飲食店開業には調理師の免許は必要?調理師免許について考えよう!
飲食店の開業を考えたときに、真っ先に「調理師」の免許を思い浮かべる人は少なくないでしょう。飲食店を開業、経営していくためには、調理師の免許を取得しておいた方がよいのでしょうか? また、調理師になる方法は? 調理師試験の合格率は? 今回は、飲食店開業の観点からの、調理師免許のアレコレをご紹介します。
飲食店開業と調理師免許
飲食店開業には調理師の免許は必要ありません。ただし、開業に調理師免許は必須ではなくとも、調理師免許を持っているメリットはあります。ここでは独立開業するに当たってのメリットに絞ってご紹介しましょう。
「食品衛生責任者」になることができる
飲食店開業の際には、食品衛生責任者を設置する必要がありますが、調理師の免許保持者であれば、食品衛生責任者養成講習会を受講せずとも自動的に食品衛生責任者になれる資格が生じます。
お客様に安心感を与える
調理師試験は、調理理論や栄養学、食品学だけではなく、食品衛生学、公衆衛生学、衛生法規なども出題範囲に入っています。幅広い知識を持ち合わせていることは、料理店を経営していくうえでの自信になり、それは来店するお客さんの安心感へとつながるでしょう。
資金が調達しやすくなる可能性がある
開業資金の調達先として親族、友人、パトロンなどを考えている場合には、調理師免許を保持している方が説得力を持たせやすいかもしれません。
日本政策金融公庫の融資制度に申請する場合にも、調理師免許を取得したことを開業と経営に向けての熱意の表れとしてアピールすることができます。ただし、融資が受けられるかどうかについては、事業計画書や面接から総合的に判断されるので、調理師免許の有無で決まるわけではありません。
全国に調理師はどのくらいいる?
実際のところ「調理師」はどのくらいいるのでしょうか?
公益社団法人全国調理師養成施設協会が公表している「調理師試験・免許統計」から、厚生労働省衛生行政報告例を元にした昭和34年から平成27年までのデータ「調理師免許交付数」を見てみましょう。1年間の調理師免許の交付数は、過去には10万枚を超えた年もありましたが、年々減少傾向にあり、現在は3~4万枚となっています。
免許交付の内訳を見ると、養成施設卒業によるものが累計で約93万枚に対して、試験合格によるものが累計で約233万枚と、大差で調理師試験を経て調理師となっている人の方が多いことが分かります。
調理師の就業場所
ここで同じ統計から「調理師就業届出状況」についても見ておきましょう。
実は調理師の働く場所は飲食店とは限りません。とはいえ、最大の就業先は「飲食店営業」です。しかし、平成28年度の統計をみると、その割合は全体の約35%。続いて「社会福祉施設」約22%、「学校」約20%、「病院」10%となっています。
平成6年度の統計によると、就業先の割合は「飲食店営業」が約54%と、半数以上が飲食店営業に就き、「学校」は約13%、「病院」約9%、「社会福祉施設」8.4%となっていました。食育と学校給食の関心が高まると同時に、高齢化社会が本格化した世相が、調理師の就業先にも表れていると言えるでしょう。
調理師になる方法
調理師になる方法は、大きくは2つに分けられます。
厚生労働大臣指定の調理師養成施設を卒業する
夜間部を設けているところも多いので、ダブルスクールや働きながら学ぶことも可能です。卒業すると自動的に調理師免許の申請資格が得られます。
調理師試験に合格する
実務経験を2年以上積むと調理師試験の受験資格が得られます。アルバイトであっても「週4日以上かつ1日6時間以上」の勤務であれば、要件を満たします。勤務が複数の店にわたった場合でも通算することが可能です。その場合には、各店で調理業務従事証明書 (実務経験証明書)を記入してください。
調理師試験
各都道府県で行われています。願書の配布場所、受付期間や試験日などの詳細については、各都道府県の福祉保健局等のホームページで確認してください。
公益社団法人調理技術技能センターのホームページには、過去3年分の試験問題と解答が載せられていますので、活用するとよいでしょう。
受験者数が多いところは?
前出の「調理師試験・免許統計」内の厚生労働省健康局健康課栄養指導室の資料を元にした「都道府県別調理師試験実施状況」によれば、滋賀、京都、大阪、兵庫、和歌山、徳島からなる関西広域連合を除いた都道府県で、平成28年度に最多の受験があったのは東京の約3,200人です。そのほか、1,000人以上の受験者が見られた都道府県は、次の通りです。
- 北海道:約1,600人
- 千葉:約1,500人
- 神奈川、埼玉:約1,300人
- 神奈川2回目、愛知:約1,200人
ちなみに、関西広域連合の受験者数は約5,300人でした。
調理師試験の合格率
ここでは、同様に「調理師試験・免許統計」から厚生労働省健康局健康課栄養指導室の資料を元にした「年度別(10年間)・都道府県別調理師試験合格率」をご紹介しましょう。
全国の合格率は、10年間を通して約61~64%の範囲に収まっており、平均合格率は6割強と言えるでしょう。次に、都道府県別に10年間の平均合格率を見てみましょう。(ただし、平成25年度から関西広域連合に含まれた都道府県を除く)
- ベスト5:合格率の高い都道府県は以下の通り
- 山口県74.7%
- 福島県74.6%
- 栃木県73.9%
- 秋田県71.6%
- 三重県70.4%
- ワースト3:合格率の低い都道府県は以下の通り
- 長崎県49.0%
- 沖縄県52.5%
- 千葉県54.9%
ただし、70%を超えていたものが年とともに合格率が下がっていき60%を切った都道府県もあれば、80%を超えた年もあれば46%そこそこの年もあるという、振れの大きな都道府県もあります。遠方の合格率が高い都道府県の試験をわざわざ選んで受験する意義があるかどうかは分かりません。
念のための複数受験
試験日の日程は各都道府県で大きく違い、最も早いところと最も遅いところでは半年間くらいの違いがあることもあります。開業準備が本格化していたり、開業日が決まっていたりするなどで、今年度中にどうしても調理師試験に合格したいという場合には、万が一近くで受験できなかったときのために、いくつか日程の異なる都道府県の調理師試験に申し込んでおくことが可能です。
ただし、どこの都道府県の合格通知書であっても全国で通用するので、どこかの都道府県で合格したのならば、他県で受験する必要はないことは理解しておきましょう。
調理師免許の申請を忘れずに
調理師試験に合格しても、調理師免許を申請しなければ「調理師」とは名乗れません。申請先や申請に必要な書類などは、都道府県によって異なりますので、住所地の保健所に問い合わせるとよいでしょう。
一般的に申請には、「合格通知書」、「本籍表示のある住民票の写し、または戸籍抄本あるいは戸籍謄本」「医師の診断書」、「手数料」、「印鑑」などが必要です。
メリットと労力、将来性を考えて決めよう
飲食店開業には必須ではないことから、「調理師免許」を取得すべきかどうか悩む人も多いでしょう。実際のところ、飲食店が繁盛するかどうかは調理師免許の有無とは関係ないと主張する人も少なくありません。ただ、料理人ならば知っておきたい知識を学ぶ良い機会にはなります。免許取得のために必要なコストと、免許を保持することのメリットをはかりにかけて考えましょう。
参考:
飲食店開業応援マガジン[RESTA(レスタ)]編集部
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