必要です。
多様な集客チャンスが眠る西武多摩湖線
多摩湖線は短い路線の中に、多様性が詰まった沿線エリアが広がっています。自然と遊べるエリア、テーマパーク、文教の町、閑静な居住地と利便性の両立など、さまざまな魅力に満ちています。比較的若い居住者が多いことでも路線の価値が感じられ、出店への期待が高まります。出店地を選ぶ際には各駅によって特色が異なるため、希望する店づくりとのマッチングを見極めていきましょう。