繁盛店への道

コロナ禍における経営判断を聞く―飲食経営者の見る、今後の世界―第一回

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2020年、未曾有の事態が世界を襲った。もちろん外食産業は大打撃を受けている。多くの経営者が過去に習うこともできずに決断を強いられている。それぞれの想いの中、どんな行動にでたのか。そして今後の飲食業界はどう変わっていくと感じているのだろうか。
率直な声を聞くべくインタビューを敢行する。
 
株式会社クーニーズ・アソシエ/株式会社オイシーグローバルカンパニー 代表取締役

飲食プロデューサー 青島邦彰氏

―(川瀬氏)現在、青島さんの会社の運営店舗について教えてください。
(青島氏)飲食店コンサルを中心としている株式会社クーニーズ・アソシエにて中目黒と恵比寿の2店舗の運営を行うほか、株式会社オイシーグローバルカンパニーにて新橋での飲食店経営を行っています。店舗運営以外に、私自身は飲食店の外部コンサルティングとして、店舗プロでユースやメニュー開発などを行っています。
 
― 一号店である中目黒の人気店「和ビストロgg」はもうオープンしてどれくらいでしょう。
(青島氏)有難いことに、今年の3月で10年目に突入いたしました。
 
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―早速ですが、単刀直入にコロナの影響についてはどのようにお考えでしょうか。
(青島氏)3月の中頃までは、どこかでこの騒ぎ方は少し大げさではないのか?という思いがあったのが事実です。しかし、気が付けば世界中でロックダウンという過去に経験のない現実が目の前に広がり、そうこうしているうちに、志村けんさんのニュースが飛び込んできて。ここで、一気に風向きが変わったと実感しました。自分自身の気持ちも変わったと思います。
 
―当然お店にも影響が出たということですね。
(青島氏)もちろんです。中目黒のお店も、恵比寿の「焼肉鳥gg」も1カ月先まで予約で埋まっていたんです。ところが、3月30日を境にすべてキャンセルになりました。
これは、異常事態になりそうだと、弊社は4月3日からスタッフを休ませることにしました。まずは、4月の末までというスタンスだったんですが、結果5月5日まで休みました。
 
―とても決断が早かったと思います。まだ4月7日の緊急事態宣言がでる前ですよね。
(青島氏)まずは何よりスタッフへの感染を避けたかったですし、予約がゼロになった現実を思うとお店を開けていても意味がないなと。
 
―5月6日以降についてはどのような判断をされたのでしょうか。
(青島氏)お店を開けるにしても、緊急事態宣言中ですし、スタッフの気持ちを尊重する方針を伝えました。まず有休消化をしてもよいということ、感染リスクを考えて休みたい場合は休んでもよい、働きたいという意思がある者は働いてほしいと。
その結果、感染リスクがあるので2名は休みたいとの申し出がありました。
当時はスタッフの中には、精神状態が少し不安定になった者もいたので、無理強いは一切しませんでした。
 
―当時のお店の営業は、確か20時までの営業要請でしたよね。
(青島氏)はい、まず夜だけ営業だった中目黒の「和ビストロgg」は夜の〆で人気の蕎麦を中心にランチをはじめました。恵比寿の「焼肉鳥gg」は親子丼のテイクアウトを始めました。
 
―お客様の反応はどうでしたか?
(青島氏)蕎麦ランチの認知はすぐに広まったと思います。少し誤算だったのは、もう少し早い時間から蕎麦飲みがあるかな?と予想していたのですが、あまりなかったですね。
恵比寿の「親子丼」のテイクアウトは好評いただいていましたが、5月25日の緊急事態宣言解除後は徐々に上がる気温から食中毒のリスクを考えて提供を中止しました。
 
― 緊急事態宣言解除後は、ビフォアーコロナと同様になっていますでしょうか。
(青島氏)いえいえ。中目黒の「和ビストロgg」は今でも平日はランチ営業をしていますし、夜の営業は22時までにしています。中目黒の街もにぎわっているようにも見えますが、リモートが解除されていない企業がまだまだ多いようです。
食品会社でも週の半分リモートだと聞いていますし。
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―直営店舗の売り上げに関しては、現状いかがでしょうか。
(青島氏)直営店舗の売り上げは、8月にようやく昨対100%に戻ってきました。
中目黒は営業スタイルを変え、恵比寿は8月までは22時、9月からは23時までの営業です。どちらも営業時間は短くしつつも、店舗努力でなんとかここまで回復しました。
人件費をスリム化し、正社員2-3名主体で回しています。
 
―今後、都内の飲食店はどのように変遷していくと思われますか?
(青島氏)率直にいって、コロナ前は飲食店が飽和状態だったと思います。そして経営者は従業員不足に悩み、雇われ側はどんどん給与希望を上げるという図式に追われていました。今回の事態によって、様々なところで振るいがかけられていると思うんです。
お店も個人も本気で飲食で向き合っていくかどうかを試されているという意味で。
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都合よく働きたいからとアルバイトを選択していた人たちは、シフトを削られて焦っています。保障をしてほしいと声を上げている人も。でも、まずは正社員から守るのが会社なんです。もう一つ私が代表を務める、株式会社オイシーグローバルカンパニーの運営にて新橋でも2店舗を経営していますが、新橋はまだかなり厳しいですね。1店舗は8月末まで休業していたくらいです。大手企業はリモートが主体に立っていますし、大人数での宴会は禁止。大箱のチェーン居酒屋はほんと壊滅的ですね。アフターコロナのこれからは、深夜まで飲むサラリーマンを見ることは、ほぼなくなるのではないでしょうか。実際に、終電が繰り上がるニュースが発表されていますし。時代に合った展開を考えています。
 
―最後に今後の青島さんの展望をお伺いしたいです。
(青島氏)「焼肉鶏gg」のカジュアルスタイル「とり焼きgg」をFC展開していく予定です。実は、仙台にもう物件も決まっていたのですが、今回のコロナによってペンディングになっています。時期をみて進めていければいいなと思います。あとは、自身が行ってきた国内外における飲食プロデュースの業務も一旦ストップに。今後はビジネスモデル事態に変化がでてくると思います。新しい時代が動き始めますね。

青島 邦彰 経歴

株式会社クーニーズ・アソシエ
株式会社オイシーグローバルカンパニー
代表取締役・飲食プロデューサー
 
バーテンダーへの憧れからアルバイトにて飲食の扉を開く。その後、フレンチの世界に弟子入りし、調理の道へ。厳しい修行を経て、正統派の料理から創作料理までを取得。ケータリングなどの経験も積み、株式会社サンライズへ入社。1997年に「News DELI」を大ヒットさせる。2003年に独立し、 株式会社クーニーズ・アソシエを設立。数々のプロデュースを行う。
 
直営店舗
・中目黒「和ビストロgg」
・恵比寿「焼肉鳥gg」
・新橋「焼肉鳥・鍋肉鳥」
・新橋「とり焼きgg」
 
取材・文 ルーテージ株式会社 代表取締役 川瀬 亮太

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