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年末年始の休業中は注意 「出店荒らし」を防ぐためのポイントは

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年末年始に休業期間を設ける飲食店は多いことでしょう。しかし、休業時に注意したいのが「出店荒らし」です。
 
「出店荒らし」といっても、お祭りなどで見かける屋台の出店のことではなく、店舗を狙って侵入し金品を盗む犯罪を指す言葉です。閉店時間や休業中など、店舗から関係者がいなくなるタイミングを狙って金品を盗んでいくのです。
 
無人になる店内の安全をどう守るか、ここでもう一度確認しましょう。
 

侵入窃盗の約4分の1は出店荒らし

侵入窃盗のうち、「空き巣」は住居を狙ったもの、「出店荒らし」は被害対象が店舗、という形で言葉が使い分けされています。そして警視庁によると、令和3年に都内で警察が認知した侵入窃盗の内訳は下のようになっています。
 

令和3年の侵入窃盗の内訳(出所:「東京の犯罪 令和3年版」警視庁)
 
全体の24.2%、つまり4分の1は店舗を狙った「出店荒らし」ということになります。侵入窃盗は住宅だけの問題ではないことがわかります。
 

出店荒らしをどう防ぐ? ①物理的な防犯

出店荒らしを防ぐためには、まず物理的な防犯が効果的なのは言うまでもありません。基本中の基本として、戸締まりは徹底しましょう。
 
この時気をつけたいのは、侵入窃盗の犯人は入念に下見をしているという点です。よって、鍵の管理方法や暗証番号などは事前に知られている可能性がありますので、こまめに変更しましょう。
 
そして、窓やドアなどに防犯性能の高いものを取り入れることです。おもには、窓、サッシ、鍵です。
 
ガラス破りは、よく使われる侵入手口です。ガラスを破壊して中から鍵を開けるという方法です。これを防ぐためには、防犯性能の高い窓ガラスやサッシが取り入れられているのがベストです。例えば防犯ガラスの場合、構造の一例はこのようになっています。
 

防犯ガラスの種類(出所:「住まいる110番」警察庁)
 
特殊中間膜(特殊フィルム)が入っているのが特徴です。特殊中間膜が破壊を難しくする役割を果たしています。複層ガラスにすると、断熱性能が高く結露防止にも繋がります。
 
また、窓サッシにもひと工夫あるとベターです。サッシについている鍵(クレセント錠)はあまり強くないため、バールなどで力を加えてしまえば外れてしまいます。そこで補助錠を取り付けることでこじ開けを防ぐことができます。
 

サッシの防犯対策(出所:「ピッキング・空き巣対策で気をつけたいポイント」日本ロック工業会)
 
そして、シャッターやドアの鍵穴の種類に注意が必要です。シリンダーによっては、簡単に開けられてしまうものがあるからです。これらは、防犯性能の高いものに取り替えておきたいところです。1万円程度で交換可能です。
 

鍵の防犯性能(出所:「ピッキング・空き巣対策で気をつけたいポイント」日本ロック工業会)
 
なお、防犯性能の高い建物部品として業界団体が認定したものには「CPマーク」がつけられています。購入の際にはチェックしましょう。
 

防犯性能の高い建物部品に付与される「CPマーク」(出所:「住まいる110番」警察庁)
 
侵入窃盗犯は侵入までに長い時間をかけたくありません。発見される可能性が高まるからです。そして、その目安は5分と言われています。この5分を持ち堪えられるような物理的防犯が必要です。
 

出店荒らしをどう防ぐ? ②心理的な防犯

そして、出店荒らしを防ぐためにもうひとつ必要なのが、犯人が侵入をためらう環境を作ることです。いくつかの方法があります。
 

防犯カメラ・ライト

防犯カメラの存在は、心理的に大きな効果があります。それが本物であっても偽物であっても、ぱっと見には区別がつきません。もちろん「防犯カメラ監視中」との表記は必須といえます。また、人が出入り口に近づいた時に点灯するライトをつけることができればなお良いでしょう。
 

店内の明かりを消さない

出店荒らしの犯人は、「人がいない」と判断してから行動に出ます。その判断をさせないために、休みの間もつねに照明をつけておくことはひとつの防犯方法です。閉店中はシャッターを閉めるという店舗の場合は、店舗の外に照明をつけておくことをおすすめします。
 

その他

その他には、普段からレジ回りなど目に入りやすい場所にカラーボールを置いておく、普段からステッカーなどで防犯意識の高さをアピールしておくことも狙われる可能性を下げるのには重要なことです。
 

周囲との連携も忘れずに

なお、侵入窃盗犯が最も嫌うのは「周囲の目」です。立地によっては普段から地域と密接な関係を持つことで、周囲の目がはたらきやすくなり、大きな抑止力につながります。同時に、地域から愛着を持たれる店舗になることにもつながることでしょう。最も効果的な防犯といえます。もちろん、レジに現金を残さない、レジと金庫を別にする、といった基本的なことも忘れないようにしましょう。
 

 

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