NEW ニュース・特集
食品衛生責任者の養成と実務の違いとは?講義の内容や取得までの流れについても解説

食品衛生責任者には、養成と実務の2種類が存在します。しかし、両者の違いを正確に把握している人は、決して多くはないでしょう。この記事では、食品衛生責任者の養成と実務、それぞれの違いについて解説します。また、両者の取得までの流れや、食品衛生責任者に関するよくある質問についても取り上げるため、ぜひ最後までご覧ください。
目次
◆食品衛生責任者とは
食品衛生責任者とは、レストランやカフェなど、食品を扱う施設において衛生管理の中心を担う人のことです。資格を取得するには講習会を受講する必要がありますが、調理師や管理栄養士など、特定の資格を有している人は講習会の受講が免除されます。
◇食品衛生責任者の主な役割
食品衛生責任者の主な役割として、衛生管理の実行と監督、HACCPの推進などが挙げられます。なお、食品衛生法第51条では、経営する飲食店に食品衛生責任者を置くことが義務付けられています。飲食店の営業者は、食品衛生責任者の意見を尊重しなければなりません。万が一違反してしまうと食品衛生法違反となり、営業禁止、停止などの厳しい措置が取られます。
◇食品衛生責任者と食品衛生管理者の違いについて
食品衛生責任者と混同されやすい存在として、食品衛生管理者が挙げられます。食品衛生管理者とは、特定の食品を製造および加工する大規模な施設で必要な資格です。主に製造工程の衛生を、専門的な立場から管理する役割を担います。食品衛生管理者は厚生労働省が管轄する国家資格のため、食品衛生責任者よりも取得する難易度が高い資格です。
◆食品衛生責任者養成講習会と実務講習会の違い
食品衛生責任者の資格を取得するために必要な講習会には、養成と実務の2種類が存在します。以下では、両者の違いについて解説します。
◇食品衛生責任者養成講習会とは
食品衛生責任者養成講習会とは、食品衛生責任者の資格を取得するための講習会です。講習会の参加資格は、特に設けられていません。そのため、食品衛生責任者の資格の取得を希望している人であれば、誰でも受講できます。講習会は管轄の保健所または食品衛生協会が実施し、1日で終了します。
◇食品衛生責任者実務講習会とは
食品衛生責任者実務講習会とは、食品衛生責任者として働いている人が受講する講習会です。食品衛生責任者実務講習会は、食品衛生の管理に必要な新しい知識を習得することを目的に開催されます。そのため、食品衛生責任者の資格を有している人は、定期的に受ける必要があります。具体的には、過去5年以上実務講習会を受講していない人が対象です。
◆食品衛生責任者養成講習会と実務講習会の受講の流れ
食品衛生責任者養成講習会と実務講習会は、それぞれ受講の流れの詳細が異なっています。両者の受講の流れについて、以下で解説します。
◇食品衛生責任者養成講習会の場合
以下では、食品衛生責任者養成講習会における申し込みから資格の取得までの流れについて解説します。
1.申し込み
申し込みは、各地域にある協会窓口申し込み、あるいは公式サイトから行うのが一般的です。なお、申し込みは講習会が定員に達すると締め切られてしまいます。そのため、受講を決めたらできるだけ早く申し込みを済ませましょう。
2.案内の受け取り
申し込みが完了すると、講習会を受講するにあたって必要な受講票と一緒に、講習会の案内が届きます。講習会の案内は、受講日の前日をめどに送付されます。講習日が近づいても届かない場合は、受講を申し込んだ食品衛生協会に問い合わせてください。
3.講習会の受講
講習会当日は、指定された会場で受講します。講習会に参加するためには、受講票や筆記用具、免許証をはじめとする身分証明書が必要です。また、講習は1日で終了するため、お昼を持参するように指示される場合があります。講習が終了すると、そのまま効果測定テストが実施されます。テストは3択問題が5問程度出題されますが、講義の内容を理解していれば問題なく解けます。
4.修了証の受け取り
効果測定テストまで受け終えると、最後に受講修了証として食品衛生責任者手帳が個々に配られます。なお、落とすことが目的の講習ではないため、テストで不合格だったために、資格がもらえないというケースはほとんどありません。
◇食品衛生責任者実務講習会の場合
以下では、食品衛生責任者実務講習会における申し込みから資格の取得までの流れについて解説します。
1.申し込み
食品衛生責任者養成講習会と異なり、食品衛生責任者実務講習会は案内通知を待つのが一般的です。
通知が届いたら、案内に従って参加の申し込みを進めます。最後の受講から時間が経っているにもかかわらず通知が来ない人は、管轄の食品衛生協会に問い合わせましょう。
2.案内の受け取り
申し込みが完了すると、講習会の案内がはがき、またはメールで届きます。はがきで届くのか、メールで届くのかは、申し込み方法によって異なります。こちらも講習会の開催日前までに届かない場合は、直接管轄の食品衛生協会に問い合わせてください。
3.講習会の受講
講習会の当日になったら、指定された会場で講習を受講します。なお、最近ではeラーニング形式の講習会も実施されています。eラーニング形式の講習会は、パソコンやタブレットがあれば自宅や通勤時間など、好きな場所や時間に講習会を受講できるのがメリットです。なお、講習会は早ければ1時間30分程度で終了します。
4.修了証の受け取り
講習をすべて受け終えると、受講済証の発行が可能となります。受講済証は、保健所の立ち入り監視のときなどをはじめ、提示を求められる場面が多いです。そのため、取得後は大切に保管してください。
◆食品衛生責任者に関するよくある質問
最後に、食品衛生責任者に関するよくある質問について、それぞれの質問の回答を一緒に解説します。
◇複数の施設で兼任は可能?
結論から述べると、食品衛生責任者は複数の施設を兼任できません。これは、食品衛生責任者は営業許可を受ける施設ごとに、専任で配置することが義務付けられているためです。なお、同一の建物内に1号店と2号店がある、店舗が隣接しているなど、特定の条件下のみ兼任が認められるケースもあります。兼任を検討している人は、まず管轄の保健所に相談してみましょう。
◇プレートの掲示方法に決まりはある?
自治体によっては、施設内で食品衛生責任者の氏名の掲示が義務付けられている場合があります。掲示する場所は玄関やホールの中央など、外来者から見やすい場所がよいです。一部では氏名の掲示は努力義務とされていますが、衛生管理の意識を示すためにも掲示しましょう。
◇修了証を紛失したらどうすればよい?
修了証を紛失した場合、再発行手続きを行いましょう。再発行に必要な書類は自治体ごとに異なっているため、事前に公式サイトや窓口で確認しておきましょう。なお、代理人が再発行の手続きを進めることも可能ですが、その場合は委任状と本人、代理人双方の本人確認書類が必要です。
◇資格は取得した都道府県以外でも有効?
食品衛生責任者養成講習会は、1997年から全国的に標準化されています。そのため、1997年以降に取得したものに関しては、取得した都道府県以外でも有効です。ただし、1996年以前の標準化される前の資格については、自治体によって対応が異なります。気になる人は、管轄の保健所に問い合わせて確認しましょう。
◇修了証に有効期限は設けられている?
修了証には特に有効期限は設けられていないため、一度取得すれば全国どこでも、生涯にわたって有効な資格として使用できます。ただし、店舗の食品衛生責任者を変更する場合は、更新手続きをしなければなりません。また、食品衛生に関する法律や技術は日々変化しているため、学習は継続する必要があります。
◆まとめ
食品衛生責任者の講習会には養成と実務の2種類があり、それぞれ受講対象者や目的が異なります。そのため、受講する場合は自分がどちらの対象者なのか、事前に調べておきましょう。なお、飲食店を始めるときは、食品衛生責任者の取得に限らずさまざまな準備が必要です。もし飲食店の出店に関する情報を知りたい場合は、居抜き市場に任せてください。
居抜き市場は店舗専用の不動産業者のため、開店のノウハウをはじめとする、飲食店の出店について熟知しています。興味のある人は、ぜひチェックしてください。
- 居抜き市場会員登録はこちらから
飲食店開業応援マガジン[RESTA(レスタ)]編集部
「ニュース・特集」の関連記事
関連タグ