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ノロウイルス流行の季節 嘔吐物の正しい処理方法を知って感染を防ごう

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ノロウイルスにかかった来店客が店内で吐いてしまった場合、すぐに正しい対処をしなければなりません。この場合、正しい方法で嘔吐物を掃除するだけでなく「空気感染」にも気を付けなければなりません。実はノロウイルス食中毒の患者さんの嘔吐物は空気中に広がり空気感染する可能性があるのです。また、嘔吐物の処理について誤解されている点もありますので、ここで正しい掃除の方法と空気感染についてご紹介します。
 

◆日頃から備えておきたい道具

まず、嘔吐物の基本的な処理方法についてです。すぐに対応できるよう、日頃から店内に備えておきたいのは下のような道具です。
 
・ビニール袋:2 枚
・ペーパータオル:適量 ※汚物を覆う、除去するために使用
・手袋:2 組 ※1 組は予備
・マスク:1 枚
・ガウン:1 枚
・目の保護具(アイガード、ゴーグル等):1 個
・ジアパック:1 個(ある場合)※無い場合は消毒液を都度準備
 
二次感染を防ぐために、できる限りの防護をして処理にあたりましょう。
 

嘔吐物処理の際の個人防護
(出所:「吐物・汚物の処理に関する手順書(第1版)」日本環境感染学会DICT後方支援チーム
 
なお、「ジアパック」はハクゾウメディカルという会社から販売されているもので、ネットショッピングでも手に入ります。次亜塩素酸ナトリウムの入ったパックを捻り潰すだけで、適切な濃度の消毒液が出てきます。水で薄めたりする必要がありませんので計量の手間が省けます。嘔吐物が少量の場合、便利に使える道具です。
 

「ジアパック」の使い方
(出所:「吐物・汚物の処理に関する手順書(第1版)」日本環境感染学会DICT後方支援チーム
 

◆嘔吐物の掃除と消毒の手順

では次に、嘔吐物の掃除と消毒の手順です。嘔吐物を先に処理してから消毒する方法と、嘔吐物を消毒してから処理する方法があります。慣れた方法で、それぞれ以下のような手順で進めてください。
 
<先に嘔吐物の片付けをする場合>
1) 吐物・汚物をペーパータオル等で、そっと外側から内側に集め、拭き取ってビニール袋に廃棄する
2) 吐物・汚物処理用(0.1%)消毒液を染み込ませたペーパータオルで消毒する※ジアパックを使用してもよい
3) 少し時間をおいて(可能な時間で可)から水拭きする
4) 床や周辺のものを消毒する
 
<先に消毒してから嘔吐物を処理する場合>
1) ペーパータオル等で吐物・汚物を覆う
2) 吐物・汚物処理用(0.1%)消毒液を、嘔吐物と同量程度かける
3) 10 分程度放置する
4) 吐物・汚物を覆ったペーパータオルごと、外側から内側に拭き取りビニール袋に廃棄する
5) ペーパータオルで再び覆う
6) 清拭用(0.02%)消毒液で湿らす
7) 10分程度放置する
8) ペーパータオルごと拭き集めビニール袋に廃棄する
※⑤以下は、ジアパックで代用してもよい
 

◇消毒液の作り方

ジアパックではなくその場で消毒液を作るという場合は2種類あります。使うのは漂白剤やハイターなど次亜塩素酸ナトリウムの消毒液(5~6%のもの)です。嘔吐物を消毒する場合は0.1%、嘔吐物処理後に床などを拭くのには0.02%と濃度が異なりますが、500mlのペットボトルがあると計りやすくて便利です。ペットボトルのフタは約5mlです。ペットボトルの半分の高さくらいまで水を入れ、そこに計った消毒液を入れます。
 

ハイターなどを使った消毒液の作り方
(出所:「吐物・汚物の処理に関する手順書(第1版)」日本環境感染学会DICT後方支援チーム
 

◆ノロウイルスの「空気感染」とは?

なお、嘔吐物は空気中に飛散することもわかっています。*1
東京都の実験によれば、嘔吐物の飛沫は半径2mの範囲に広がり、床上160cmまで舞い上がることがわかっています。
 
また、嘔吐物が付着したカーペットの上を歩いた場合にもウイルスが舞い上がり、手や足に付着します。嘔吐物の飛散粒子は1時間ほど空気中にとどまっていたということです。
 
よって清掃の際には、きちんと個人防護をする可能性があります。また、換気を忘れないようにしましょう。同時に、カーテンなどにも注意が必要です。調理器具の場所にも気をつけましょう。
 

◆手洗いについての勘違い

嘔吐物の処理にあたった場合だけでなく、ノロウイルスによる食中毒を防ぐには日頃から手指の消毒は欠かせません。しかし手指消毒については誤解もあるようです。
 
感染予防として手洗いや消毒をする場合、アルコール(エタノール)と石けん、どちらを使っていますか?正解は石けんです。*2
 
ノロウイルスの場合、アルコール消毒はあまり効果がありません。来店客が使うトイレの備品にも、アルコールではなく石けんを置くようにしましょう。
 

◆処理にあたった従業員のケアを

最後に、処理にあたった従業員が感染していないかどうかフォローする必要もあります。潜伏期間の48時間は特に注意してください。感染がわかった場合、陰性になるまで出勤停止にする必要があります。ノロウイルスは感染力が強く、特に嘔吐物には大量のウイルスが含まれています。トイレで嘔吐してしまうこともあるでしょう。その場合の状況をなるべく把握できるようにしておけば、即対応が可能になりますので、従業員にも日頃から意識するよう伝えましょう。
 
トイレの定時清掃・消毒だけでなく、来店客が飲食中に気分が悪くなったら申し出てもらうといった取り組みも、可能であれば行っていきたいものです。
 
*1 「「ノロウイルス対策緊急タスクフォース最終報告書」東京都健康安全研究センター p11-13
*2 「ノロウイルス感染症」日本環境感染学会 p20
 

 

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