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飲食店の損益計算書のポイントと分析方法をわかりやすく解説

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飲食店の経営状況を正確に把握するために、損益計算書を作成し分析することが重要です。この記事では、飲食店経営者やこれから飲食店を出店したいと考えている人に向けて、損益計算書の概要や飲食店における損益計算書のポイント、分析方法や作成方法などを解説します。ぜひ、参考にしてください。
 


 

◆損益計算書(PL)とは

損益計算書とは、一定期間の収益・費用・損失といった経営成績を表すものです。損益計算書を見ることで、経営状況がどのようになっているのかを一目で把握することができます。数値として経営の状況を可視化できるため、分析もしやすくなります。
 
また、損益計算書は確定申告でも必要な書類です。飲食店だけではなく事業を行い一定の所得がある場合は確定申告を行う必要があるため、必ず損益計算書を作成しなければいけません。
 

◇貸借対照表(BS)との違い

貸借対照表とは、会社の資産と負債のバランスをまとめた書類です、そのため、バランスシートとも呼ばれます。一方、損益計算書は一定期間の収益などを数値としてまとめたもので経営状況や経営成績を示すものです。貸借対照表の場合には、その時点での会社の財務状況を示すもので、財務状況が健全かどうかなどの判断に使われます。
 

◆損益計算書(PL)が重要な理由

飲食店に限らず、事業を行ううえで損益計算書は重要です。ここでは、損益計算書が重要視される理由を3つ解説します。
 

◇業績を数字で確認できる

損益計算書では、その時点での業績を具体的な数字として確認できます。たとえば、人件費や家賃、仕入れなどさまざまな項目に分けられており、それらを数字として把握することが可能です。損益計算書を分析することによって、利益や損失の原因を明確にすることができるため、適切な改善策を講じることができるでしょう。
 

◇競合と比較できる

損益計算書は、競合との比較にも活用できます。競合他社で損益計算書を公開している企業があれば、自店の損益計算書との比較が可能です。数字として明確になっているため、自店との違いがわかりやすいでしょう。ただし、すべての企業が損益計算書を公開しているわけではないため、公開されている企業としか比較できません。
 

◇取引先や銀行からの「信用」につながる

損益計算書では、利益や損失といった財務状況の把握が可能です。経営状態が健全であることを証明することで、取引先や銀行からの信用を得ることにもつながります。これにより、資金調達をしやすくなったり、新規取引先の獲得につながりやすくなったりするというメリットがあります。
 

◆飲食店における損益計算書(PL)の項目

損益計算書は重要なものですが、どのようなものなのかイメージが湧きにくいという人も多いかもしれません。飲食店における損益計算書の項目は以下の表のとおりです。
 

 

◆飲食店における損益計算書(PL)のチェックポイント

飲食店における損益計算書のチェックポイントは大きく分けて5つです。ここでは、各ポイントを解説します。
 

◇売上総利益(粗利)

売上総利益とは、売上から原価を差し引いた金額のことです。売上総利益は以下の計算式で算出できます。
 
・売上-売上原価=売上総利益
 
売上総利益の金額は大きいほうが望ましいとされています。売上総利益が小さい場合は、商品力が弱い、もしくは商品を安く売りすぎていること示します。収益性に欠けていると判断できるため、改善が必要です。飲食業において、売上総利益率は60~70%程度が目安とされているため、この値を目指すとよいでしょう。
 

◇営業利益

営業利益とは、飲食店として本業で利益が出ているかどうかを示す数字です。営業利益は以下の計算式で求められます。
 
・売上総利益-販売費および一般管理費=営業利益
 
営業利益は売上総利益同様に、金額が大きいほうが望ましいとされています。営業利益が小さい場合には、家賃や人件費、広告宣伝費などの費用をかけすぎている可能性があるため、販売費および一般管理費の見直しが必要です。販売費および一般管理費は項目が多いため、詳細な分析が必要になります。
 

◇経常利益

経常利益とは、飲食店の本業以外、たとえば資産運用や借入金の支払利息などの営業外損益に関わる利益です。簡単にいえば、事業全体の利益となります。経常利益の計算方法は以下のとおりです。
 
・営業利益+営業外収益-営業外費用=経常利益
 
資産運用などがうまくいっていればプラスに、借入金などが多ければマイナスになります。
 

◇税引前当期純利益

税引前当期純利益とは、税金支払い前の最終的な利益を示す項目です。税引前当期純利益は以下の計算式で算出されます。
 
・経常利益+特別利益-特別損失=税引前当期純利益
 
特別損益とは、臨時で発生した利益や損失のことを指します。臨時的要因で発生するため、状況によって金額はさまざまです。
 

◇当期純利益

当期純利益とは、税金支払い後の利益です。純粋な利益といえるでしょう。当期純利益の計算式は以下のとおりです。
 
・税引前当期純利益-法人税等=当期純利益
 
経営状況を表すいわゆる「黒字」「赤字」は当期純利益で判断されます。当期純利益がプラスなら黒字、マイナスであれば赤字となります。
 

◆飲食店において損益計算書(PL)を活かす分析方法

損益計算書は作成するだけではなく、分析して改善などに活かすことが重要です。ここでは、飲食店における損益計算書の分析方法を解説します。
 

◇営業利益率

営業利益率とは、売上に対する営業利益の割合を示す数値です。営業利益率は以下の計算式で求められます。
 
・営業利益÷営業高×100(%)=営業利益率(%)
 
飲食店においては、営業利益率は5%以上が目安となっており、10%以上あれば優良企業といわれています。そのため、できるだけ高い数値を目指しましょう。ただし、営業利益率が低いから一概に問題があるともいえません。たとえば、規模が大きく営業利益の金額が十分にある場合は問題ないでしょう。
 

◇FL率

FL率とは、Food cost(原価)とLabor cost(人件費)の比率を表した数値です。簡単にいうと、商品力を示す数値といえるでしょう。飲食店の場合、原価と人件費が大きいためFL率は分析の際によく使われています。FL率は以下の計算式で算出可能です。
 
・(材料費などの原価+人件費)÷売上高×100(%)=FL率(%)
 
FL率は大まかな数値として50%以下が望ましいです。ただし、FL率が低すぎる場合は、顧客満足度が下がっている可能性があるため注意しましょう。
 

◇損益分岐点売上高

損益分岐点売上高とは、費用と等しくなる売上高のことです。損益分岐点売上高の計算式は以下のとおりです。
 
・固定費÷{1-(変動費÷売上高)}=損益分岐点売上高
 
売上が損益分岐点を上回ると黒字に、下回ると赤字になります。損益分岐点売上高を把握することによって、その金額を上回るには何をすればよいのか、どの程度販売する必要があるのかなどを判断することが可能です。
 
損益分岐点売上高を算出する際には、固定費と変動費の計算が必要です。固定費とは、販売数量に発生する費用で人件費や店舗の賃借料を指します。変動費とは、販売数量に比例して増える費用のことです。たとえば、材料費やテイクアウトの容器代、水道光熱費などのことです。
 

◆飲食店において損益計算書(PL)を作成する方法

損益計算書を作成する方法は大きく分けて以下の2つです。
 
・Excelを活用する
・会計ソフトを活用する
 
ここでは、それぞれの方法について詳しく解説します。
 

◇Excelを活用する

まずは、Excelを活用して損益計算書を作成する方法です。損益計算書のテンプレートはインターネット上で無料配布されているため、一から書類を作成する必要はありません。ただし、Excelで作成する際には、仕訳が必要となります。ある程度の簿記の知識が必要になるため、自社で適した人材がいない場合は注意しましょう。
 

◇会計ソフトを活用する

会計ソフトを活用して損益計算書を作成することも可能です。店舗でPOSレジを導入していれば、データから自動で仕訳入力できるため簿記などの専門知識がなくても扱いやすいでしょう。また、仕訳から自動で集計して損益計算書を作成できるため、担当者の負担も軽減できます。ただし、会計ソフトを利用する際は費用がかかります。
 

◆「居抜き物件」はコストカットに有効

飲食店の経営を健全に行うためには、開店時の費用をできるだけ抑えたほうが有利です。飲食店の開店の際には、店舗の内装工事や設備費用など多くのものを用意しなければならず、費用がかさみがちです。
 
コストカットするためには、居抜き物件を検討するとよいでしょう。居抜き物件は店舗の内装や設備などをそのまま利用できるため、初期投資を抑えながら飲食店を開店できます。また、以前からの顧客を取り込みやすいなどのメリットもあるため、居抜き物件の活用を検討してみるとよいでしょう。
 

◆まとめ

飲食店に限らず、事業を行っている場合には損益計算書の作成が必須です。損益計算書を作成・分析することで、店舗の改善点なども把握しやすくなり健全な経営状況を目指しやすくなるでしょう。健全な経営のためには開店時の初期費用を抑えたほうが有利になるため、居抜き物件の活用もおすすめです。
 
RESTAは「居抜き物件掲載トップクラス居抜き市場(いちば)」を運営している、店舗専門の不動産業者です。店舗専門の不動産業者として、飲食店の出退店に関して多くの知識を有しています。開業ノウハウや飲食店経営に役立つ幅広い情報を発信しているため、ぜひ参考にしてください。
 

 
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