選ばれる店になるSNS攻略法 by FOODEDITOR
Withコロナ3年目の夏。以前に増して、飲食店一軒ごとの「あり方」が問われる時代。飲食店の利用客は、「いつ、誰と、どこに、何を食べにいきたいか」の目的をはっきり持ち、そのTPOに合わせてしっかり店を選んでいます。そんな中、「選ばれる店」になるには、どうしたらいいか?
今回は、店舗のPRに欠かせないSNS上での店のブランディングに焦点をあてて考えていきます。進行は、編集責任者の川瀬亮太(ルーテージ株式会社)。
FOODEDITOR YUU(以下Y):私たちの様に、日々食やレストランの仕事をしている二人でも、以前に比べると圧倒的に外食をする頻度が減ったので、普通の人は尚更ですね。仕事のリモート率が増え、ランチですら外食をする必要性がなくなった人も多いです。久しぶりに会う友達とでかける店は、目的がはっきりしていて、安心感のあるお店を選ぶでしょう。
「なんでもいいから適当にどっかに入ろう」というモチベーションではなくなり、たまの外食だから、失敗したくないので、間違えないお店を選ぶクセがついた気がします。一方で、日々の食事の延長線で行く店は、生活圏内の安心な店。店選びが堅実になってきています。
FOODEDITOR TOMOMI(以下T):友人との間で候補をいくつか挙げることも。それぞれの情報を食べログやGoogle+などで掲出されている情報や、インスタなどのSNSを共有して最終決定にいたるのですが、やはり、更新頻度が高いお店の情報は信頼度がありますよね。
客単価やコースの内容はもちろんのこと、どんな季節メニューがあるのか?スタッフの方の接客イメージ、コスパがよいかどうか、おしゃれして行くお店なのか、カジュアルで良いのか?など。特に、コロナ禍で情報も日々変わっているので、更新が止まってしまっていると、それだけで「行こう」という対象からはずれてしまったりもします。
川瀬:わかっていても、中々更新を続けるのが大変なんですよね。ネタ切れも起こしますし。
Y:もちろん、SNSなどWEBの情報に翻弄されたくないというお店もあると思うけど、それでも今の時代の飲食店のPRを考える上で、店側から発信する情報は最低限整えないともったいないと思います。なぜなら、その情報がしっかりしていれば、お店がお休みの時も、スタッフが対応できない時間帯であろうと、関係なく、オンラインツールが勝手に営業活動をしてくれる訳ですから。
T:盲点は、飲食店を運営する上で、日々店の前を通るとか、訪れる、いわゆる「目に見える人たち」の集客ではなくて、まったく知らないヴァーチャル上で行き交うひとたちにどう関心を持ってもらうか。ついつい目に見えないことがおざなりになってしまう。でも、私たちでも、店を選ぶ時、行ったことのないお店ならば尚更、SNSやポータルサイトの評価を一通り見たりします。
川瀬:ですよね。でも、そもそもお店のSNSって何から手をつけたらいいのでしょう。
Y:私たちがSNSの代行などを依頼されたりするとき、必ずお伝えするのは、継続できないなら、やらない方がいいよね、という話。続けるのって本当に大変。努力が必要です。でも、お店の場合は、地道にやれば効果は出てくるので、やらないよりはやった方がいい。ゼロからスタートする場合は、どのSNSがお店のブランディングとして合ってるかを見極めるべき。
40代以上の層がターゲットであれば、facebook発信が効果的かも。きちんと情報を伝えて、反応してくれる、価値のわかる人に発信したり、イベントを作ったりしやすいです。一方で、Instagramは、写真のヴィジュアルで印象付けられるので、料理の美味しさや店の雰囲気を伝えやすい。でも、反面、イメージにそぐわない写真を載せるのは、逆効果。
T:最低限、どのツールがどういうことを目的にしているかを知るべきです。Twitterであれば、営業時間とかメニューとかテキストベースで瞬時にアップできるので、ラーメン店などは運用事例が多いですよね。麺売り切れました、とか。YUUさんもいうように、写真を撮るのが好きでないのに、Instagramを始めてしまっても苦痛になってしまうかもしれません。でも、対照的に若いスタッフが楽しんで、TikTokに動画をのせたことがすごいバズって集客につながることもありますよね。
Y:あと、発信はしているけれど、コミュニケーションがとれていないSNSも多いと思うので、そこは、せっかくフォローをしてくれたり、メッセージをくれたりする人は、潜在顧客としてとらえ、丁寧にコミュニケーションをとっていくべきだと思います。
T:電話での予約はやめて、SNSのDMからの予約のみのお店もありますよね。電話で予約を受けると、そこに人の対応が当然必要になってしまうので、お店によっては、SNSに予約に集約しているのは、正しいと思います。電話ではなくて、テキストベースで、予約日時や希望などが残る方が間違えない。その場合、せっかく関心を持ってくれているお客様のコメントに対応しきれていないと、機会損失になってしまいます。
川瀬:店の仕込みや経理や営業に追われている中での更新ってついついおろそかにしてしまいますよね。見られている意識が低いので。
T:毎日更新するのが理想的だけれど、忙しいと新しい発想が浮かばなくなりますからね。ルールを作るのがいいと思います。週に最低3回更新と決め、更新ネタをファイルにまとめておく。最低3ヶ月分くらいをまとめておいて。自動的に更新できるようにするとラクだと思います。あと、言葉使いのトーンを決めておくとか、写真を撮影した際の加工のアプリなんかもバラバラだと見ているとつらいですね。
Y:何を投稿していいかわからない、という店は、まず、ベンチマークの店を探す。「こんな店だったらいいな」という人気店は、どこなのか?海外の店でも良いと思うんです。ある程度人気もあってSNSのフォロワーが多い店がどんな情報を発信しているのか?マネから入っても良いと思う。「料理」「店内」「食材」「ドリンク」「デザート」など、順番に店のウリのシズルをどう見せているのか?は参考になると思います。
川瀬:SNSのトンマナってむずかしいですね。担当者が変わったら、言葉のトンマナが変わってしまったりとか。
T:そうそう。それ、すごく大事です。投稿するお店のキャラクターを作ってもいいと思うし、ターゲットとなるお客様層になるペルソナであった方がいいとも思います。それによって、フレンドリーにするのか、丁寧な大人な言葉遣いにするのか。
Y:とにかく、発信するお店が、お客様にどれだけ寄り添っているか?それは、やらせや義務ではなく、本当にお客様への愛があるか?って一番大切だと思います。
T:やらされているな、無理があるな、という感じは、お客様も文章を読んだり、写真をみて、感じとってしまいますからね。正直であることは大切ですね。
次回は、私たちが知っているインフレンサーの生の声をお届けします。ハッシュタグのつけ方、そもそもハッシュタグは必要なのか?とか、写真の見せ方、フォロワーの増やし方などをご紹介します。
FOODEDITORとは
どんな時にも変わらない視点は、「おいしい体験を楽しく伝えたい」「魅力あるものをより広く伝えたい」ということ。 印刷物やウェブの編集、イベント企画、フードPRやブランディング…etc. 様々な企画/編集した経験を独自の媒体(イベントやWeb)を通して、 より自由に楽しく発信していく、フードプランニングユニットです。
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