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宣言解除後の人出増…飲食店にとって悩ましい人材確保のタイミング

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緊急事態宣言が全国で解除されてから、街では夜間の人出が増加している。
 
今月から飲食店の経営も大幅に緩和され、売上を取り戻す重要な機会ともなっている。しかし一方で、人材確保について頭を悩ませる経営者は少なくないだろう。このままの営業を続けられるならば店員を募集し、対応できる体制を整えたい。一方で「第6波」を想定すると、再び従業員を減らす必要に迫られる。
 
また、採用を拡大する他業種との人材の取り合いも生じかねず、複雑さを増している。
 

夜間の人出は大幅増加

10月9日付のNHKニュースによると、宣言解除から1週間経った8日の各地の人出の増加率は、下記のとおり大幅に増加しており、夜間のほうが多いこともわかる。飲食店の営業再開や閉店時間繰り下げが影響していることは間違いないであろう。
 
・札幌駅付近が日中は24%、夜間は43%
・渋谷スクランブル交差点付近で日中は18%、夜間は62%
・名古屋駅付近で日中は42%、夜間は65%
・大阪梅田駅付近で日中は20%、夜間は52%
・広島駅付近で日中は51%、夜間は105%
・博多駅付近で日中は47%、夜間は86%
・那覇市の県庁前駅付近で日中は23%、夜間は25%
 
これまではいかに人件費を減らすかが課題だった飲食店としては、この急激な客足の戻りに困惑してしまうかもしれない。宣言が解除されたとはいえ、先行きは予測不能だからだ。
 

宣言発出以降の飲食店の人材募集状況

厚生労働省が毎月発表している有効求人倍率の統計を見ると、飲食店は今年の春先から、人員募集を控えていることがわかる(図1)。4月にまんえん防止等重点措置が適用される地域が相次いでからのことである。
 

飲食店の新規求人数

令和3年 (人)
3月 47,307
4月 34,077
5月 31,897
6月 39,455
7月 35,486
8月 34,789

図1:飲食店の新規求人数(パートタイム含む)
(厚生労働省「一般職業紹介状況(令和3年8月分)について」より作成)
 
地域によっては営業条件が規制強化されたり緩和されたりの繰り返しというところもあり、採用に慎重にならざるを得ないのは当然のことである。
 
一方で人手不足も顕在化している。帝国データバンクのレポートによると、7月の調査段階では、飲食店は人手が不足している業種のトップになっているのだ(図2)。
 
図2 従業員が不足している業種
図2 従業員が不足している業種
(出所:帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2021年7月)」)
 
度々営業形態の変更を強いられてきたため、規制の合間の時期でも少ない人数で乗り切ろうとした結果であろう。
 

「急募」では間に合わない可能性も

「宣言が解除されたので募集をかけた」「もうすこし様子を見てから決める」。現段階では、経営サイドの判断は分かれるところだろう。しかし、他業種の動きも気にしなければならない。
 
コロナ禍発生後から勢いを増す宅配サービスは変わらず募集を続け、主婦の姿も見られるようになった。また、飲食店の経営規制で客足が流入したコンビニエンスストアも競争相手になりかねない。
 
年末に向けた人員確保について、「第6波」への懸念と「雇い損ね」という両方の可能性を考えなければならない。飲食店経営者にとって、新たな悩みになりそうだ。
 

 

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