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飲食店の火災は増加傾向 消化器設置の助成金を利用しよう

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飲食店の火災が増加傾向にある。これから空気の乾燥する冬場は特に注意したいところだが、飲食店内での火災防止には何に気をつけるべきかを紹介する。また、東京では飲食店が高性能の消化器を導入するにあたっての助成金制度が始まっている。助成金の利用条件や助成額についても紹介したい。
 

飲食店火災件数の推移

飲食店火災の件数は増加傾向にある。東京消防庁の管内では下のようになっている。
 

(出所:「東京の消防白書2022」東京消防庁 p59)
 
令和2年、令和3年はコロナの影響で営業休止あるいは時短営業に協力する店舗が多かったため、火災件数も減少しているとみられる。しかし全体として飲食店の火災件数は増加傾向あるいは高止まりと言える。そして総務省によると、出火原因の圧倒的な1位は「こんろ」つまり厨房であり、約4割を占めている*1。
 
*1 「「飲食店におけるこんろ火災の実態について」総務省消防庁」p1
 

こんろ火災の理由と延焼の程度

では、こんろからの出火は、どのような対処をして火災に至ったのかを見てみよう。全焼、半焼となった火災の約7割が「放置する」などその場を離れたケースである。
 

(出所:「飲食店におけるこんろ火災の実態について」総務省消防庁 p2)
 
かつ、こんろを出火原因とする火災では、消火器などを使った「初期消火」が他の出火に比べると効率的にできていないという現状もある。
 

(出所:「飲食店におけるこんろ火災の実態について」総務省消防庁 p5)
 
よって、厨房には、燃え広がりそのものを防ぐための高い防火機能装置が必要とされる。
 

火災予防条例で定められている設備点検

東京都の場合、実は厨房設備などの維持管理には基準があり、条例で定められている。
 

(出所:「飲食店の厨房設備等に係る火災予防対策ガイドライン 」東京消防庁 p7)
 
グリス除去装置などは清掃を行い、火災予防上支障のないよう維持管理すること、とある。この維持管理を怠っていると油などが付着・堆積して、延焼を一気に引き起こし、初期消火が追いつかなくなってしまう。
 
新築や別業態が入居していた部屋の店ならば厨房設備が新品だが、居抜き物件の場合は汚れが放置されたままの状態という場合がある。先のこんろ火災の実態資料にも記載があるが、比較的小規模の飲食店での発生率が高いとあり、近年一般化している居抜き物件での出店もその要因と言えるだろう。
 

(出所:「飲食店の厨房設備等に係る火災予防対策ガイドライン 」東京消防庁 p2)
 
最初の清掃はもちろんのこと、東京消防庁は天蓋やグリス除去装置など外観から確認できる部分は日常的に、排気ダクト内部など外観から確認が難しい部分は概ね1年ごとに点検する必要があるとしている*2。もちろん店の規模や機器の使用頻度によって異なる。
 
*2 「「飲食店の厨房設備等に係る火災予防対策ガイドライン 」東京消防庁)」p4
 
詳細なチェック項目は火災予防ガイドラインに示されているので*3、チェックしておく必要がある。
 
*3 「「飲食店の厨房設備等に係る火災予防対策ガイドライン 」東京消防庁)」p4-5
 
また、排気ダクトなどの点検は、厨房排気設備の汚染判断、清掃評価判断ができる専門的な知識と技術を兼ね備えた資格者に依頼することができる。有資格者に依頼するとより安心だろう。日本空調システムクリーニング協会のホームページを参照したい*4。
 
*4 「一般社団法人日本空調システムクリーニング協会(JADCA)
 

性能の高い消化器への買い替えには助成金も

また東京都では、中小企業やテナントビルなどのオーナーに対して、消火能力が高い消化器の設置に対して費用を助成する制度が始まった。助成対象と助成額、申請期間は下のようになっている。
 

(出所:「消火能力が高い消火器の設置を助成します」東京都中小企業新興公社)
 
公社が対象にしている消火器は決まっている。助成金についての詳細や申請方法は、東京都中小企業振興公社のホームページに記載されている*5。
 
*5 「「テナントビル等安全対策強化支援事業」東京都中小企業振興公社
 
飲食店での火災は、店の財産を失うだけでなく、来店客にけがを負わせるなど信頼に大きく関わる。常に最大限の備えをしておく必要がある。
 

 

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