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ラーメン店は立地で決まる?ビジネス街・繁華街・ロードサイド・住宅街の繁盛ポイント徹底解説

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ラーメン店の成功は、単に味や価格の良し悪しだけでは決まりません。特に都心や郊外での開業においては、どの立地を選ぶかが売上や集客に大きな影響を及ぼします。立地によって来店客の属性や動機、滞在時間、競合状況がまったく異なるため、それぞれの環境に合わせた経営戦略を立てることが、繁盛への近道です。
 
この記事では、ラーメン店の立地を「ビジネス街」「繁華街」「ロードサイド」「住宅街」の4タイプに分類し、それぞれの特徴と繁盛ポイントを徹底的に解説します。
 

◆ビジネス街型:『昼の回転率、スピード感が命。』

ビジネス街型のラーメン店は、平日のランチタイム需要が中心です。主な客層はサラリーマンやOLで、12時前後の1時間ほどの間に来客が集中します。その一方で、夜間や土日の来客数は落ちやすく、昼にどれだけ効率よく回転させられるかが売上の鍵となります。
 
繁盛ポイント

(1)駅近で徒歩3〜5分以内が理想

 ビジネス街では、駅からのアクセスのしやすさが圧倒的に重要です。徒歩商圏は通常1kmほどですが、昼休み中の短時間来店を想定すると実際の商圏は半径500m以内に絞られます。いかに「短時間で来られるか」が売上を左右します。

(2)回転率を上げる席配置と提供スピード

 カウンター中心のレイアウトで、提供時間を短縮するオペレーションを重視しましょう。メニューは絞り込み、調理と提供の効率化を徹底することがポイントです。「券売機の導入」も効果的です。

(3)満足度の高いランチセットを提供

 短時間でも満腹・満足できるセットメニューが人気。ラーメン+小丼(チャーシュー丼やカレーなど)の組み合わせは定番です。セット構成を工夫することやライス無料などの特典もリピート率が上がります。

(4)毎日でも食べられる味を意識

 こってり・クセ有りよりも、あっさり・ほどよい濃度のスープが好まれます。また「替え玉無料」「大盛り無料」といったサービスは満足度を上げつつ、フードロス削減にもつながります。
 

◆繁華街型:『夜の集客とSNS映えが鍵。』

繁華街型のラーメン店は、夜間の来店がメイン。若者や観光客、飲み会帰りの人など多様な層が訪れ、味の良さに加え「体験」や「話題性」が重視されます。競合が多い環境だからこそ、「思わずシェアしたくなる店づくり」が繁盛のポイントになります。
 
繁盛ポイント

(1)写真映えするデザイン・照明演出

 SNSでの拡散が集客を左右します。外観・内装・照明など、写真映えする空間設計を意識しましょう。暖簾や看板、食器なども「映える要素」として計算されます。

(2)居酒屋づかいも視野に入れる

 ラーメン専門店にこだわらず、「ちょい飲み」ができるメニュー構成も効果的。おつまみやアルコールを提供することで、単価アップを狙えます。ラーメン+お酒の“〆にもなる一軒”を目指しましょう。

(3)滞在時間を快適に設計する

 繁華街では「回転率」より「体験価値」が重要。椅子の高さ、隣席との間隔、音響も含めた雰囲気づくり、照明の明るさなど、滞在時間が心地よくなる空間を整えることがポイントです。

(4)店主の個性と物語を発信する

 SNSや店内POPで店主の想いやストーリーを伝えることで、ファン化・口コミ拡散が起こります。限定メニューや季節メニューを定期的に発表し、話題を絶やさない工夫も有効です。
 

◆ロードサイド型:『車からの視認性と駐車場確保が最優先。』

ロードサイド型は車での来店が中心となり、幹線道路沿いの立地が多いタイプです。駐車場の有無が集客に直結し、「通りがかり需要」と「目的来店」の両方を取り込めるのが特徴です。比較的広い物件を確保しやすく、ファミリー層や団体にも対応可能です。
 
繁盛ポイント

(1)遠くからも目立つ外観と看板

 車移動では2〜3秒の視認が勝負。大きく明るい看板でラーメン屋と分かるだけでなく、専門性が一目で伝わる表記(例:「家系ラーメン」「北海道系」など)で訴求しましょう。

(2)駐車場・駐輪場の充実

 駐車スペースは席数と同程度を確保できると理想的です。出入りしやすい導線設計や夜間照明の確保も重要です。

(3)グループ・家族向けの座席配置

 ロードサイド店では複数人来店が多く、広めのテーブル席が好まれます。お子様メニューやシェアしやすいセットメニューや定食類も喜ばれます。

(4)ボリューム感とスタミナ系メニュー

 肉体労働者や長距離ドライバー層に響く、濃い味・大盛り・ニンニク系などボリューム満点の構成が有効です。サイドメニューも含め、満足度を意識した設計を。
 

◆住宅街型:『地域密着と常連客重視。』

住宅街型ラーメン店は、近隣住民が主な顧客層。平日のランチや夕食、週末の家族利用など、幅広い時間帯に安定した集客が期待できます。派手な集客よりも、地域との関係性を育てることが何より大切です。
 
繁盛ポイント

(1)家賃を抑えて居心地の良い空間を実現

 都心部より家賃が低いため、ゆったりした席配置やキッズスペースの設置も可能です。ベビーカー対応やバリアフリーも、住宅街では高い評価を得ます。

(2)常連客との関係構築を重視

 顔なじみの客を増やすことが安定経営のカギ。スタッフが名前を覚えたり、地域のイベントに参加したりすることで、地域コミュニティに溶け込むことができます。

(3)定番メニューで安心感を提供

 住宅街では“毎日でも食べたい味”が好まれます。奇抜な新作よりも、安定感のある味と品質を守ることが大切。トッピングや麺の硬さなど、好みに合わせて選べる自由度や、味変調味料などの充実で満足度が高まります。

(4)口コミとSNSで地域に浸透

 近隣客の口コミが最も影響力を持つのが住宅街立地です。SNS投稿やLINE公式での情報発信を行い、地域の人々に“身近な存在”として認知されることを目指しましょう。
 

◆立地に合わせた戦略が繁盛の鍵

ビジネス街型、繁華街型、ロードサイド型、住宅街型――どの立地であっても、「立地特性に合った戦略設計」がラーメン店の繁盛を左右します。重要なのは、「いつ(時間帯に)、誰に、どこで、どのように食べてもらうか」を明確に設計することです。
 
味や価格に加え、空間設計・導線・情報発信を含めた総合的な戦略を立てることで、長く愛されるラーメン店を目指しましょう。
 

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RESTAは店舗専門の不動産業者「レスタンダード株式会社」が提供するWEBマガジンです。飲食店の開業のノウハウから新規出店情報、飲食店経営に関わるヒント等役立つ幅広い情報を発信しています。
 

 
川瀬 亮太
飲食店開業応援マガジン「RESTA」編集者。店舗プロデュースやブランディング、飲食店の開業・営業支援などを行うROOTage株式会社 代表取締役。主に小規模飲食店の支援を行いがなら、取材・執筆も行う。現場経営者との交流を通じて、実践的なノウハウを発信している。
 

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