住宅街として人気の杉並区が持つもうひとつの顔
杉並区は、東京都23区の西部に位置し、北は練馬区、東は中野区、南は世田谷区に囲まれ渋谷区の一部とも接しています。西側は三鷹市と武蔵野市に隣接します。
面積は34.02平方キロメートルであるのに対し、人口は57万3千人、23区でも人口の多い区です。これには、住宅街として人気が高いという特徴が大きく影響しています。
一方で、杉並区は産業面で意外とも言える大きな特徴があります。それはアニメ制作会社の数です。今や日本を代表する文化として成長したアニメ業界ですが、その制作会社は全国に600社あるといわれています。そのうちの3分の1、70社余りが杉並区に集中しているのです。
このようにアニメ制作会社が集中している背景には、区のあと押しもあります。杉並区ではアニメを重要な産業と位置づけ、「アニメの杜すぎなみ構想」として推進しています。
また、これに関連して杉並区の観光スポットとして人気となっているのが「杉並アニメーションミュージアム」です。東京工芸大学の運営するこのミュージアムでは、アニメの歴史や未来のアニメについて学ぶことができるほか、アニメの製作工程を体験することもできます。季節ごとの企画展や、アニメシアターでのアニメ上映もあり、大人から子どもまで、近所の住民から観光客まで楽しめるつくりになっています。
このようにアニメ制作に力を入れる杉並区では、それを含むサービス業の比重が30%と大きい一方で、工業の比重は3%と極めて低いことも、区の特徴のひとつと言えます。
杉並区は地域のイベント盛りだくさん
住宅街として人気の杉並区は、地域のイベントが活発なことでも知られています。
そのひとつが、阿佐谷パールセンターで開催される「阿佐谷七夕祭」です。1954年から商店街を主体として続けられているこのお祭りは、毎年8月7日を中心に5日間行われています。手作りの人気キャラクターや、そのとき話題になっている事柄を表現した巨大な張りぼてがところ狭しとアーケードを飾り、飾りのコンテストも開かれます。また、100店余りの露店が並び、多くの人でにぎわう夏の風物詩となっています。
もうひとつ、夏の風物詩となっているのが「高円寺阿波おどり」です。こちらも半世紀の歴史を持つ、地域に根付いたお祭りとなっています。参加団体延べ60団体、延べ10,000人の踊り手が参加する東日本最大の阿波おどり大会として全国的に知られています。
この2つのお祭りは、杉並区だけでなく東京を代表する夏の風物詩となっており、どちらも100万人規模の人手がある大規模なイベントです。この2大イベントは、杉並区にとっても大きな経済効果をもたらしています。
このほか、ジャズストリートやクラシックコンサートなど、全国的な知名度はなくても地域に密着した音楽イベントも多数開催されています。また、さまざまな芸術展やアートイベント、区民まつりや区内の散策イベントなど、地域イベントが盛んに開催されています。
こうしたイベントの開催される場所は人出も多く、ショップを構える候補地としても人気のエリアです。杉並区でショップを出すなら、区の産業の特色、イベントの開催される場所や地域性を考えることが重要となります。
杉並区は住みやすさと地域イベントで人を呼ぶ
杉並区が持つ地域としての特徴と、産業面での特色、区内で開催される2大イベントについてご紹介しました。
杉並区は、住みやすい街としても知られ人口が多く、地域のイベントが盛り上がりを見せ、さらに多くの人を呼び込んでいます。また、アニメ制作という新たな産業も創出し、日本を代表するカルチャーの中心地となりつつあります。杉並区はまたひとつ新しい魅力を作り出したと言えるのではないでしょうか。