開業ノウハウ

小規模飲食店であっても開業の前に作成しておきたい接客マニュアル

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飲食店開業となると、資金調達とともに、店舗の確保、内装工事、居抜き物件を獲得したとしても、取引先の選定、器具の仕入れ、諸々の届け出など、ここに書ききれないほどの作業が待ち構えています。そのような状況のなかでは、優先順位が低いと思われるのが接客マニュアルの作成。特に小規模での開業を計画している人にとっては、優先順位が低いどころか、まったく念頭にない人も多いでしょう。しかし、マニュアルは飲食店を開業するのならば、考えておきたいもののひとつなのです。今回は、接客マニュアル作成のメリットからご紹介します。

 

接客マニュアル作成のメリット

「接客マニュアル」といえば、チェーン店が有名ですが、チェーン店に限らず、接客商売を行うのならば、何らかの形のルールを決めておきたいのが接客方法です。

当初はひとりで切り盛りする予定なので、接客マニュアルは不必要だと思う人もいるでしょう。しかし、経営者本人、プラス家族の手伝いのみの小規模経営であっても、開業準備の忙しい間を縫って接客マニュアルを作成するメリットはあるのです。

 

コンセプトを再確認できる

よく知られている接客用語には「接客7大用語」と呼ばれているものがあります。

  • いらっしゃいませ
  • 少々お待ちください
  • かしこまりました
  • お待たせいたしました
  • 恐れ入ります
  • ありがとうございます
  • 申し訳ございません

これらの言葉は、ただ口にすればよいというものではありません。店内の雰囲気、言い換えれば店のコンセプトに合わせた言い方でなければならないからです。

どのようなトーンの声で、どのくらいの大きさの声で、どのくらいのスピードで……と、実際に声に出してみましょう。同時に、お辞儀が必要かどうか、どのようなお辞儀がふさわしいかなどについても検討しましょう。このほかに店の業種に合わせた注文時や会計時などの接客用語もありますので、「接客7大用語」以外にも頻繁に使いそうな言葉を書き出してみましょう。

「落ち着いた雰囲気を出すために丁寧に」といっても、何をどこまで丁寧にするのか? 「元気に活気ある感じに」といっても、具体的にどのような口調にするのか? 言葉遣いや口調、お辞儀の仕方などを考えながら、店のコンセプトをさらに明確にし、コンセプトと接客方法をしっかり合致させましょう。

 

接客法が確認できる

ひとりで切り盛りする予定であっても、開店前に接客の流れを勘案してマニュアルとして書き出しておかないと、実際にお客さんが来店されたときに、注文の受け方や配膳、会計の作業が入り乱れて必要以上に時間がかかったり、ミスが発生したりします。

どのような場合にも無駄のない円滑な接客ができることを目指して、お客さんが立て続けに入店された場合や、グループで来店された場合、電話が入った場合など、いくつものケースに合わせて、料理の手順だけではなく、お客さんへの対応の仕方もよく考え、とっさに行動できるようにマニュアル化して頭に入れておきましょう。

また、 接客7大用語に代表される接客用語も、慣れないとすぐには出てこないものです。飲食店で働いた経験が少ない場合には特に、作成したマニュアルに沿って事前に何度も声を出して予行演習しておくと、実際に開店したときにスムーズに声掛けすることができるでしょう。

 

効率的な教育が可能

家族の応援を頼んだとき、あるいはアルバイトを入れたとき、あいさつの口調やお辞儀の仕方などは、特別に時間を取らずとも現場に入ればすぐに習得してもらえるかもしれません。しかし、注文の取り方や配膳の仕方、会計の仕方、電話予約の受け方などを現場で指導して習得させることは、接客業務の妨げになるだけではなく、お互いのストレスのもとになりかねません。

マニュアルとして一度書き記しておけば、家族やアルバイトに現場で時間を割いて教える必要がなくなるだけではなく、マニュアルを何度も見返すことができるので早く覚えてもらうことができます。新人アルバイトであっても、店に出る前にマニュアルを覚えてもらっておけば、初日から自分と同じ接客サービスの提供が可能になるのは大きな利点でしょう。

 

接客マニュアルに載せたい項目

接客マニュアルを作成するうえで、盛り込みたい項目についてご紹介します。

 

店内での応対

「入店時」「オーダー」「配膳」「下膳」「会計」などのシーンに分けて、模範例を考えましょう。

「決まり文句」を決めておくと、接客が楽になるだけではなく、どのお客さんへのサービスも一定するため安定感が出ます。

そして、先に模範例を考えておくということは、おすすめしたい料理の売り文句や、客単価を上げるためのサイドメニューやドリンクをさりげなくすすめるための文句を、いくつもじっくり練り上げておくことができるということです。

お客さんを上手にさばきつつ、売り上げをしっかり確保するためにも、マニュアルを活用しましょう。

 

電話の応対

意外に難しいのが電話の受け方です。声と言葉だけで好印象を与えなければなりません。明るくはっきり、ゆっくりと話すようにマニュアルの冒頭に記しておくとよいでしょう。

電話の応対マニュアルは、メモとともに電話のそばに置くのがおすすめです。予約を受け付ける際の受け答えの模範例を挙げておけば、お客さんの情報の聞き忘れを減らすことができるでしょう。聞き間違いのミスを防ぐための復唱についても明確に書いておくとよいでしょう。

さらには、近在の駅やバス停からの道順も入れておけば、質問されたときにスムーズに説明することができます。

 

クレーム対応

忘れてはならないのが、クレームの対処法です。予約ミス、オーダーミス、料理や飲み物をこぼすといった配膳時のミス、会計時のミス、ときには「テーブルが汚れている」のように衛生面のクレームがつくこともあります。そのほか「料理が出てくる時間が遅い」「あとから来た客の方が先にサーブされている」などのクレームがつくこともあるでしょう。想定されるケースを挙げて、具体的な対処法を記しておきましょう。

また、クレームは電話で受けることもあります。電話の場合についても、具体的な対応方法をマニュアルに載せておきましょう。

気をつけたいのが「異物混入」や「健康被害」、「お客さんの衣服や持ち物を汚した場合」などです。料理に髪の毛や虫が混入していた場合や、お客さんが食後に嘔吐(おうと)したり腹痛を訴えたりした場合など、想定するだけで縁起が悪いような気がするかもしれませんが、万が一のときにはお店の存続に関わりますので、対応を誤らないように、しっかりと考えておきましょう。

 

接客マニュアルは見直していこう

接客マニュアルをせっかく作成したのであれば、しっかりとそれを活用していきたいものです。そして、状況に応じて、適宜修正していきましょう。新人の有無にかかわらず、定期的に見直しをすると、日ごろの接客を振り返る良い機会になるはずです。

将来的にアルバイトや従業員を増やす予定ならば、効率的な教育を行うためにマニュアルは必須です。今のうちからマニュアルを作成しておき、ブラッシュアップをしていきましょう。

 

開店初日から円滑な営業を目指そう

接客マニュアルの作成の過程で、店に合わせた応対をシミュレーションすることになります。曖昧な部分があったコンセプトもはっきりするでしょう。また、各種クレームについても、冷静に対応方法を考えておくことができます。ひとりで切り盛りする予定ならばなおさらのこと、初日からスムーズな客さばきを目指して、開業前に接客マニュアルを作っておくことをおすすめします。

 

飲食店開業応援マガジン[RESTA(レスタ)]編集部

 

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