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初めて目にしたモクテルの世界 -今話題の「モクテル」って何? 前編-

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〈前編〉マーチエキュート神田万世橋 「Low-Non-Bar」

 
こんにちは、ライターのはるまきもえです。
 
みなさんは「モクテル」という言葉は、知っていますか?モクテルとはイギリスで生まれた造語で、ノンアルコールのカクテルを意味しています。最近は「若者のアルコール離れ」なんて話題もよく耳にしますが、このモクテルというカクテルが、今飲食店の間で密かにムーブメントを起こしているようです。
 
近年ではコロナの影響で、飲食店でのアルコール提供が一時的に禁止されていた時期もありましたよね。お酒との付き合い方について考えさせられる機会が多かった、2021年。そんな時代の中、ノンアルコールカクテルを用いて、新たなお酒の楽しみ方を提供している店舗が増えているようです。向かった先は、秋葉原。実際に店舗へ伺いました!
 

今回訪れた店舗はこちら、「Low-Non-Bar」です。

 

 

Low-Non-Bar

https://orchardknight.com/bar/low-non-bar
〇東京都千代田区神田須田町1-25-4マーチエキュート神田万世橋 1F-S10
東京秋葉原の高架下に佇む、日本初のロー、ノンアルコールバー。
雑貨屋や喫茶店など、落ち着いた雰囲気の店が立ち並ぶ「マーチエキュート神田万世橋」の中にあり、本格的なノンアルコールドリンクやローアルコールのドリンクを提供している。

 

 
さっそく店内に入りましたが、本格的なバーに訪れたのは初めて。注文の仕方がまったくわかりません。
 
そんな私に声をかけてくれたのは、マスターの高橋さん。「メニューで目に留まったものを言ってくれれば大丈夫ですよ。たとえばこの小鳥のグラスのイラスト、可愛いですよね。」
 

▲スタンダードなアルコールドリンクに加えて、ノンアルコールカクテルの種類が豊富に用意されている。
 
メニュー表には、鳥の形をしたグラスの絵が。言われるがまま、最初の注文をお願いします。
 

▲「ローノンバー」4種のベリーとパプリカ、ビネガードリンクであるシュラブを使われたカクテル。
 
1杯目に頼んだのは「ローノンバー」という店名が名付けられたこのカクテル。飲んでしまうのがもったいないくらい可愛らしい見た目で、思わず声をあげてしまいました。ベリーの甘酸っぱさが口に広がり、とても爽やかな味がします。「シュラブ」という、果物やハーブを漬け込んだビネガードリンクが入っていて、後味に満足感を与えてくれます。あまりの美味しさに、今までのノンアルコールへのイメージがガラッと変わりました。
 
緊張していた心が少しほぐれ、さっそく次の注文へ。マスターとの会話の中から、自由に注文してもいいということがわかり、バーでの楽しみ方が少しずつわかってきました。「次は、チョコレートが好きなのでこのドリンクをください!」
 

▲「ワビサビ」チョコレートにアクセントとしてわさびを入れたカクテル。氷には銀箔が添えられている。
 
2杯目を作ってくれた高橋さん。甘いチョコレートドリンクにわさびを加えることで、スッキリとした後味とカクテルの風味が加わっています。
 

▲目の前に広がるショーケースは実は冷蔵庫になっている。
 
「うちは3年前、日本橋にオープンしたんですけど、冷蔵設備が足りなくなってしまい、ここに移転してきたんです。ノンアルコールカクテルに使用するものは、アルコールが入っているものと比べて、蒸発してしまったり傷みやすかったりするので、常温で保管することができないんですよね。かといってお客様から見えない位置にある冷蔵庫にしまってしまうと、バーの醍醐味である会話が生まれなくなってしまうんです。」
 
提供しているものがノンアルコールでも、ほかのバーと変わらない楽しさを提供できるように、「Low-Non-Bar」ではお店づくりから工夫されていることに気づきます。
 
「バーで注文するときって、お客様の目に留まったものから好みを知ることができたり、派生して会話が広がったりするじゃないですか。だから冷蔵設備も、お客様からも見える場所に配置することによって、ほかのバーと同じように会話を楽しんでもらえると思ったんです。」
 

▲「トマトとバラのカクテル」トマトとバラのシロップ、ノンアルコールのジンでできたカクテル。
 
3つ目に頼んだのはトマトとバラのカクテル。さっぱりとした味わいで、トマトの旨味がカクテルの大人っぽさを感じさせ、ノンアルコールでも満足感がある味わいでした。
 

▲横浜のバラ農園から仕入れたバラのシロップ(左)と新潟のクラフト場から取り寄せたノンアルコールジン(右)。
 
「普段からノンアルコールカクテルについて学んでいるんですが、僕はバーではなくて、一つ星のレストランに行って学んだりしていますね。商品を提供している人が若くてクリエイティブな人が多く、刺激になるんです。そういったところで、新しい発想だったり考え方を得ています。」
 
お店づくりからカクテルまで、いろいろなところにお客様に楽しんでもらうための工夫が散りばめられています。
 

 
「『Low-Non-Bar』ではもちろんですが、ほかのバーでも当たり前にノンアルコールを頼める空気が生まれればいいなと、僕は思っています。アルコールが飲めない人ってどこかで遠慮してしまったり、完全にその場を楽しめないところがあると思うんです。そうじゃなくて、両者とも同じくらいお酒の場を楽しめる空間が作りたい。そのためにはまだまだ商品を模索していく必要がありますね。」
 
お酒を飲める人と飲めない人。そのどちらもが同じように楽しめる空間こそ、「Low-Non-Bar」が感じてほしい想いのようです。
 

初めて目にしたモクテルの世界

 

 
モクテル・ノンアルコールカクテルを提供している「Low-Non-Bar」に伺って感じたことは、「当たり前のようにノンアルコールカクテルを楽しめる場」をつくることが、どんな人でもお酒を楽しめる新たなカルチャーになるということです。
 
お酒が飲める人も飲めない人も、同じように当たり前に楽しむことができる。そのための工夫が、お店のいろいろなところで発見することができました。みなさんも機会があればぜひ行ってみてください。今まで知らなかったノンアルコールの驚くほどの魅力と、世界の広さに気づくことができるかもしれません。
 

取材・文 はるまきもえ 

 

 

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