飲食店の営業許可を取得する方法 申請の流れや必要書類・注意点も解説
飲食店を営業するには営業許可を取得する必要があります。営業許可を取得するには、さまざまな書類を用意しなければなりません。この記事では、飲食店の開業を目指している人に向けて、営業許可を取得する流れや費用の目安などを解説します。必要な書類や注意点についても解説するため、ぜひ役立ててください。
目次
◆飲食店開業には「営業許可」が必要
飲食店を開業する場合、必ず営業許可を取得しなければなりません。営業許可を取得する際は、食品衛生責任者を設置する必要があります。必要な要件を満たしたうえで保健所の検査をクリアすると、営業許可証を受け取れます。
◇食品衛生責任者とは
飲食店では、1店舗につき1人以上の食品衛生責任者を配置する必要があります。食品衛生責任者とは、食品を安全に顧客へ提供するために必要な知識をもつ人です。店舗の食品衛生について責任をもちます。食品衛生責任者を取得するには、栄養士や調理師などの資格が必要です。資格がない場合も、食品衛生責任者養成講習会の受講により食品衛生責任者の資格を取得できます。
〇食品衛生責任者について詳しく知りたい方は こちら をチェック!
◆営業許可証はどのように取得する?
保健所に申請書類を提出して審査に通過すると、営業許可証が交付されます。営業許可証が与えられれば、正式に飲食店を開業できるようになります。飲食店を開業するための手続きの流れや必要な書類については後述するため、そちらを参考にしてください。
〇飲食店の開業に必要な営業許可証について詳しく知りたい方は こちら をチェック!
◆飲食店の営業許可の種類
飲食店の営業許可にはさまざまな種類があります。具体的な種類の例は以下のとおりです。
・飲食店営業
・喫茶店営業
・あん類製造業
・菓子製造業
・乳製品製造業
・乳酸菌飲料製造業
・アイスクリーム類製造業
・魚肉ねり製品製造業
・食肉製品製造業
・清涼飲料水製造業
・氷雪製造業
・ソース類製造業
・惣菜製造業
・酒類製造業
ほとんどの飲食店は飲食店営業に該当しますが、扱っている食品や業態によっては異なる種類に該当する可能性もあります。営業許可の種類によって営業の条件が異なるため、注意が必要です。喫茶店営業ではアルコールを提供できません。テイクアウトに対応する場合も別途許可が必要です。たとえば、惣菜をテイクアウトするには、惣菜製造業の許可を取得する必要があります。
◆飲食店の営業許可取得までの流れ
営業許可の申請から取得までには、通常2~3週間程度がかかります。以下では、営業許可を取得する際の流れを解説します。
◇保健所に相談する
営業許可の申請前に保健所へ相談しておくと、申請をスムーズに進めやすくなります。保健所に相談すると専任の担当者がつき、同じ担当者が検査にも対応してくれます。事前に質問しておけば、検査に合格するためのポイントがわかるでしょう。たとえば、内装工事の着手前に施設基準を満たしているか確認できます。営業許可証が交付されるまでの期間の目安についても教えてもらえます。
◇営業許可の申請を行う
営業許可の申請には、さまざまな書類が必要です。書類をそろえたら、保健所の窓口や厚生労働省のホームページから申請しましょう。申請にかかる手数料は自治体ごとに定められているため、よく確認してください。必要な書類の種類や手数料の目安については、後述します。
◇施設検査の日程を決める
営業許可を取得するには施設検査が必要です。保健所の担当者と相談し、施設検査の日程を決めましょう。
◇施設検査を受ける
施設検査は、申請の数日後から数週間後に行われます。保健所の担当者が店舗に直接足を運び、要件を満たしているかチェックします。保健所の担当者が施設検査で確認するポイントについては後述します。
◇営業許可証が交付される
施設検査で問題がなければ、営業許可証の交付について郵送で通知されます。通知には営業許可証の交付予定日が記載されているため、保健所を訪れて営業許可証を受け取りましょう。店内に営業許可証を掲示すると、飲食店の営業を開始できます。
◆飲食店の営業許可の取得にかかる費用
飲食店の営業許可申請をするには、手数料がかかります。営業許可申請にかかる手数料は、管轄の保健所がある自治体ごとに異なります。手数料の目安は、15,000~20,000円程度です。ただし、業態によっても、営業許可の取得にかかる費用の目安には違いがあります。喫茶店、販売店、製造業などによっても費用が異なるため、事前に確認しておきましょう。
◆飲食店の営業許可申請に必要な書類
飲食店の営業許可申請をするには、複数の書類を用意する必要があります。ここでは、具体的にどのような書類が必要なのか解説します。
◇飲食店営業許可申請書
飲食店営業許可の申請書は、保健所の窓口で受け取りが可能です。自治体のホームページからもダウンロードできるようになっています。申請書には、申請者の氏名や住所、生年月日、営業所の所在地、営業所の名称、営業の種類、食品衛生責任者などのさまざまな情報を記載する必要があります。記入例が示されているため、確認しながら正しく情報を記載しましょう。
◇食品衛生責任者の資格証明書類
飲食店の営業許可申請においては、食品衛生責任者の資格を証明するための書類を添付する必要があります。資格証明書類の写しを用意しましょう。まだ食品衛生責任者が決定していない場合は、誓約書を提出する必要があります。
◇営業設備の大要
営業許可の申請をするには、営業設備の大要も提出する必要があります。営業設備の大要は、厨房やトイレなどの仕様について記載する書類です。保健所に問い合わせれば用紙を受け取れます。店舗の設備の面積、構造、材質などを細かく記載する必要があるため、間違いがないように確認しながら作成しましょう。不明点を保健所に問い合わせると、くわしい書き方を教えてもらえます。
◇店内の平面図
店内の平面図には、厨房、トイレ、客席などの配置を記入します。営業設備の大要の裏面に平面図を記入できるようになっている場合が多いです。店舗内に何があるかわかるよう、設備や備品の配置を示してください。なお、内装業者に依頼しているなら、内装業者に平面図の作成を任せられることもあります。
◇店舗周辺の地図
店舗の所在地がわかるよう、店舗周辺の地図を書きます。最寄り駅や周辺の状況がわかればいいため、手書きで簡単に記載しても構いません。地図を印刷して店舗の所在地に印をつけてもいいでしょう。
◇水質検査成績書(貯水槽の水/井戸水を使用する場合)
貯水槽の水や井戸水を利用して飲食店を営む予定であれば、水質検査成績書も提出しましょう。ビルの一角に飲食店を構える場合は共用の貯水槽を使用するため、必ず水質検査成績書を提出してください。
◇登記事項証明書(法人のみ)
法人として飲食店を経営する場合は、登記事項証明書の提出も求められます。登記事項証明書は、法人としての登録を証明するための書類です。管轄の法務局へ行き、履歴事項全部証明書を取得しましょう。登記事項証明書を取得したら、飲食店を経営する法人であるとわかる文言が記載されているか確認してください。
◆保健所の検査でチェックされるポイント
保健所の施設検査では、さまざまなポイントがチェックされています。担当者が見ている具体的なポイントの例は、以下のとおりです。不備を指摘された場合、改善しなければ営業許可証の交付を受けられません。あらかじめ基準をしっかり満たすように配慮しましょう。
・厨房と客席がわけられているか
・厨房とトイレに手洗い場があるか
・食器棚に戸がつけられているか
・給湯器が設置されているか
・シンクの幅が基準以上か
・厨房に蓋がついているゴミ箱があるか
◆飲食店の営業許可を取得するときの注意点
飲食店の営業許可を取得する場合は、注意点もあります。具体的な注意点について以下で解説します。
◇営業許可が下りないケースがある
何らかの問題があると、申請しても営業許可が下りない可能性があります。たとえば、食品衛生法に基づく行政処分を受けた履歴があったり、営業停止処分を受けてから2年以内であったりすると、営業許可を受けられません。過去に処分を受けている場合は注意が必要です。
◇営業許可が下りないときはどうする?
営業許可が下りないときは、原因にあわせて対処する必要があります。問題点を改善して再申請すれば、営業許可の取得が可能です。たとえば、施設検査で改善点がみつかったなら、要件を満たすように工事し直しましょう。また、食品衛生者を設けていなかった場合は、資格を取得して申請し直してください。
過去に食品衛生法に違反しているなら、処分後2年が経過するまで待ってから申請する必要があります。店舗の営業許可を取り消された経験がある場合も、2年が経過してから申請しましょう。
◇無許可で営業すると罰則がある
営業許可を取得せずに飲食店の営業を開始すると罰則の対象になるため、要注意です。食品衛生法第52条1項では、無許可の営業に対して2年以下の懲役または200万円以下の罰金を課すと定められています。営業許可を取得しても業態にあっていなければ違反になる可能性があるため、よく確認してください。
◆まとめ
飲食店を開業するには、営業許可の取得が必須です。さまざまな書類が必要であり、要件を満たすよう店舗を整備しなければなりません。それぞれの要件を確認し、正しく申請しましょう。
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