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飲食店営業許可は更新が必要?基本的な更新の流れや注意点について解説

飲食店営業許可は、飲食店の経営において必要な許可のひとつです。この記事では、飲食店営業許可を更新するにあたって、用意すべき書類や更新作業の流れ、都道府県別の更新手順などについて解説します。飲食店の経営者をはじめ、飲食店の出店を予定している人、出店を希望している人は、ぜひ参考にしてください。
◆そもそも飲食店営業許可は更新が必要か
飲食店営業許可には期限が設けられているため、定期的に更新しなければなりません。飲食店営業許可の期限は自治体によって異なるものの、5〜8年で更新手続きを進めるのが一般的です。有効期限は、自分が取得した飲食店営業許可の下に記載されているため、あらかじめチェックしましょう。
◇飲食店営業許可を更新しないと効力がなくなる
更新をしない、または忘れてしまうと、営業許可の効力はなくなります。無効になった状態で店舗の営業を続けると無許可営業とみなされて、2年以下の懲役または200万円以下の罰金を科せられます。また、更新が遅れると新規申請の扱いになるため、用意すべき書類が増えてしまいます。
◇HACCPと飲食店営業許可の関係
HACCPとは、食中毒をはじめとする色の安全を脅かす危害要因を把握し、取り除くための国際的な衛生基準です。日本でも2020年6月1日に1年の猶予期間を経てスタートしており、以降はHACCPに沿った衛生管理を実施する必要があります。HACCPの基準をクリアできなければ、当然飲食店営業許可の更新はできません。
◆飲食店営業許可の更新に必要な書類
飲食店営業許可の更新をする場合、用意すべき書類が複数あります。以下で、必要な書類の詳細について解説します。
◇営業許可申請書(更新)
申請書は保健所の窓口または自治体の公式サイトから取得できます。営業許可申請書に記載する内容は、以下のとおりです。
・申請者の氏名・住所
・営業所の現在地
・営業の種類
申請書は新規と更新で共通のものを使用する場合もあります。
◇現在の営業許可証
所有している営業許可証は、更新の際に必要となるため、忘れずに用意してください。営業許可証を紛失してしまった場合には、新たに「設備の構造及び設備を示す図面」を提出しなければなりません。
◇施設図面
施設の図面も、更新に必要な書類のひとつです。実地検査の際に指摘を受けないためにも、施設図面は詳しく記入しましょう。自治体によっては、雛形が公開されている場合があります。必要に応じて活用しましょう。
◇食品衛生責任者の資格を証する書類
食品衛生責任者の資格を証明する書類の原本、またはコピーも更新の手続きにおいて必要です。食品衛生責任者の資格を証明する主な書類は以下のとおりです。
・調理師・栄養士などの免許状
・食品衛生責任者手帳
証明する書類がない場合は、食品衛生の窓口に設置してある誓約書を提出します。
◇登記事項証明書(法人の場合)
法人の場合は、登記事項証明書を用意しなければなりません。登記事項証明書とは、不動産の所有者をはじめ、不動産に関する情報が記載された証明書です。登記事項証明書は法務局でのみ取得できる書類で、市役所や区役所、町役場などでは取得できません。
◇水質検査成績書(貯水槽や井戸水を使用している場合)
貯水槽や井戸水を使用している場合、水質検査成績書も必要です。水質検査成績書は、以下の方法で取得できます。
・建物の管理をしているオーナーまたは不動産業者からもらう
・水質検査を実施している専門機関に調査を依頼する
なお、水質検査成績書は1年以内のものでなければなりません。
◆飲食店営業許可の更新の流れ
飲食店営業許可の更新をするにあたって、どのような流れで手続きを進めるかを解説します。
◇1. 保健所に相談する
管轄の保健所に連絡をして、更新手続きを進めたい旨を伝えます。保健所から更新に関する連絡が入るのが一般的ですが、通知が来ない場合もあります。更新が遅れる事態を防ぐためにも、自ら動く意識を持ちましょう。なお、相談のタイミングは更新の1〜3か月前がおすすめです。
◇2. 営業許可の申請をする
保健所への相談を終えたら、必要書類を用意して更新の申請をします。更新の場合には提出書類が簡略化されるケースが多いため、新たに飲食店営業許可の申請をするときに比べると、手間と時間がかかりません。ただし、利用している施設の構造や設備に変更が生じていると、別途書類が必要になることもあります。
◇3. 施設検査日程を調整する
申請が済んだら日程の調整をします。更新の場合も新規申請と同様に、保健所による検査が実施されます。検査には、飲食店を営業する人が立ち会うのが原則です。また、検査の日程を変更したい場合は、迅速に管轄の保健所に連絡を入れて指示を仰ぎましょう。
◇4. 営業許可証を交付してもらう
検査が終了し、問題がないと認められると、新しい営業許可証が交付されます。なお、営業許可証はすぐに交付されるのではなく、交付予定日が伝えられるため、忘れないようにしましょう。また、交付方法は窓口、郵送など自治体によって異なる点にも注意が必要です。
◇5. 営業を再開する
すべての手続きが終わると、営業を再開できます。営業許可証は、顧客への透明性を確保するためにも、店舗内の見やすい場所に掲示しましょう。具体的には、店舗の入り口、レジ付近、顧客の視界に入りやすい壁面などがおすすめです。また、施設内の設備に変更が生じた場合や廃業する場合には、あらためて保健所に届出をしてください。
◆都道府県別の飲食店営業許可の更新手順
更新の流れは、都道府県ごとに異なります。ここでは、東京、大阪、福岡の更新手順について解説します。
◇東京の場合
東京都の南多摩保健所の管轄エリアにある飲食店の場合、以下のケースにおいては、追加の手続きが必要です。
・営業者の変更
・営業所の移転
・営業設備の変更
・営業者(個人)の住所変更、改姓などによる氏名変更
・営業者(法人)の本社所在地、商号、代表者氏名の変更
電子申請システムを利用すれば、オンラインで更新の申請を済ませられます。
◇大阪の場合
大阪市では、有効期間満了の2週間前までを目安に手続きをすることを推奨しています。また、申請の際に支払う申請料は、以下のように営業形態によって金額が異なります。
・飲食店営業:1万2,800円
・飲食店営業(露店):6,400円
更新の場合には、一部の書類を省略できる可能性があるため、事前に生活衛生監視事務所に問い合わせて確認しましょう。
◇福岡の場合
福岡市では、期間満了日の15日前までに更新手続きを終えなければなりません。更新時における施設の優良性、衛生管理の優良性の査定結果によって、許可年数に0~4年が加算されます。なお、施設と衛生管理の優良性による許可年数の加算の上限は10年です。
◆飲食店営業許可の更新に関するよくある質問
飲食店営業許可の更新について、寄せられることが多い質問への回答。
◇費用と期間はどのくらいかかる?
更新に必要な費用は、自治体によって異なります。たとえば、新宿区の場合は8,900円ですが、福岡市は8,000円です。更新にかかる期間については、2〜3週間程度が一般的です。書類に不備が見つかったり、検査で合格にならなかったりすると、さらに日数がかかります。
◇飲食店営業許可の更新がされないケースはある?
飲食店営業許可は、自動的に更新されるわけではありません。たとえば、飲食店営業許可の更新にともなう検査において、許可条件を満たしていないと判断された場合には更新されません。また、法改正によって、更新ではなく新規取得が求められるケースもあります。
◆まとめ
飲食店営業許可には有効期限が設けられているため、余裕を持って更新手続きを進める必要があります。更新のタイミングや必要な書類などは、保健所によって異なるため、事前に問い合わせをして確認するとよいでしょう。
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