開業ノウハウ

パン屋さんの開業資金はどれくらい?開業のための準備や必要な資格・許可についても解説

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パン屋さんの開業には、多くの準備だけでなく開業資金も必要です。この記事では、将来的にパン屋さんを開業したいと考えている人に向けて、パン屋さんを開業する際の開業資金について解説します。あわせて、開業までにしておく準備や開業までに必要な資格・許可なども解説するため、ぜひ参考にしてください。
 


 

◆パン屋さんの業務内容

パン屋さんの業務内容は、主に「パンの製造」と「パンの販売」の2つに分けられます。パンの製造とは、その名のとおり販売するためのパンを作る工程です。材料の仕込みから生地作り、成形や焼成、袋詰めなどの作業を指します。パン屋さんの規模にもよりますが、1人ですべての工程を行うケースもあれば、各工程を分担するケースもあります。パンの販売は、店内にパンを陳列や補充をしたり、来店客の対応やレジ対応をしたりといった業務です。
 

◆パン屋さんとしての技術の習得方法

パン屋さんとしての技術を習得するには、専門学校に通って学ぶ方法と、実際にパン屋さんで働く方法があります。
 

◇専門学校に通う

専門学校に通いながら、技術を習得する方法です。調理系の専門格好でパンを作るための知識や技術を教えてもらえるため、パン作りの基本から学べます。また、厚労省認定のパン製造技能士と呼ばれる国家資格を取得することも可能です。ただし、パン屋さんを開業する際に必須の資格ではないため、取得しなくても問題はありません。
 

◇パン屋さんで働く

既に一度社会に出ている人は、実際にパン屋さんで働いて経験を積む方法がおすすめです。パン屋さんで働きながら技術を学ぶことで、専門学校に通う費用などを節約できます。
 
また、働きながら技術を習得したいなら、大手のパン屋さんではなく中小規模のパン屋さんを選びましょう。大手は分業されているため、作業の全体像が掴みにくい可能性があります。パンの製造から販売まで、すべての工程を学ぶためにも、中小規模のパン屋さんのほうがよいでしょう。
 

◆パン屋さん開業に必要な費用

パン屋さんを開業するには、資金が必要です。実際に、パン屋さんを開業する際には、どのような費用がかかるのでしょうか。
 

◇不動産取得のための費用

まずは、不動産取得費用です。パン屋さんを開業するためには店舗が必要ですが、どの程度の費用がかかるかは大きな幅があります。店舗を取得する際には、立地や各種条件によって費用が大きく変動するためです。たとえば、人通りの多い場所は立地が良いため、費用が高くなる傾向にあります。また、店舗の広さによっても家賃は異なります。
 
敷金・礼金と1か月~2か月分の家賃、保証金などが必要となり、一概にはいえませんが50万円~300万円程度が費用の目安となるでしょう。
 

◇厨房機器・業務用備品

パンを焼くために必要な、厨房機器や業務用備品を揃えるための費用も必要です。たとえば、パンを焼く際に必要なオーブンや窯、業務用の冷蔵庫やミキサー、フライヤーなど、必要な機器や備品は多岐にわたります。
 
また、パンを発酵させるための機器である「焙炉(ホイロ)」や「発酵庫」なども、必要です。ホイロなどがあると、パンの製造が効率的に行えるようになります。ただし、ホイロなどはかなり高額で、非常に重い機器です。そのため、床の耐荷重や搬入口などを必ず確認して、運び込めるかどうかをチェックしておかなければいけません。
 
提供する商品の数が多ければ多いほど、厨房機器などが必要になります。店舗の規模や提供する商品の種類にもよりますが、400万円~800万円程度が目安となるでしょう。
 

◇内外装工事費用

外壁の塗装や店舗内の壁紙の張り替え、正面デザインから看板サイン工事、給排水設備や空調設備などの工事が必要です。デザインにこだわりがある場合には、その分費用は高くなりますが、一般的には400万円~800万円程度が目安です。これについては、居抜き物件なら大幅に費用を抑えられる可能性があります。居抜き物件については後述するため、そちらを参考にしてください。
 

◇運転資金

パン屋さんを開業するには、初期費用だけでなく運転資金も必要です。パン屋さんを経営していくには、さまざまな費用がかかります。たとえば、物件の家賃や共益費、水道光熱費などの店舗を維持するための費用から、パンを作るための原材料費や人件費、集客するための広告宣伝費など、必要な費用は多岐にわたります。
 
開業直後に、経営が軌道に乗るとは限らないため、ある程度の運転資金を確保しておかないと、パン屋さんを経営するのは難しいでしょう。開業前に、どの程度の運転資金が必要かを把握しておくことが大切です。
 

◇開業資金を安く抑えたいなら居抜き物件がおすすめ

居抜き物件とは、内装や備品などが残った状態の物件です。開業資金のうち、物件や設備に関わる費用は大きな割合を占めます。しかし、居抜き物件なら費用を抑えられるだけでなく、開業までの期間短縮にもつながります。再利用できる厨房設備や、什器がある居抜き物件を見つけられれば、さらに開業資金を節約できるでしょう。
 

◆パン屋さん開業までに準備すること

パン屋さんを開業する際には、どのような準備が必要なのでしょうか。ここでは、パン屋さんの開業に必要な準備を解説します。
 

◇市場調査をする

パン屋さんを開業するにあたって、市場調査は欠かせません。出店エリアやターゲットとする顧客のコア層を絞り込んだうえで調査をしましょう。パン屋さんは数多くあるため、単純に人気店を参考にしても上手くいかない可能性があります。ターゲット層に、人気のあるパンや価格帯などを調査しましょう。
 

◇コンセプト・メニューを考える

市場調査の結果をもとにして、店のコンセプトやメニューを考えます。コンセプトやメニューが、ターゲット層や地元の顧客に受け入れられるかどうかも、パン屋さんを成功させるポイントです。他店との差別化を図るために看板メニューや、ターゲット層や出店エリアに合わせたコンセプトを考慮するとよいでしょう。
 

◇物件探し・店舗づくりをする

コンセプトや資金を考慮しながら、物件探しをします。こだわりが強すぎると、不動産取得費用や内外装工事費用などがかさんでしまうため、資金とのバランスを見ながら物件探しや店舗づくりをすることが重要です。理想の店舗を追求するのもよいですが、こだわりすぎると初期費用がかかってしまい、資金繰りに苦労するケースも少なくありません。
 

◇開業のための届け出をする

パン屋さんを開業するためには、各種申請が必要です。個人事業主としてパン屋さんを開業するのなら、税務署に開業届を提出しましょう。屋号を決めて、青色申告承認申請も合わせて提出します。
 
保健所への営業許可申請も必要です。営業許可をもらわずに開業すると違法営業となり、罰金や営業停止などの処分が科せられるケースもあるため、注意しましょう。開業に必要な資格や許可については後述するため、そちらを参考にしてください。
 

◆パン屋さん開業に必要な資格・許可

パン屋さんを開業する際には、イートインスペースがない場合は「食品衛生責任者」と「菓子製造業許可」、イートインスペースがある場合は、これらに加えて「飲食店営業許可」が必要です。ここでは、各種資格と許可について詳しく解説します。
 

◇食品衛生責任者

食品衛生責任者は、食品管理や衛生管理のための資格で、食品を扱う場合には不可欠です。食品を取り扱う場合には、食品衛生責任者を必ず1人置かなければいけません。
 
食品衛生責任者は、都道府県などが実施する講習会に参加して、受講修了者として認められれば取得できます。また、栄養士や調理師、製菓衛生師などの資格を持っている場合は、講習を受けなくても資格取得が可能です。講習会はニーズが高く、1~2か月先まで満席というケースもあるため、早めに申し込みましょう。
 
参考:食品衛生責任者の資格を取るには?費用や試験、申し込み方法について解説します
 

◇菓子製造業許可

菓子製造業許可とは、パンの製造と販売を行う際に必要な許可となります。菓子製造業許可は、パン生地の仕込みを行わずに、生地を仕入れて「焼くだけ」の場合にも必要です。また、パンを焼くための厨房は工場という扱いになります。そのため、間仕切りで密閉された空間でなければいけないことに注意しましょう。
 
菓子製造業許可を得るには、保健所に申請をして施設の設計を確認してもらい、工事後に検査を受けます。検査に合格することで許可証が交付されますが、半月程度かかるため、早めに申請しましょう。
 

◇飲食店営業許可

イートインスペースを設ける場合には、飲食店営業許可も必要です。飲食店営業許可の申請は、食品衛生責任者の資格を取得したうえで、保健所に申請しましょう。許可申請をすると、保健所による立ち入り検査が行われます。審査に通過すると営業許可証が交付され、イートインスペース付きのパン屋さんを開業できるようになります。
 
飲食店営業許可の申請から営業許可証の交付まで半月程度かかるため、できるだけ早めに相談・申請しておくことが重要です。
 

◆パン屋さん開業のための広告宣伝方法

パン屋さんを開業する際には、いかに集客するかが重要です。ここでは、集客のための広告宣伝方法を解説します。
 

◇ホームページを作成する

ホームページを作成しておくと、店の名前で検索した際に表示されるため、集客しやすくなります。店舗の場所や営業時間などの基本的な情報から、メニューや価格、スタッフ紹介などを記載しましょう。プロに依頼して作成してもらうこともできますが、初めは簡単なホームページを自分で作成しておき、コンセプトが固まったらプロに依頼する方法もあります。
 

◇SNSを活用する

InstagramやFacebook、XなどのSNSを活用して、宣伝する方法もおすすめです。SNSによって利用している層が異なるため、ターゲット層がよく利用するSNSを活用する、SNSによって発信内容を変えるなどしましょう。また、情報発信だけでなく顧客とのコミュニケーションも可能です。
 

◇ポイントカード・DM・チラシなどを作成する

次の来店を促すために効果的なポイントカードを作成したり、店の魅力やメニュー、セール情報などを伝えるDMやチラシなどを作成したりしてもよいでしょう。近所にポスティングすることで、自店舗の認知度を高められます。
 

◆まとめ

パン屋さんを開業する際には、さまざまな費用や準備が必要です。特に、物件やパン作りのために必要な設備の費用などは、初期費用のなかでも大きな割合を占めます。初期費用を節約したい場合には、居抜き物件を探すのもよいでしょう。
 
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飲食店開業応援マガジン[RESTA(レスタ)]編集部
 

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