道路使用許可申請は店舗の看板設置に必要か?道路占用許可申請との違いは?
道路上で工事や作業をする場合や店舗の看板などの工作物を設置する(道路を使用する)場合に道路使用許可申請が必要となることをご存じでしょうか。ここでは、道路使用許可申請とは何なのか、そして、その手続きの流れや申請に必要な書類、道路占用許可申請との違いは何かなどについて網羅的に詳しく解説していきます。
目次
◆道路使用許可申請とは何か?
道路交通法第76条では何人も交通の妨げになるような工作物もしくは物件を設置してはならない旨の規定がされています。これは、道路として本来の用途に適さない行為を禁止しているのですが、一方で、その行為自体が社会的な価値を有しており、一定の要件を満たした場合、道路使用許可申請をして許可を得ることにより禁止が解除されることになります。なお、店舗の看板設置もこれに該当することになります。その他の具体的な該当する行為については、各都道府県の道路交通規則に規定していますので確認をしてください。
◆道路使用許可基準
その地域を所轄する警察署に道路使用許可申請がなされた場合、警察署長は、道路交通法第77条第2項の規定にもとづいて以下の3つのいずれかに該当する場合には申請者に対して許可をしなければなりません。
1.現に交通の妨害となるおそれがないと認められるとき。
2.許可に付された条件に従って行われることにより交通の妨害となるおそれがなくなると認められるとき。
3.現に交通の妨害となるおそれはあるが公益上または社会の慣習上やむを得ないものであると認められるとき。
※警察署長は、交通の妨害の程度と公益性または社会慣習上の必要性を比較衡量して道路使用許可をするかどうかを決することになります。
◆道路使用許可申請の手続きの流れ
道路使用許可申請の手続きの大まかな流れは以下のとおりとなります。
1.道路使用許可申請書および添付書類(道路使用の場所または区間の付近の見取図、店舗の看板などの工作物を設ける場合は、その設計図及び仕様書など)をその地域を所轄する警察署に提出し申請手数料を納付します。
2.警察署による審査が開始されます。
3.警察署から補正が命じられた場合はその内容に従い補正を行います。
4.道路使用許可証の交付を受けます。
※道路使用許可申請書および添付書類を提出する前に警察署に事前相談をすることをおすすめします。
◆手続きに必要な書類
道路使用許可申請の手続きに必要な書類は以下のとおりとなります。なお、申請の内容や管轄警察署によって添付する書類は異なります。
1.道路使用許可申請書2通
2.道路使用許可申請書に添付する書類
・道路使用の場所または区間の付近の見取図のほか、道路を使用して行う行為の内容が分かるもの。
・店舗の看板などの工作物を設ける場合は、その設計図及び仕様書
・その他、警察署長が許可を行う上で必要と認める書類
(道路交通法施行規則第10条)
◆申請手数料の納付
道路占用許可のような道路占用料はありませんが、各都道府県が条例で申請手数料の額を定めています。工事用の足場や店舗の看板などの工作物の設置については2号許可となり参考までに東京都の申請手数料は2,000円となっています。
◆道路使用許可申請書の提出先と申請から許可がおりるまでの期間
道路使用許可申請書は許可を受ける道路を管轄する警察署に対して提出します。実際に道路使用許可を出すのは、交通管理者である警察署長となります。
道路使用許可がおりるまでの期間は申請する内容や管轄する警察署により異なりますがだいたい申請してから1週間以内となります。
◆許可をとらなかった場合に罰則はあるのか?
道路使用許可が必要であるにもかかわらず、道路使用許可を得ずに店舗の看板などを設置した場合、道路交通法第119条の罰則規定に従い3カ月以下の懲役または5万円以下の罰金が科される可能性があります。その他、行政処分として原状回復措置命令が出され、店舗の看板であればその撤去が求められることがあります。ですので、必ず申請をして許可をとってから看板を設置するようにしてください。
◆道路占用許可申請との違いは何か?
道路使用許可申請と道路占用許可申請の違いは以下の通りとなります。
・道路使用許可申請の制度
道路において交通の安全に支障をきたす行為を対象としているため、行為の継続性は問題となりません。その行為が一時的であるにせよ、継続的であるにせよ、どちらも申請をしなければならない対象となります。
・道路占用許可申請の制度
道路上に店舗の看板など一定の何らかの施設を設置し、継続的・独占的に道路を使用する行為を対象としています。なお、道路占用許可申請が必要な行為については道路使用許可申請もあわせて必要となりますので注意してください。
◆道路占用許可申請との一括申請(経由申請)について
道路使用許可申請と道路占用許可申請のどちらも必要となる場合、申請者は、本来、道路使用許可申請は所轄の警察所へ、道路占用許可申請は道路管理者(国土交通省、各都道府県、各区、各市町村など)へ、それぞれ申請をしなければなりません。しかしながら、この方法では、同じような内容での申請であることから、非常に非効率で申請者の負担が大きいのが実情となります。そこで、これらの問題を解消するため、道路法第32条4項および道路交通法第78条2項に以下の規定がもうけられています。
・道路法第32条4項全文
第一項又は前項の規定による許可に係る行為が道路交通法第七十七条第一項の規定の適用を受けるものである場合においては、第二項の規定による申請書の提出は、当該地域を管轄する警察署長を経由して行なうことができる。この場合において、当該警察署長は、すみやかに当該申請書を道路管理者に送付しなければならない。
〇出典:道路法-e-Gov法令検索
・道路交通法第78条2項全文
前条第一項の規定による許可に係る行為が道路法第三十二条第一項又は第三項の規定の適用を受けるものであるときは、前項の規定による申請書の提出は、当該道路の管理者を経由して行なうことができる。この場合において、道路の管理者は、すみやかに当該申請書を所轄警察署長に送付しなければならない。
〇出典:道路交通法-e-Gov法令検索
上記の各規定から道路占用許可申請との一括申請(経由申請)が可能であることがわかります。
◆オンライン(インターネット上)での申請は可能か?
国民の利便性の向上のため、一部の手続についてオンラインでの申請などを可能とする警察行政手続サイトの試行的な運用が令和3年6月1日よりスタートしています。現状、道路使用許可の申請(道路交通法第78条1項)、道路使用許可証の記載事項の変更の届出(道路交通法第78条4項)および道路使用許可証の再交付申請(道路交通法第78条5項)が道路使用許可申請に関連するものとしてオンラインでの申請が可能となっています。(令和5年1月10日現在)
〇参考:道路使用許可の概要、申請手続等|警察庁Webサイト
〇関連記事: 道路占用許可申請は必要?店舗に設置する袖看板やオーニングテントは大丈夫?
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