人口最小の千代田区が日本のヘソと呼ばれる理由
"千代田区は東京都23区のほぼ中央に位置し、台東区、中央区、港区、新宿区、文京区に囲まれています。面積は11.66平方キロメートル、人口は5万8千人ほどです。
この人口は23区で最も少なく、人口が10万人に満たないのは千代田区だけです。その一方で、昼間人口と夜間人口の差は日本一大きい場所でもあり、夜間に対して昼間の人口は17倍にもなります。これは、千代田区が「日本のへそ」と呼ばれることと関係しています。千代田区には、東京駅や国会議事堂、霞が関の官庁街、そして丸の内や大手町のビジネス街など、日本の中枢とも言える施設が集中しています。これにより、住んでいる人は少なくても、通う人が非常に多いのが千代田区なのです。
また、23区でもほぼ中央に位置する千代田の、さらに中央には千代田区千代田という住所があります。ここにあるのが皇居です。皇居は区の面積の12%を占めており、もちろん一般人が住む場所ではありません。このように、区の面積が小さいことに加え、そのなかでも住む場所が限られていることも人口の少なさに関係しています。
もともと千代田区は、江戸城の城址ほぼそのままの土地です。内堀の範囲が皇居となり、外堀の範囲が千代田区となりました。外堀の範囲内には大名や旗本の屋敷があり、「お役人」の住む街でした。その流れから、千代田区の永田町や霞が関は、現在のような官庁街になっているのです。
学問と商業の街、千代田区
官庁街とビジネス街のイメージが強い千代田区ですが、千代田区はほかにも表情を持っています。学問と商業の街という面も、千代田区の持っている表情なのです。
千代田区の北東部に位置する神田は、江戸時代から学者が私塾を開いていたこともあり、現在でも教育機関が多いエリアです。一橋大学や明治大学、日本大学、法政大学など古い歴史を持つ大学があり、学生が多く通うエリアでもあります。
また、国内外からの買い物客があふれる秋葉原も千代田区の一部です。住所としては秋葉原も神田の一部ですが、秋葉原というひとつの街としてすでに周知されるようになっています。
秋葉原は通信機器の露天商が集中したことから始まり、その後大手家電量販店も競うように出店したことから国内最大の電気街となりました。郊外型の量販店に押され縮小した時期もありましたが、時代の流れとともに中心となる分野を変化させ、集客力を増しています。
高性能パソコンと結び付きの深いゲーム、それと客層の重なりが大きいアニメやコスプレといったカルチャーは、もはや秋葉原の文化とも呼べるほどに成長し、日本を代表する産業のひとつとなっています。かつては、電化製品を買う場所だった秋葉原は、日本の新しい文化の聖地として世界的な観光スポットとなり、外国人観光客にとっても人気の場所です。
このように、千代田区は政治、交通、ビジネスの中枢という表情を持つ一方で、学問の街、サブカルの聖地という側面も持っています。区の面積が小さいことに加え住む場所が少ないこと、そして人の集まるあらゆる要素を持っていることが、17倍もの昼間人口と夜間人口との差を作り上げているのです。
日本のヘソ 千代田区にはあらゆるものが詰まっている
千代田区の特徴と「日本のヘソ」と呼ばれる理由、千代田区が持つ表情についてご紹介しました。
千代田区が持つのは、永田町や霞が関の官庁街、大手町や丸の内のビジネス街という表情だけではありません。神田に代表される学問の街、そして秋葉原に代表される商業やサブカルの街。さまざまな表情を持つ千代田区には、さらに新しいビジネスが生まれる可能性もたっぷりあります。どのような形態の店舗も受け入れられる可能性を秘めている街、それが千代田区なのです。