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一人での飲食店開業は可能?メリット・デメリットから開業の流れも解説

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飲食店は一人でも開業できます。一人での開業には複数のメリットがありますが、デメリットもあるため注意が必要です。この記事では、一人で飲食店を開業するメリットやデメリットとともに、開業の流れや準備などについて解説します。開業資金の目安についても解説するため、ぜひ参考にしてください。
 


 

◆一人でも飲食店は開業できる

飲食店には調理、接客、片付け、会計などさまざまな業務があります。すべてをこなせれば一人での開業も可能です。たとえば、客席をカウンター席だけにしたり、調理や片付けなどを効率化したりすれば、一人でも運営できる可能性は十分あります。完全予約制にして対応する方法もあります。また、一人で運営するなら、テイクアウト専門店やゴーストキッチンなどの業態を選んでもよいでしょう。
 

◆一人で飲食店を開業するメリット

一人で飲食店を開業する場合、さまざまなメリットがあります。どのようなメリットがあるか解説します。
 

◇自由に仕事ができる

一人で開業すれば、仕事のすべてが自由になります。何かを決める際に他人の意見を考慮する必要がなく、自分の意思を優先することが可能です。妥協せず、自分にとって理想的な飲食店を開業できるでしょう。店舗の運営についても、自分が決めた方針に沿って進められます。
 

◇低資金で始められる

一般的な飲食店の運営では、人件費、食材費、家賃の3大経費がかかります。しかし、一人で飲食店を開業する場合は、このうちの人件費は発生しません。また、一人で対応できる人数には限りがあるため、それほど多くの食材を用意しなくて済みます。さらに、店舗の規模が小さい分、家賃も低めに抑えられるでしょう。3大経費のすべてを抑えられるため、低資金での開業が可能です。
 

◇ローリスク

すでに説明したとおり、一人なら低資金で飲食店を開業できるため、ローリスクです。自分以外に従業員はいないため、必要最低限の利益さえ出せれば経営を続けられます。また、出すべき成果が小さくてプレッシャーが少ない分、気軽に取り組めるでしょう。
 

◆一人で飲食店を開業するデメリット

一人で飲食店を開業する際はデメリットもあります。どのようなデメリットがあるか解説します。
 

◇売上に限界がある

一人で飲食店を開業すればワンオペレーションになるため、目指せる売上には限界があります。短期的に従業員を雇う方法もありますが、その場合、一人で開業するメリットが得にくくなります。小規模な飲食店の利益を少しでも増やすには、効率化が重要です。たとえば、発券機、キャッシュレス決済、モバイルオーダーなどの導入も検討しましょう。
 

◇クオリティが下がる

一人で飲食店を運営していると、状況によってはユーザーへの対応が疎かになる恐れもあります。一度に複数の対応をしなければいけない場合、接客の質が下がりやすくなります。飲食店のサービスのクオリティを保つには、店内のレイアウトも工夫しましょう。くわしくは後述するため、あわせて参考にしてください。
 

◇代わりがいない

自分一人で飲食店を開業して運営していると、休みたいときに代わってくれる人がいません。たとえば、病気になったときは、店舗も休業する必要があります。自分が感染症になって店舗も休業する場合、店舗に対して風評被害が発生する恐れもあるため、注意が必要です。
 

◆一人で飲食店を開業する流れ

一人で飲食店を開業する際は、どのような流れで進めればよいのでしょうか。以下でくわしく解説します。
 

◇コンセプトを決める

飲食店を開業するときは、コンセプトの設定が重要です。客観的に分析し、提供する料理、価格帯、サービス、立地などを考慮したうえで最適なコンセプトを決めましょう。コンセプトには自分のこだわりを反映することも大切ですが、ユーザーにとっての居心地のよさも重視する必要があります。差別化になる内容を意識しつつ、多くの人に受け入れられるコンセプトを検討してください。
 
関連記事:目指せ!繁盛店!「どんなお店にしたいか、何をどう売るのか」飲食店のコンセプトの決め方とは
 

◇事業計画や資金計画を立案

飲食店の開業にあたっては、事業計画や資金計画も大切です。飲食店のコンセプトを踏まえ、どのように運営していくか具体的な計画を立てましょう。また、資金計画においては、資金の使い道や目的を明らかにする必要があります。
 
特に、金融機関からの融資を希望するなら、誰が見ても納得できるような事業計画と資金計画を立てるべきです。自己資金だけで開業する場合は事業計画や資金計画の策定が必須ではないものの、売上管理やキャッシュフローには気を配る必要があります。
 
関連記事:
飲食店の事業計画書の書き方 テンプレートの入手方法や作成のポイントなども解説
飲食店独立開業者必見!資金計画の考え方/創業計画書記入時の注意点・ポイント
 

◇エリアを決めて物件を探す

飲食店を出店するエリアを決める際は、最初に用途地域を確認しましょう。自宅で開業する場合も必ず用途地域を確認する必要があります。
 
また、飲食店は電気を多く使用するため、選んだ物件で使用できる電気量のチェックも必須です。電気量が足りない場合、手続きが必要になります。3か月から6か月程度かかる可能性があるため、早めに手続きをしましょう。
 

◇資金調達

開業時には多くの資金が必要になるため、資金の調達方法についても検討しましょう。資金調達の主な方法は、日本政策金融公庫からの借入または各自治体による保証協会付きの融資です。両方の利用も可能ですが、注意点もあるため慎重に利用する必要があります。なお、資金の使用用途が設備資金であれば目的が明確だと判断されやすく、融資の審査に通過しやすくなります。
 
自己資金が多いほどスムーズに開業しやすいため、計画的に自己資金を用意しましょう。
 
関連記事:飲食店独立開業者必見!金融機関からの資金調達
 

◇店舗内外装設計と施工

店舗の内装・外装や設計などは、専門家に依頼して対応します。店舗の設計は、飲食店を設計した経験がある設計士に依頼すると安心です。設計料の相場は施工費の10%程度となっています。特に、初めて飲食店を開業する場合は素人が分からない部分も多いため、経験豊富な設計士への依頼がおすすめです。
 

◇設備や什器などの購入

飲食店の運営に必要な設備や什器などもそろえましょう。購入せず、リースを活用する方法もあります。リースは初期費用を抑えられるため、資金の状況も考慮して検討することがおすすめです。ただし、リースできないものもあるため、コンセプトと資金のバランスを考慮して購入しましょう。
 

◇届出と手続き

飲食店を開業するには、届出や手続きも必要です。まず、店舗の衛生管理を行う「食品衛生責任者」の資格を取得しましょう。店舗の収容人数が30人以上であれば「防火管理者」の資格も必須です。
 
また、「営業許可申請」「防火管理者選任届」「防火対象物使用開始届出書」「火を使用する設備等の設置(変更)届出書」「個人事業の開業・廃業等届出書」についても届出をしましょう。深夜12時以降にアルコールを提供する場合は「深夜酒類提供飲食店営業届」の届出も必要です。
 
関連記事:
飲食店開業における防火管理者について知ろう!必要な場合は?資格の取得方法は?
深夜酒類提供飲食店営業届が必要な要件と届出の手続きや注意点を解説
 

◆一人で飲食店を開業するための準備

一人で飲食店を開業するためには、さまざまな準備が必要です。具体的に解説します。
 

◇会計方法

一人で飲食店を運営するなら、会計方法は券売機の利用を検討しましょう。ただし、コンセプトを考慮した場合、テーブルでの会計が適しているケースもあります。また、電子決済のみに対応するという選択肢もあります。ユーザーにとっての利便性も考えつつ、なるべく手間のかからない方法を選んでください。
 

◇水はセルフに

水の提供方法をセルフサービスにすると、対応の手間が省けます。提供が遅れてクレームが発生するリスクも防止できます。ピッチャーや給水器を設置し、ユーザーが自由に水を飲めるようにしましょう。コンセプトによっては、天然水のウォーターサーバーを設置するという方法もあります。ただし、コストがかかるため、慎重に検討すべきです。
 

◇店のレイアウト考案

一人で飲食店を開業する場合、ワンオペレーションで効率的に対応するには、店のレイアウトが重要です。事前に店舗の運営方法を考え、入念にシミュレーションしたうえでレイアウトを決めましょう。売上や来店人数の目標なども考慮し、最も理想的な導線をイメージすることが大切です。
 

◆一人で開業する場合の開業資金の目安(スケルトンの場合)

スケルトンとは、店舗の基本的な構造のみがあり、設備は用意されていない状態です。スケルトンの物件を借りる場合、保証金は賃料の6~10か月分程度、礼金は賃料の2か月分程度、仲介手数料は賃料の1か月分程度となります。また、契約時には、契約月の日割り計算した賃料と翌月分の賃料も支払う必要があります。
 
つまり、物件を確保するためにかかる初期費用は賃料の10~15か月分程度が目安です。ほかにも、保証会社保証料、管理・共益費、保険料などがかかる場合があります。
 
加えて、内装設計費、施工費、看板施工費、厨房機器費などもかかります。状況によっては、クリニーング費が必要な場合もあるでしょう。さらに、レジや備品を用意するための費用も必要です。販売促進・広告費や開店前経費なども発生する可能性があります。
 

◆居抜き物件ならコストや手間を省ける

居抜き物件とは、設備や家具などもそろっている物件のことです。飲食店の居抜き物件を借りれば設備や家具もそのまま利用できるため、開業資金を安く抑えられます。工事が必要なく、開業までの期間を短縮できる可能性もあります。状況によっては、早期に開業できる場合もあるでしょう。
 

◆まとめ

飲食店の開業は一人でも可能であり、メリットが多くあります。ただし、デメリットも生じる可能性があるため、入念に準備を整えたうえで開業することが大切です。また、飲食店の開業には多くの資金が必要ですが、設備をリースで用意したり物件の選び方を工夫したりすれば、コストを抑えられる可能性もあります。
 
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