東急多摩川線は東急電鉄の路線の1つです。多摩川駅と蒲田駅を結ぶ全線が大田区内を走っているのが特徴のローカル線です。
多摩川駅を出発すると南東に向かい、沼部駅、鵜の木駅を通過し、下丸子駅と続きます。次に武蔵新田駅、矢口渡駅を通るとほぼ東方向に向かい、蒲田駅へと到着します。
駅は7つで路線距離は5.6kmと短く、乗車時間は10分ほどで終点に着き、とてもコンパクトな路線と言えます。
東急多摩川線はこのように、小さくまとまっていて、1つの区内を走っている路線だからこその特徴もあると言えます。
例えば、路線や駅の職員と地元住民との距離が近いことが特徴の1つです。毎年開催される地元の祭りに駅長が参加したり、駅への差し入れもあったりすることが紹介されたこともあります。
このような住民との関わりが深い路線の沿線には、地域に愛される飲食店が多いのではないでしょうか。コンパクトな路線の沿線に広がる町の特徴と飲食店の傾向をみていきましょう。
自然と水に触れ合える公園に隣接する多摩川駅
多摩川駅は東急多摩川駅のほか、東急目黒線、東急東横線も乗り入れる駅です。
この駅の東には、散歩道と滝がある公園として地元に愛される田園調布せせらぎ公園が隣接しています。駅を出ると目の前には緑いっぱいの自然があふれ、驚かされます。駅の西側には多摩川が流れていますが、川沿いは多摩川台公園として整備され、公園内は庭園や展望台のほか、いくつもの古墳が史跡として残っています。
このように、駅の東西が大きな自然公園で挟まれているのが多摩川駅の特徴です。
駅の南には多摩川浅間神社があり、線路沿いには居酒屋や小料理屋が軒を連ねています。さらに南には中原街道が走り、この道路沿いには車で立ち寄れる駐車場のある飲食店が多いのが特徴です。
次の沼部駅には、駅から続く桜坂通りに商店街があり、寿司屋やとんかつ屋、中華料理店、イタリア料理店など飲食店も豊富です。
突然現れるビジネス街の下丸子駅
鵜の木駅は一風変わったお祭りが開かれる場所です。「鵜の木」という地名は全国に多く、全国の「鵜の木」の町がいろいろな特産品を持ち寄ってにぎわう「全国鵜の木まつり」が開かれます。開催時期の7月下旬には、駅周辺の商店街に人が集まり、駅周辺に点在する飲食店もにぎわいます。
隣の下丸子駅に行くと、利用客も駅周辺も雰囲気が変わります。下丸子には大手精密機器メーカーや大手老舗クリーニング会社の本社などがあり、日本の航空会社の研修センターもある町です。
ビジネス街の雰囲気があり、駅周辺にもビジネスパーソンをターゲットとしたようなランチを中心とした店が多いのが特徴です。
お酒と食事を楽しめる武蔵新田駅と蒲田駅
武蔵新田駅に行くと、また雰囲気がガラッと変わります。小さな居酒屋が無数に並ぶ飲み屋街があり、毎年2回のお酒を楽しむフェスティバルも開催され、お酒好きの聖地としても知られています。
蒲田駅周辺は、近代的な商業施設が立ち並びショッピングスポットとしても人気がある一方で、昔ながらの下町や工場の町といった雰囲気も残しています。労働者の町と言われた歴史もあり、大小さまざまな規模の居酒屋が無数にあるのが特徴です。
おしゃれな雰囲気とノスタルジックな雰囲気が入り混じった不思議な魅力を放っているエリアです。
7つの駅にそれぞれの魅力がある東急多摩川線
東急多摩川線の沿線にある7つの町とそれぞれの特徴、飲食店の傾向などをご紹介しました。
東急多摩川線の駅は7つと少なく、路線距離も短いコンパクトな路線です。しかし、その沿線の町はそれぞれが強烈な個性を放ち、食と住民の付き合い方も色とりどりです。東急多摩川線の沿線で新たに飲食店を開店するなら、7つの駅周辺の町それぞれの特徴を把握した上で店舗の方向性と立地を考えるとよいでしょう。