ラーメン屋の開業資金はいくら?コストを抑える手段・開店準備・失敗しないポイントも解説
ラーメンは多くの人に愛されているだけでなく、飲食店のなかでは比較的資金を抑えられることもあり、飲食店を開業したい人からの人気が高い業態です。この記事では、ラーメン屋を開業する際の資金や開業準備、必要な免許などについて解説します。今後自身でラーメン屋を開業したいと考えている人は、参考にしてください。
目次
◆ラーメン屋の開業準備に必要な3つの事柄
ラーメン屋の開業準備には、欠かせない3つの事柄があります。店舗、メニューの開発と仕入れ、採用と教育について解説します。
◇1.店舗
ラーメン屋の開業に必要不可欠な項目は、店舗の準備です。1から新たな店舗を作る方法と、居抜き物件を活用する方法があります。どちらを選ぶかによって、必要な準備が異なります。1から作る場合は、物件の取得から内装・外装の工事、厨房の設備の導入などすべてを準備しなければなりません。
ラーメン屋は、居抜き物件の優位性が高い業種です。以前の店舗の設備を使用できるため、初期費用を抑えられて準備が少なく済みます。ラーメン屋に限らず、以前の店舗がそば屋やうどん屋などであれば、茹で麺機やスープ用の厨房機器類、券売機など多くの機器を転用可能です。
◇2.メニューの開発と仕入れ
ラーメン屋は個性も人気のひとつであるため、メニューの開発は欠かせません。たとえばラーメンであれば、こだわりと普遍的な味のバランスを考えて、スープや麺、トッピングなどを細かく検討しなければならないでしょう。また、提供するメニューが決まったのち、仕入れ先を決める必要があります。仕入れ先によって原価が変わるため、それぞれの材料について慎重に検討しましょう。
◇3.採用と教育
ラーメン屋は小さな規模であれば1人での運営も可能ですが、多くの場合従業員が必要です。安定して運営するためにも従業員を採用し、教育しましょう。キッチンスタッフとホールともに、技術だけでなくコミュニケーション能力も重要です。
個人での開業する場合は、オーナーが採用や教育を実施します。フランチャイズであれば、本部が採用を支援したり研修を実施したりしてくれるケースも多くみられます。また、従業員のモチベーションを向上しサービス品質を上げるために、評価制度を設けるとよいでしょう。
◆ラーメン屋の開業資金の目安
ラーメン屋の開業には、どれくらいの費用がかかるのでしょうか。初期費用と運営資金の目安を解説します。
◇1.初期費用
約20坪のラーメン屋を1から作り開業する際の初期費用は、約1,000~1,500万円です。一般的に物件取得費や内装工事費、厨房設備費、資格取得費、広告宣伝費などが必要です。物件取得費は、初回の家賃や家賃6か月分の保証金などが必要なため高額になります。フランチャイズであれば、加えて加盟金や保証金などもかかります。
1からラーメン屋を作る場合、壁紙や水回りの工事などの内装工事費、冷蔵庫やコンロ、茹で麺機などの厨房設備費といったまとまった金額が必要です。また、地域によっては下水道に直接油が流れることを防ぐ、「グリーストラップ」の導入が義務付けられていることも多いので事前に確認しましょう。その様な点から見ても、居抜き物件を取得できれば、費用を抑えられます。
◇2.運営資金
ラーメン屋の運営には、規模や地域にもよりますが1か月あたり約150~500万円の資金がかかります。おもに、人件費や店舗の賃貸料、原材料、水道光熱費などが必要です。店舗の規模にもよるものの、原材料や人件費などが運営資金の多くを占めます。
原材料は売上の30~35%ほど、人件費は売上の20~30%ほどが目安です。使用する食材にこだわるほど、原材料の割合が上がります。加えて、フランチャイズの場合は、本部に支払う費用が2~5%必要です。開店直後は安定した売上を得にくいため、あらかじめ安心して経営できるよう、3か月~半年分の運用資金を用意しておきましょう。
◆ラーメン屋の開業に必要な免許
ラーメン屋の開業には、免許が必要です。具体的には、食品衛生責任者と飲食店営業許可が欠かせません。場合によっては、防火管理者も必要となります。それぞれの免許について解説します。
◇1.食料品衛生責任者
食品衛生責任者は食品衛生法で義務付けられている、食品の製造や販売の際に必要な免許です。自身や従業員のうち1人が取得しなければなりません。
ただし、調理師や栄養士、製菓衛生師、食品衛生管理者などを保有していたり、保有する従業員を採用したりする場合は不要です。取得には、保健所や都道府県知事などが実施する、約6時間の講習の受講が必要です。詳しくは、以下を参考にしてください。
※参考:食品衛生責任者の資格を取るには?費用や試験、申し込み方法について解説します| RESTA[レスタ]
◇2.飲食店営業許可
飲食店営業許可は保健所から取得する、営業の許可を得るために必要な免許です。保健所で申請する際、工事着工前に設計図を持参して相談しましょう。その後、営業許可申請書や必要な書類を準備し営業許可を申請します。
申請には、食品衛生責任者を保有しているという証明が必要です。そのため、飲食店営業許可の申請前に、食品衛生責任者を取得しましょう。詳しくは、以下を参考にしてください。
※参考:飲食店の開業には保健所の営業許可が必要!営業許可をとるための要件や手続きの流れをご紹介| RESTA[レスタ]
◇3.防火管理者
店舗の収容人数が30人を超える場合は、防火管理者が必要になります。防火管理者とは、火災の被害を防止するために消防計画を作成し、防火管理業務を計画的に実施する責任者です。取得する際には、都道府県知事や消防長などが実施する防火管理講習を受講しましょう。
なお、ラーメン屋の広さが300m²以上であれば甲種防火管理者、300m²未満であれば甲種または乙種防火管理者が必要となります。詳しくは、以下を参考にしてください。
※参考:飲食店経営には資格が必要?取得の方法と手続きについて解説| RESTA[レスタ]
◆ラーメン屋を開業するメリット
ラーメン屋の開業には、こだわりを反映しやすく、専門的な資格が不要というメリットもあります。それぞれのメリットについて解説します。
◇こだわりを反映しやすい
ラーメン屋はこだわりを反映しやすい業態です。外観や内装、ラーメン、メニューなどを自身の理想にしやすいためです。ただし、フランチャイズであれば、ある程度ルールがあるため自由度が低くなります。実際にこだわりを持ち、ラーメン屋で成功している3つの事例は以下をご覧ください。
(1)飲食店開業成功者インタビュー VOL.1 「キング製麺」水原裕満さん| RESTA[レスタ]
(2)人気店オーナーに聞く繁盛の秘訣 vol.1 南浦和「麺処 はら田」原田拓也さん| RESTA[レスタ]
(3)会員登録はこちらから飲食店開業者インタビュー VOL.36「ラーメン豚嵐」小原英明さん| RESTA[レスタ]
◇専門的な資格は不要
ラーメン屋の開業に、専門的な資格は不要です。誰でも始めやすく、前職が飲食関係でない人が開業するケースも珍しくありません。フランチャイズの場合は、研修制度があるためより安心でしょう。
◆ラーメン屋の開業に失敗しないためのポイント
ラーメン屋は開業しやすいため競争が激しく、勝ち抜くことは容易ではありません。失敗しないための3つのポイントを解説します。
◇集客が見込める立地を選ぶ
ラーメン屋を成功させるには、立地が重要です。交通量の多い幹線道路沿いであれば、広い駐車場を確保し、遠くからでも認識してもらえる看板が必要です。ビジネス街で駅に近い立地であれば、徒歩での来店を想定して仕事帰りに立ち寄りやすいよう、遅い時間帯までの営業を想定するなどが必要でしょう。また、競合店が少ない地域も有利です。
ただし、ラーメン屋は競争が激しく、成功者と失敗者の明暗差が開きやすい傾向があります。出店から3年以内に62.7%が廃業しており、売上や集客が不調な際は迅速な方向転換や軌道修正が必要です。
◇メニューを絞る
ラーメンの種類やサイドメニューなどのメニューを増やすほど、食材の費用に加えて設備や機器の費用がかかります。メニューは厳選して絞り、費用を抑えることを意識するとよいでしょう。厳選したメニューのクオリティを上げることに集中し、満足してもらうことが重要です。独自性があると、宣伝する際にも認知されやすいメリットもあります。
◇居抜き物件を探す
居抜き物件とは、以前の飲食店の厨房設備や空調設備などが残ったままの物件です。居抜き物件であれば初期費用を抑えられます。なお、設備は無料で譲渡してもらえるケースと、数十万円ほどの造作譲渡料がかかるケースがあるため、確認しましょう。
工事に要する時間を短縮できるため、オープンまでの時間を短くできるというメリットもあります。居抜き物件はインターネットでも検索でき、探すのは難しくありません。
◆まとめ
ラーメン屋を1から開業するには、約1,000~1,500万円の初期費用と、1か月あたり約150~500万円の運営資金が必要になります。ただし、居抜き物件を活用すれば、初期費用を抑えられる可能性があります。開業までの時間や資金などを鑑みて検討しましょう。
レスタンダードは、居抜き物件を幅広く掲載している「居抜き市場」を運営しています。店舗専門の不動産業者のため、飲食店の出退店に関して熟知しており、知見が豊富です。開業のノウハウをはじめとする、飲食店経営の情報発信にも力を入れています。飲食店経営に役立つさまざまな知識を発信しているため、まずは会員登録してみてください。
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飲食店開業応援マガジン[RESTA(レスタ)]編集部
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