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カフェ開業の資金はいくら必要?初期費用の内訳・必要な資格・開業までの流れ

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「いつか自分のカフェを持ちたい」。そう考えたときに最初にぶつかるのが、お金の問題ではないでしょうか。
 
インターネットで調べると「700万円」「1,000万円」「1,500万円」といった数字が並びますが、その根拠まで書かれていることはほとんどありません。金額の幅が広すぎて、結局いくら用意すればいいのかが見えないまま止まってしまう方も多いはずです。
 
この記事では、まず公的な調査で実際の開業費用を確認したうえで、カフェの資金を「物件」「内装・設備」「許認可」「運転資金」に分けて整理します。あわせて、カフェだからこそ物件選びで有利になる理由と、必要な資格・許可、開業までの流れまでをまとめました。
 
結論から言えば、カフェの開業資金は相場で決まるものではなく、どんな物件をどう選ぶかでほとんどが決まります。
 

目次


 

◆カフェの開業資金は「相場」ではなく「物件の選び方」で決まる

◇公的調査では、開業費用の中央値は600万円(全業種)

日本政策金融公庫総合研究所が毎年実施している「新規開業実態調査」の2025年度版によると、開業費用は次のような結果でした。この調査は、カフェに限らず全業種の開業者を対象にしたもので、回答しているのは日本政策金融公庫から融資を受けて開業した企業(融資の時点で開業後1年以内)です。
 
 - 平均値:975万円
 - 中央値:600万円
 - 「250万円未満」が20.1%、「250万〜500万円未満」が21.7%
 
つまり、4割以上が500万円未満で開業しています。さらに同調査では、開業費用は長期的にみて少額化の傾向にあると分析されています。
 
ここで注目したいのが、平均値975万円と中央値600万円の差です。平均値は一部の大型出店に引き上げられるため、実態より高く見えます。開業費用の「真ん中」をつかむには、平均値より中央値のほうが参考になります。
 
これはカフェの中央値ではなく、全業種をまとめた参考値です。業種によって必要な設備は大きく違うため、この数字だけでカフェの開業資金を見積もることはできません。開業時の平均従業者数が2.8人と、小規模な開業が中心の調査なので、金額の大きさをつかむための参考としてご覧ください。カフェで実際にいくらかかるかは、このあとの「内訳」の章で確かめていきます。
 

◇「カフェは1,000万円必要」が独り歩きする理由

それでもカフェの開業資金として1,000万円前後の数字がよく見られるのは、スケルトン物件(内装も設備もない状態の物件)から店を作る前提で計算されているためです。
 
スケルトン物件では、給排水・電気・ガスの配管工事から、壁・床・天井、厨房機器まで、すべてを新しく用意する必要があります。ここに数百万円単位の費用がかかるため、総額が跳ね上がります。
 
逆に言えば、この部分をどれだけ引き継げるかで、総額は大きく変わります。カフェの開業資金を考えるうえで最も効くのは、節約の工夫よりも物件の選び方です。
 

◆カフェ開業資金の内訳|何にいくらかかるのか

開業資金は、大きく次の5つに分けられます。
 

◇物件取得費

物件を借りるために、契約時にまとめて必要になるお金です。
 
 - 保証金(敷金):賃料の6〜10か月分が目安
 - 礼金:賃料の1〜2か月分
 - 仲介手数料:賃料の1か月分程度
 - 前家賃:契約月と翌月分
 
店舗物件の保証金は住居用より高く設定されることが多く、賃料20万円の物件なら保証金だけで120万〜200万円になります。開業資金のうち、意外と見落とされやすいのがこの部分です。
 

◇内装・厨房設備費(最大の変数)

総額を最も大きく左右するのが、この項目です。
 
 - スケルトンから作る場合:坪あたり50万〜60万円程度からが一つの目安(近年はこれを上回る傾向があります)
 - 居抜き物件を活用する場合:内装・厨房のハード面にかかる費用は、スケルトン物件の約4分の1程度に抑えられるケースもあります(詳しくは飲食店開業にかかる費用とは?スケルトンと居抜き物件比較をご覧ください)
 
カフェの場合、エスプレッソマシンやコーヒーミル、製氷機など、専用の機器も必要です。エスプレッソマシンは業務用の新品で50万〜150万円程度と幅があり、中古やリースを使うかどうかで数十万円単位の差が出ます。
 
※坪単価は、店舗物件を扱う私たちが見てきた出店の実感です。10年ほど前の時点ですでに坪50万〜60万円程度を見込むケースがあり、その後も資材費や人件費の上昇で高くなる傾向があります。物件の状態・地域・デザインの作り込みによっても大きく変わるため、少なめに見積もらず、早い段階で施工会社から見積もりを取って確かめてください。
 

◇備品・什器

テーブル、椅子、食器、レジ、POSシステムなどです。10坪程度の小さな店舗で50万〜100万円程度をみておくと安心です。中古品やアウトレットを活用すれば、この部分は圧縮しやすい項目でもあります。
 

◇資格と許可にかかる費用

金額としては大きくありませんが、取得に時間がかかるため、早めの着手が必要です。実額は後半の「必要な資格と許可」で詳しく整理します。おおむね3万〜5万円程度が目安です。
 

◇運転資金(見落とし注意)

開業後、すぐに黒字になる店はほとんどありません。家賃・人件費・仕入れ・光熱費は、売上がゼロでも出ていきます。
 
最低3か月分、できれば6か月分を、物件取得費や内装・設備費とは別に確保しておきましょう。家賃20万円・人件費30万円・その他20万円の店なら、月70万円×6か月=420万円が目安になります。
 
「物件と内装にお金を使い切って、運転資金がない」状態が、開業直後に最も苦しくなるパターンです。
 
あわせて、家賃や人件費などの固定費とは別に、予備費も見込んでおきましょう。開業後には、追加の備品、設備の修繕、追加工事、販促など、想定していなかった支出が出ることがあります。
 

◆カフェが物件選びで有利な理由|「軽飲食」という区分

ここからは、物件を扱う私たちの視点からお伝えします。
 
店舗物件の世界では、飲食店は「軽飲食」と「重飲食」に分けて扱われます。
 
 - 軽飲食:カフェ、喫茶店、スイーツ店など。強い油や煙、においを出さず、大きな設備容量も必要としない業態
 - 重飲食:焼肉、ラーメン、中華、揚げ物中心の居酒屋など。大量の油煙やにおい、大きなガス容量を必要とする業態
 
この区分は法律で決まっているものではなく、物件のオーナーや管理会社が、募集条件として設定しているものです。そして多くのビルやテナントで「重飲食不可、軽飲食は相談可」という条件がつきます。排気ダクトの経路、ガスの容量、においによる近隣トラブルのリスクが理由です。
 
つまり、カフェは物件の選択肢がもともと広い業態です。重飲食では門前払いになる好立地の物件でも、カフェなら検討の土俵に乗ることがあります。同じ予算でも、より条件の良い物件に手が届く可能性があるということです。
 
一方で注意点もあります。カフェであっても、揚げ物や炒め物など本格的な加熱調理をする場合は、油煙や排気への対応が必要になり、オーナー側から重飲食とみなされることがあります。ランチ営業をするかどうかではなく、提供するメニューと実際の調理工程、厨房設備で判断されると考えてください。店内でパンを焼くベーカリーカフェも、オーブンで電気・ガスの容量を大きく使うため、重飲食として扱われることがあります。物件を探す段階で「どんなメニューを出すか」まで伝えておくと、契約後のトラブルを避けられます。
 

◆前テナントの業種で、引き継げる設備は大きく変わる

居抜き物件は「前の店の内装や設備が残った状態で引き継げる物件」ですが、何が残っているかは前テナントの業種によってまったく違います。同じ「居抜き」でも、費用の圧縮幅は大きく変わります。
 

◇前がカフェ・喫茶店だった物件

最も相性が良いケースです。給排水、シンク、換気設備、客席の内装がそのまま使えることが多く、追加の工事を最小限に抑えられます。エスプレッソマシンなどの機器が残っていれば、さらに初期費用は下がります。
 
ただし、設備の年式と状態は必ず確認してください。見た目が使えても、内部の劣化で早々に交換が必要になることがあります。とくに冷蔵庫・製氷機・空調・給湯設備は、開業直後に故障すると想定外の出費につながります。あわせて、どの設備が造作譲渡の対象になるのか、譲渡の対象外として残された物(残置物)を誰が処分するのか、リース品が混じっていないかといった所有関係も、契約前に確認しておきましょう。
 

◇前が飲食店(ラーメン店・居酒屋など)だった物件

厨房設備そのものは充実していることが多く、給排水・ガス・換気の基本部分は引き継げます。カフェにはオーバースペックなくらいです。
 
問題になるのは客席側です。居酒屋の内装をカフェの雰囲気に変えるには、壁・床・照明のやり替えが必要になり、内装費が思ったより膨らむことがあります。厨房で浮いた分を客席に回す、という考え方で予算を組むと現実的です。
 
また、においが染みついている場合は、消臭・下地処理の費用も見ておきましょう。
 

◇前が物販店・事務所だった物件

外観や内装の雰囲気は活かせても、給排水と排気がないため、実質的にスケルトンと同じ費用がかかります。「居抜き」と書かれていても、飲食店として使える設備が残っていなければ、費用面の恩恵はほとんどありません。
 
物件情報で「居抜き」の文字を見たら、まず前テナントの業種を確認する。これが資金計画の出発点です。
 
なお、居抜き物件では前の借主に「造作譲渡料」を支払って設備を買い取る形が一般的です。金額は残された設備の内容と状態によって決まり、無償譲渡のケースもあります。
 

◆開業資金を抑える現実的な3つの方法

1. 居抜き物件を選ぶ

ここまで見てきたとおり、最も効果が大きい方法です。内装・厨房のハード面は、居抜きならスケルトンの約4分の1程度に抑えられるケースもあります。カフェは軽飲食で物件の選択肢が広いため、居抜きの候補も見つけやすい業態です。
 

2. 厨房機器は中古・リースを使う

業務用の厨房機器は、中古なら新品の3分の1から半額程度で手に入ることがあります。ただし中古の価格は、年式や状態、メーカー、保証の有無によって大きく変わります。価格だけで比べず、こうした条件もあわせて確認しましょう。冷蔵庫や製氷機のように故障が痛い機器は新品、作業台やシンクのように壊れにくい機器は中古、といった使い分けが現実的です。
 

3. 客席の広さを見直す(消防法の基準に注意)

見落とされがちですが、客席の広さは開業後の義務にも関わります。
 
消防法では、収容人員が30人以上になる飲食店に、防火管理者の選任と消防計画の届出が義務づけられています。飲食店の収容人員は、東京消防庁の資料によると次のように算定します。
 
 - 従業者の数
  + 固定式のいす席がある場合は、そのいす席の数(長いす式は正面幅を0.5mで割った数)
  + その他の客席部分は、床面積を3㎡で割った数
  ※1未満の端数は切り捨て
 
たとえば、従業者2人・客席部分が20坪(約66㎡)の比較的広いカフェなら、66÷3=22人に従業者2人を足して24人となり、30人未満です。客席を30坪(約99㎡)に広げると33+2=35人となり、防火管理者の選任が必要になります。
 
規模を欲張らないことが、初期費用だけでなく開業後の手間も抑えることにつながります。ただし、ビルの一角に入る場合は、建物全体の用途や規模、収容人員によって、自分の店が30人未満でも防火管理者の選任が必要になることがあります。算定方法の運用も自治体によって異なる場合があるため、物件を決める前に管轄の消防署へ確認してください。
 

◆カフェ開業に必要な資格と許可

◇食品衛生責任者(必須)

店舗ごとに1名の設置が必要です。調理師・栄養士・製菓衛生師などの資格があればそのまま該当します。資格がない場合は各都道府県の食品衛生協会の講習会を受講します。
 
 - 受講料の例:東京都食品衛生協会は12,000円(受講料10,000円+教材費等2,000円)
 - 1日・約6時間程度
 
講習は日程が決まっており、人気の回はすぐ埋まります。物件を探し始めた段階で申し込んでおくと安心です。詳しくは食品衛生責任者とは?資格の概要や取得方法もあわせてご覧ください。
 

◇飲食店営業許可(必須)

保健所に申請して取得します。手数料は自治体によって異なります。
 
 - 東京都(都保健所所管区域):新規18,000円/継続8,900円(令和8年4月1日から適用)
 - 神奈川県:新規16,000円/継続12,000円
 
施設が基準を満たしているかの検査があるため、内装工事の前に保健所へ事前相談するのが鉄則です。手洗い設備の位置や、シンクの数などで工事のやり直しが発生すると、二重に費用がかかります。詳しい手順は飲食店営業許可の取得条件とは?をご覧ください。
 

◇菓子製造業許可(焼き菓子の持ち帰り販売や通販を考えているなら)

店内で提供するだけなら飲食店営業許可で足りますが、焼き菓子を包装して持ち帰り用に販売したり、通販で売ったりする場合は、別に菓子製造業許可が必要になることがあります。
 
ただし、必要な許可は販売方法だけで一律に決まるわけではなく、扱う商品や営業の形態によって要件が変わります。テイクアウトや通販を考えている場合は、どの許可が必要になるかを、事前に管轄の保健所へ確認してください。
 
手数料は東京都(都保健所所管区域)で新規25,100円、神奈川県で14,000円です。設備の基準も別に定められているため、物販を考えているなら設計の段階から織り込んでおきましょう。詳しくは菓子製造許可とは?必要な条件や申請手順の流れを解説をご覧ください。
 

◇防火管理者(建物の条件や収容人員によって必要)

必要かどうかは、自分の店の客席面積や収容人員だけでは決まらないことがあります。ビルの一角に入る場合は、建物全体の用途や規模、収容人員によって、自分の店が小規模でも選任が必要になることがあります。受講する講習(甲種は2日間、乙種は1日)も、建物の規模や用途、店の収容人員によって変わります。最終的な判断は管轄の消防署が行うため、物件を決める前に確認してください。受講料は実施機関によって異なるため、講習の実施団体にご確認ください。
 

◇深夜0時以降にお酒を出す場合

夜カフェやカフェバーとして深夜0時以降にお酒を提供する場合は、警察署への「深夜酒類提供飲食店営業開始届出」が必要になることがあります。ただし、一律に必要になるわけではなく、営業の形態によって要否が変わります。法律では、営業の常態として通常主食と認められる食事を提供している店は、届出の対象から外れるとされています。この条件は厳しく、警察庁の解釈運用基準では、営業時間中いつでも主食を提供していることなどが条件とされ、昼間だけ食事を出して夜はお酒が中心という店は、これに当たりません。届出が必要な場合は、営業所の構造や照度の基準があり、住居系の用途地域では営業できないなどの制限もあります。自分の店が対象になるかどうかは、物件を決める前に管轄の警察署へ確認してください。
 

◆開業までの流れ|物件契約から開店まで

準備期間は、物件が決まってからおおむね3〜4か月が目安です。
 
1.コンセプトと事業計画をつくる(開業6か月〜1年前)/席数・客単価・想定売上を決めると、必要な物件の広さと資金が見えてきます
2.食品衛生責任者の講習を受ける(早めに)/日程が埋まりやすいため、物件探しと並行して
3.物件を探す・内見する/前テナントの業種と残置設備を必ず確認
4.保健所へ事前相談する(できれば契約前、遅くとも工事の着工前)/図面を持参。この物件で許可が取れるかを無料で相談できます。前のテナントが許可を取っていた居抜き物件でも、新しい店の許可が保証されるわけではありません
5.物件を契約する/契約と同時に家賃が発生します。工事期間中の家賃(フリーレントの有無)も交渉ポイントです
6.内装工事・厨房設備の設置(1〜2か月)
7.営業許可を申請する/工事完了予定の10日〜2週間前が目安(自治体により異なります)
8.保健所の施設検査を受ける/問題がなければ数日で許可証が交付されます
9.プレオープン・オープン
 
工事が終わってから申請しても、検査と許可証の交付までに時間がかかります。オープン日から逆算して申請時期を決めることが大切です。
 

◆資金が足りないときの調達方法

日本政策金融公庫の2025年度調査(同公庫から融資を受けて開業した企業が対象)によると、開業時の資金調達額は平均1,219万円で、その内訳は「金融機関等からの借り入れ」が平均827万円(67.9%)、「自己資金」が平均279万円でした。融資を受けて開業した企業の調査なので借り入れの割合は高めに出ますが、自己資金に借り入れを組み合わせたときの資金規模をつかむ目安になります。
 

◇日本政策金融公庫の融資

創業前・創業間もない事業者向けの融資制度があります。民間の金融機関に比べて創業時でも相談しやすく、飲食店の開業資金にも利用されています(上記の調査でも、回答した企業のうち14.5%が「飲食店・宿泊業」での開業でした)。事業計画書の精度が審査に直結するため、数字の根拠を揃えて臨みましょう。
 

◇自治体の制度融資

都道府県や市区町村が、金融機関・信用保証協会と連携して提供する融資です。利子や保証料の一部を自治体が補助する制度もあります。内容は自治体ごとに異なるため、開業予定地の窓口で確認してください。
 

◇補助金・助成金

小規模事業者持続化補助金など、店舗の改装や販促に使える制度があります。ただし補助金は原則として後払いです。先に自己資金や融資で支払い、後から補助される仕組みのため、補助金をあてにした資金繰りは危険です。
 
なお、補助金・助成金の制度内容と公募時期は年度によって変わります。申請前に必ず最新の公募要領をご確認ください。
 

◆カフェの開業資金に関するよくある質問

◇自己資金はどれくらい必要ですか?

日本政策金融公庫の2025年度調査では、自己資金の平均は279万円、資金調達額全体の平均は1,219万円でした。全体のおよそ2割強が自己資金という計算になります(同公庫から融資を受けて開業した企業の平均です)。
 
金融機関の審査では、自己資金の額そのものよりも「どうやって貯めたか」も見られます。計画的に準備してきた履歴は、事業計画の信頼性にもつながります。
 

◇カフェは何坪あれば開業できますか?

法律上の下限はありません。カウンター中心のコーヒースタンドなら5〜8坪、テーブル席を置くカフェなら10〜15坪が一つの目安です。
 
坪数が増えれば賃料も内装費も上がり、収容人員が30人以上になれば防火管理者も必要になります(ビルの一角に入る場合は、建物全体の条件で必要になることもあります)。席数を増やせば売上が伸びる一方で、固定費も確実に増えるという点を、事業計画の数字で確かめてから決めてください。
 

◇未経験でもカフェを開業できますか?

制度上は可能です。飲食店の営業に調理師免許は必要ありません。ただし、食品衛生責任者の資格だけで営業できるわけではありません。店舗ごとに食品衛生責任者を置いたうえで、保健所の検査を受けて飲食店営業許可を取る必要があります。お酒を深夜に出すかどうかや、店の規模・入居する建物によっては、届出や防火管理者の選任も必要です(詳しくは「カフェ開業に必要な資格と許可」をご覧ください)。
 
また、金融機関の融資審査では、その業種での実務経験が評価の対象になります。未経験から開業する場合は、他店での勤務経験を積む、または経験者と組むことで、審査でも運営でも有利になります。
 

◇開業資金に運転資金はどれくらい含めるべきですか?

最低3か月分、できれば6か月分です。売上が計画どおりに立ち上がらないことは珍しくありません。運転資金が尽きると、店そのものに問題がなくても続けられなくなります。
 
物件と内装の見積もりが予算を超えたとき、真っ先に削られるのが運転資金です。しかしここは最後まで守るべき項目だと考えてください。家賃や人件費などの固定費とは別に、修繕や追加工事に備える予備費も確保しておくと安心です。
 

◆まとめ:あなたの状況別・次の一手

全業種を対象にした公的調査では、開業費用の中央値は600万円で、4割以上が500万円未満で開業しています(カフェだけの数字ではありません)。カフェの場合も、総額を決めるのは相場ではなく、どの物件を選ぶかです。
 
状況に合わせて、次の一歩を選んでください。
 
まず小さく始めたい方
カウンター中心の小規模店なら、居抜き物件と中古機器の活用で数百万円規模に抑えられます。席数を絞れば賃料が下がり、防火管理の負担も軽くなることがあります。まずは希望エリアの居抜き物件の賃料相場を調べるところから始めましょう。
 
しっかりした店舗を構えたい方
スケルトンから作ると、内装・設備だけで10坪でも500万円以上、広さによっては1,000万円を超えることもあります。前がカフェ・喫茶店だった居抜き物件を選べば、同じ規模でも費用を大きく圧縮できます。できれば物件を契約する前に、遅くとも工事の着工前には、図面を持って保健所へ事前相談しましょう。
 
物件を見てから判断したい方
資金計画は、実際の物件を見ないと数字が固まりません。カフェは軽飲食で物件の選択肢が広い業態です。居抜き市場でエリアと坪数を絞って探すと、前テナントの業種まで含めて比較できます。
 
開業の全体像を確認したい方は、飲食店を開くために必要なこととは?もあわせてご覧ください。
 

◇出典

・日本政策金融公庫総合研究所「2025年度新規開業実態調査」(2025年12月5日公表。開業費用の平均値975万円/中央値600万円、「250万円未満」20.1%・「250万〜500万円未満」21.7%、開業時の平均従業者数2.8人、資金調達額の平均1,219万円・うち金融機関等からの借り入れ827万円/自己資金279万円。調査時点2025年8月。調査対象は日本政策金融公庫国民生活事業が2024年4〜9月に融資した企業のうち、融資時点で開業後1年以内の8,517社で、回答2,165社。回答企業の開業業種は「飲食店・宿泊業」が14.5%。) URL: https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/kaigyo_251205_1.pdf / 概要 https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/topics_251205.pdf 取得日:2026年9月16日
・東京都保健医療局「東京都食品衛生関係許可手数料」(飲食店営業 新規18,000円/継続8,900円、菓子製造業 新規25,100円・令和8年4月1日から適用) URL: https://www.hokeniryo1.metro.tokyo.lg.jp/shokuhin/kyokatodokede/files/tesuuryou260401.pdf 取得日:2026年9月16日
・神奈川県「食品衛生法に基づく申請手数料」(飲食店営業 新規16,000円/継続12,000円、菓子製造業 新規14,000円) URL: https://www.pref.kanagawa.jp/docs/m7k/shokuhin/shinseitesuryo.html 取得日:2026年9月16日
・一般社団法人 東京都食品衛生協会「食品衛生責任者養成講習会」(受講料12,000円=受講料10,000円+教材費等2,000円) URL: https://www.toshoku.or.jp/training/ 取得日:2026年9月16日
・東京消防庁「収容人員の算定方法」(飲食店=消防法の用途3項ロ:従業者の数+固定式いす席の数〈長いす式は正面幅÷0.5m〉+その他の部分の床面積÷3㎡、1未満の端数は切り捨て) URL: https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/content/000062477.pdf 取得日:2026年9月16日
・e-Gov法令検索「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」第2条第13項第4号(酒類提供飲食店営業の定義。営業の常態として通常主食と認められる食事を提供して営むものを除く) URL: https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000122 取得日:2026年10月15日
・警察庁「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律等の解釈運用基準」(「営業の常態として」は営業時間中客に常に主食を提供している店であることを要し、昼間のみ主食を提供する店等は当たらない。主食=米飯類、パン類〈菓子パン類を除く〉、めん類、ピザパイ、お好み焼き等) URL: https://www.npa.go.jp/laws/notification/seian/hoan/hoantsutatu2/R080701kaisiyaku.pdf 取得日:2026年10月15日
・e-Gov法令検索「消防法施行令」第1条の2第3項(防火管理者を定めなければならない防火対象物。飲食店などが入る複合用途の建物は、建物全体の収容人員が30人以上で対象になる) URL: https://laws.e-gov.go.jp/law/336CO0000000037 取得日:2026年10月15日
・居抜き市場「飲食店開業にかかる費用とは?vol.2 スケルトンと居抜き物件比較」(居抜き=スケルトンの約1/4) URL: https://inuki-ichiba.jp/resta/kaigyokeihi02/ 取得日:2026年9月16日
 
※費用は2026年9月時点の情報です。手数料・基準は自治体により異なるため、開業前に管轄の保健所・消防署・自治体公式サイトで最新の情報をご確認ください。
 

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