開業後順調に経営していくうえで役に立つ!飲食店を経営するなら知っておきたい助成金
開業資金としては利用できないので、詳しくは調べずじまいになっているのが、補助金や助成金でしょう。しかし、資金が必要なのは、開業時だけではありません。今回は、開業後、順調に経営していくうえで役に立つ「助成金」についてご紹介しましょう。
助成金とは?
「助成」とは、「事業や研究などを助けて成就させること。力を添えて成功させること。(広辞苑第五版より引用)」つまり、助成金とは事業や研究などの成就に助けとなる資金ということになります。助成金の運営元には、国、地方自治体、財団などがあり、対象は全国単位もあれば、都道府県に限られているものもあります。
補助金との違いは?
「補助金、助成金」のような言い方で、まとめて表現されることが多い助成金と補助金ですが、両者は異なる制度です。国や自治体が運営元であり、開業前には融通してもらえないこと、急な資金繰りには利用できないこと、返済義務がないことについては、両者に共通しています。助成金は原則的に要件を満たせば交付してもらえますが、補助金は審査があり、要件を満たしても受給できるとは限らないところが大きな違いとなっています。
飲食店経営に役立ちそうな助成金・補助金
千差万別ともいえる助成金のなかから、飲食店経営に利用できそうなものを、運営元別にご紹介しましょう。対象者や要件、助成上限額などはそれぞれ異なりますので、詳しくは運営元のホームページで調べるようにしてください。
厚生労働省
業務改善助成金
事業場内最低賃金の引き上げを奨励する制度。POSシステムの導入といった設備投資や専門コンサルタントによる業務フロー見直しなどを行うことで生産性を向上し、事業場内最低賃金を一定額以上引き上げると、設備投資にかかった費用の一部を負担してもらえます。
トライアル雇用奨励金
厚生省の概要によると「職業経験、技能、知識等から安定的な就職が困難な求職者について、ハローワークや職業紹介事業者等の紹介により、一定期間試行雇用した場合に助成するもの」。離職や転職を繰り返している者を雇用したい場合に利用することができます。基本的には、支給対象者1人に対して月額4万円が支給されますが、原則として3ヶ月間のトライアル雇用が必要といったように、要件が細かいので応募の際には注意が必要です。
人材確保等支援助成金(雇用管理制度助成コース)
従来は「職場定着支援助成金」と呼ばれていたもの。慢性的人手不足状態に陥っているといわれている飲食店業界にあって、新たに従業員定着のための施策を取ろうとしているならぜひ利用したい制度です。研修制度や評価・処遇制度、健康づくり制度、メンター制度などの雇用管理制度を新たに導入・実施し、離職率の目標値を達成すると57万円支給されます。
受動喫煙防止対策助成金
受動喫煙防止対策の推進を目的とした助成金。労働者災害補償保険の適用事業主であり、資本金5,000万円以下、常時雇用の労働者数が50人以下であれば、対象事業主となります。喫煙専用室や換気装置といった設備の設置や改修などが対象になっており、喫煙区域と非喫煙区域を隔てるパーティションやエアカーテン、ドアなども含まれる。設備費や工費などの2/3(上限100万円)を助成してもらえます。店内の改装工事を予定している場合には特に、分煙について検討してみるとよいでしょう。
全国商工会議所、全国商工会連合会
小規模事業者持続化補助金、小規模事業者持続的発展支援事業 共同・協業販路開拓支援事業
小規模事業者を対象とし、販路開拓や業務効率化の取り組みを支援するもの。補助対象の経費の2/3まで(上限50万円が原則)を補助してくれます。補助対象には、チラシや看板の作成、ショーケースや販促用顧客管理システム、ネット販売システム、コンサルティング会社などに依頼した市場調査費用なども含まれる。募集期間は例年、約1ヶ月間のため、募集開始時期をチェックしておく必要があります。
公益財団法人台東区産業振興事業団
外国語ホームページ新規作成費用支援助成金
東京都23区には、ホームページ作成を支援しているところがいくつもあるため、区内に店舗がある人は、探してみるとよい。台東区では公益財団法人台東区産業振興事業団が運営。台東区内にある中小事業者の、新たな外国語でのホームページ作成の際の経費を一部助成してくれる。ホームページおよびコンテンツ制作費と外国語翻訳費を合わせて10万円が限度。予算が先着満了時点で終了。
助成金利用のポイント
助成金を上手に利用するためには、いくつか押さえておきたいポイントがあります。
情報収集に努める
助成金は大々的に公告されていない場合がほとんどのため、積極的に情報収集に努める必要があります。助成金も年度によって変化がありますので、最新情報を手に入れるようにしましょう。
施策に合わせて選ぶ
助成金は、飲食店の成長をあと押ししてくれるものですが、「はじめに助成金ありき」とならないようにしましょう。申請には手間がかかることもあるので、実施したい施策と支援目的が合致している場合にのみ申請することをおすすめします。
確認を怠らない
申請のための手続きの方法や要件は、助成金によって異なります。また、募集年度によっても変わることがありますので、申請する予定がある場合には、募集期間も含めて、よく確認することが大切です。募集期間が限られているもの、先着順であるものもありますので、早くから準備するようにしましょう。
不明な点は問い合わせる
申請のための要件や、申請書類の書き方などで迷う点がある場合には、必ず問い合わせるようにし、書類不備で却下されないようにしましょう。
高額の助成金を受給したら税金に注意!
受給した助成金も課税対象にあることを忘れないようにしましょう。通常は「雑所得」や「雑収入」として経理上の処理することが多いでしょう。多くの助成金は対象経費の1/2~2/3を上限としているので、一般的には経費よりも補助金の方が多くなることはそれほどありません(とはいえ、例えば経費の2/3を助成してもらった場合、経費は1/3になるので、経費よりも補助金の方が多くなることもありえます)。
しかし、厨房機器や外看板などに対しての比較的高額の助成金を受給した場合には要注意です。設備の取得価格が30万円以上となると、少額減価償却資産の特例が適用になりません。つまり、減価償却していかねばならないため、受給額が減価償却額を超えた分は所得税の課税対象となることを覚えておきましょう。
最新情報をフォローして活用を!
地方自治体が交付している助成金もあるため、その種類は数多くあります。新規に創設されたもの、廃止されたものもありますので、最新情報から自店に活用できそうなものを探すようにしましょう。補助金とは異なり、助成金は要件を満たせば交付してもらえることがほとんどですので、業務の合間を見つけて募集要項や募集期間をチェックしてみることをおすすめします。
参考:
飲食店開業応援マガジン[RESTA(レスタ)]編集部
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