居酒屋を開業するための成功ポイントを解説!開業ステップ・資金・必要な資格・手続きも
居酒屋の開業を検討しているのなら、資金や開業準備、事前の手続きなどを押さえておくことが重要です。資金の目安や開業までの手順など、必要なことは事前に理解しておきましょう。本記事では、居酒屋開業のための資金目安や開業手順、必要な資格、手続きなどを解説します。成功のポイントも解説するため、ぜひ参考にしてください。
目次
◆居酒屋を開業する際の資金の目安
居酒屋開業のためには、開業資金と運営資金が必要です。開業資金は1,000万円前後といわれており、運営資金は経営が軌道に乗るまでに必要な資金となります。ここでは、この2つの資金について解説します。
◇初期費用の目安
初期費用とは、居酒屋を開業するまでの費用です。目安は、600万円~1,200万円とされており、主な内訳は次の2つになります。
・物件取得費:店舗の譲渡費用や保証金、礼金など
・設備費:厨房機器や什器など
ここでは、この2つの費用について解説します。
・物件取得費の目安
物件取得費の目安は、家賃10か月分です。賃料が30万円の場合の物件取得費は、300万円~400万円程度となります。物件取得費とは、物件を取得するために必要な費用です。内訳は、保証費(敷金)や礼金、仲介手数料、造作譲渡料、家賃前家賃・保険料などであり、それぞれの目安は次のようになります。
保証金(敷金): 家賃の6~12か月分(新築の場合は12か月~24か月)
礼金:家賃の0~2か月分
仲介手数料:家賃の1か月分
造作譲渡料(居抜きの場合):0万円~200万円
家賃前家賃:日割り家賃と翌月分の家賃
保険料:業態や賃貸条件による
このほかに、管理費や共益費も、家賃前家賃のようにあらかじめ支払わなければならないケースがあります。
・設備費の目安
設備費は、内装工事や厨房機器、什器などに必要な費用です。設備費の目安は、開業費用の20%とされていますが、物件の状態や改装する設備によって異なります。設備費の主な項目は、先に述べたものであり、必要な設備を整えるための費用です。これらの費用の目安は、次のとおりになります。
・内外装工事(店舗の天井や壁面、床の貼り替え、配管、看板の取り替えなどの工事):10万円~100万円(坪単価)
・厨房機器(冷蔵庫、コンロ、シンク、製氷機などの費用):100万円~300万円
・備品(イスやテーブル、食器、レジなどの費用):50万円~
開業の設備費を抑えるために、中古品を導入することも少なくありませんが、開業後に新品に買い替える場合もありえます。いずれにしても、補助金や助成金の支給対象となるケースもあるため、事前に調べておくとよいでしょう。
・初期費用を安く抑えたいなら居抜き物件がおすすめ
居抜き物件は、商品や設備、什器がついたまま売ったり貸したりする物件です。居抜き物件と対照となるのがスケルトン物件であり、内装や設備が何もない物件をさします。居抜き物件は、コンセプトが合えば設備がそのまま使えるため、費用を抑えることが可能です。
◇運営資金の目安
運営資金とは、居酒屋の立地や規模などによって異なりますが、軌道に乗るまでに必要な資金のことです。運転資金の目安も、物件の家賃やメニュー、スタッフの人数などにより異なります。運営資金の内訳は、家賃や原材料費、人件費、水道光熱費などです。これらの費用の6か月分以上が、運営資金の目安となります。
◆居酒屋を開業するまでにやるべき8つのステップ
居酒屋を開業するまでには、やるべきことがたくさんあります。ここでは、それを8つに分けて解説します。
◇1.居酒屋のコンセプトを考える
まずは、自分が運営する居酒屋のコンセプトを決めて、具体的なイメージを固めましょう。例えば、創作居酒屋や立ち飲み居酒屋、地産地消の居酒屋などです。ターゲットとなる客層が満足できるように、ターゲットの客層のニーズも考慮する必要があります。
◇2.事業計画を立てる
居酒屋の開業は、1つの事業です。事業を成功させるためには、事業計画の適切な策定は欠かせません。事業計画は、開業の1年前程度から策定するとよいでしょう。事業計画では、初期費用や運営資金などの資金計画、損益分岐点の算出、エリア調査などを見える化することが重要です。
◇3.資金を調達する
資金の調達は、開業の半年前くらいから開始するのが一般的です。初期費用や運営資金を調達しなければなりません。事業計画の資金計画で算出した開業資金から自己資金を差し引き、金融機関からの融資額を算出します。補助金や助成金なども、調べて申請するとよいでしょう。
◇4.物件を決める
物件を決めるためには、コンセプトや事業計画に適した店舗探しが重要です。これも、開業の半年前くらいから始めるとよいでしょう。適した店舗があれば、競合店やターゲット客層の通行量などを調査します。
◇5.メニューを決める
出店地におけるターゲット客層が、魅力を感じて満足できるメニューを決めます。その際には、競合店のメニューなどを調査し、差別化を図るための検討材料としましょう。厨房機器や什器などの購入までには、おおよそのメニューを決めておかなければなりません。メニューがなければ、必要となる厨房機器や什器が分からないためです。
◇6.内外装工事をする
内外装工事は、開業の3か月前くらいから着工できるように準備をしましょう。開業に間に合わなければ、取引先からの信用を得られません。コンセプトに適していて、ターゲット客層が魅力を感じるような内外装が求められます。それを提案してくれる業者探しも重要です。業者に完成時期の確認をしたうえで、この時期に厨房機器や什器なども購入しましょう。
◇7.資格取得と手続きをする
居酒屋を開業するためには、取得するべき資格があります。次項で述べますが、資格によっては受講すべき講習があり、予約が取れない可能性も少なくありません。そのため、居酒屋の開業を決めたら、早めに取得しておくことがおすすめです。保健所や消防署、税務署などで手続きしなければならないため、開業の2か月前には済ませておきましょう。
◇8.従業員の採用・広告宣伝開始
開業2か月前程度になったら、従業員の募集や採用を進めることをおすすめします。開業告知の広告宣伝もこの時期から始めましょう。従業員は、調理担当とフロア担当が必要です。また、待遇も事前に決めておかなければ募集ができません。
◆居酒屋開業に必要な資格
居酒屋開業に必要な資格は、基本的に食品衛生責任者と防火管理者の2つです。アルコールに関する資格があると、さらに開業しやすくなります。
◇食品衛生責任者
居酒屋では原則として、食品衛生責任者が最低1人はいないと開業できません。なお、調理師免許や栄養士免許を取得している場合は、食品衛生責任者の資格は不要です。開業予定の店舗がある住所地域を管轄とする保健所によっては、要件が異なる可能性もあるため、事前に問い合わせておくとよいでしょう。
◇防火管理者
収容できる人数が30人を超える居酒屋の開業では、防火管理者を置く必要があります。延べ面積によって、甲種防火管理者と乙種防火管理者があるため、事前に確認しなければなりません。防火管理社は、防火管理講習を受け、試験に合格すれば取得できます。疑問や不明点がある場合は、防災協会に問い合わせましょう。
◆居酒屋の開業に必要な手続き
居酒屋開業のためには、保健所や警察署、消防署で行わなければならない手続きがあります。ここでは、その手続きについて解説します。
◇飲食店営業許可
居酒屋開業のためには、飲食店営業許可を管轄の保健所から交付してもらう必要があります。保健所には、施設工事完成予定日の10日くらい前に申請するようにしましょう。なお、必要な書類は次のとおりです。
・営業許可申請書
・施設の構造と設備を示す図面
・食品衛生責任者の資格を証明する書類
・水質検査成績書
◇深夜酒類提供飲食店営業開始届出書
開業する居酒屋が、深夜12時~翌朝6時までの時間帯にアルコールを提供する場合は、深夜酒類提供飲食店営業開始届を所轄の警察署に申請しなければなりません。これは、開業予定日の10日前までには提出するようにしましょう。なお、必要な書類は次のようになります。
・深夜における酒類提供飲食店営業開始届出書
・営業の方法
・店舗の図面
・住民票(個人の場合は店主の住民票、法人の場合は役員全員の住民票)
◇防火管理者選任届など
居酒屋は火を扱うため、火災の予防が大切です。消防署には、次の書類を開業予定日までに提出しましょう。
・防火管理者選任届
・防火対象設備使用開始届
・防火対象物工事等計画届出書
・火を使用する設備等の設置届
・消防用設備設置届出書
・消防計画
◆居酒屋経営を成功させるためのポイント
居酒屋を開業し、経営を成功させるためには、いくつかのポイントがあります。ここでは、3つのポイントを紹介します。
◇コンセプト・事業計画を慎重に決める
開業を目指す居酒屋のコンセプトと事業計画を決定する際には、慎重な検討が求められます。これは、開業後の経営状態に影響するためです。ほかに、メニュー決定や競合店との差別化なども、重要なポイントとなります。
◇出店場所の決定前の市場調査は怠らない
出店場所は、コンセプトに適していて、ターゲット客層が多い地域を慎重に選ばなければなりません。そのため、出店場所を決める前には、入念な市場調査が不可欠です。現地に実際に足を運び、地域情勢も合わせて調べましょう。
◇資金計画と集客施策はしっかりと熟慮する
居酒屋開業には、しっかりとした資金計画が必要です。自己資金で足りない分の融資を受ける際に、必要不可欠なものでもあります。また、集客についても、さまざまな方策を練っておくことが望ましいです。あらかじめ策を練っておくことによって、来店客数の減少が顕著となる前に、手を打てるようになります。
◆居酒屋経営が厳しいといわれる理由
宿泊業や飲食サービス業は、開業率と廃業率がともに高い業種です。居酒屋はこの業種に含まれます。廃業率が高い理由は比較的デメリットが多いからです。なかでも大きなデメリットは、収入に対して労力が大きいことがあげられます。
とはいえ、大きな成功を納めている居酒屋も決して少なくありません。成功している居酒屋の特徴を理解し、事業計画の段階から、長く続けられる居酒屋を目指しましょう。
◆まとめ
居酒屋を開業し成功を目指すためには、成功事例を集めて分析する必要があります。また、開業資金として、初期費用や運営資金の準備が必要です。居酒屋開業も立派な事業であるため、事業計画をしっかり策定してから進めましょう。また、開業前に必要な資格を取得し、開業に不可欠な手続きを踏んでおくことも重要です。
居酒屋開業の初期費用は、本記事で解説した8つのステップを踏めば高額になりがちです。しかし、居抜き物件であれば、内装工事費や設備費を大幅に抑えられ、造作譲渡料のみで済ませられます。居抜き物件をお探しなら、レスタンダード株式会社の居抜き市場をぜひご覧ください。開業のノウハウなど、飲食店経営に役立つ幅広い情報を発信しています。
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