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蔵前で飲食店を開業「古きモノと新しきモノが調和する街」蔵前駅編

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出店するならこの街だ!注目エリアをレスタ編集部が歩いて紹介 vol.25

 
感度の高い個人店が集まり、近年では「東京のブルックリン」とも称される蔵前。
 
浅草や上野といった観光地に隣接しながらも、どこか落ち着いた佇まいを感じさせ、飲食店にとっては“派手さよりも相性”が問われる街です。
 
本記事では、
・蔵前という街の背景
・人の流れや街の空気感
・実際に街を歩いて見えたこと
を軸に、蔵前で飲食店開業を検討する際の判断材料を整理します。
 

蔵前という街の背景

蔵前は台東区の南東部、東京有数の観光エリア浅草と、歴史ある問屋街の浅草橋との間に位置します。浅草駅からも徒歩で15分ほど、浅草橋駅からも10分程度と近接しており、都営浅草線・都営大江戸線の2路線が使え、羽田・成田空港、新宿方面へのアクセスも良好です。
 
なお、この2路線は駅構内では繋がっておらず地上乗換えとなりますが、周囲の雰囲気を感じながら歩いてみるのもよいかもしれません。
 
また昨今のインバウンド需要からか、ゲストハウスも多く、海外からの旅行者も蔵前散策を楽しんでいる様子を目にします。
 
蔵前という地名は、江戸時代に隅田川沿いに幕府の年貢米を収める御米蔵が立ち並んでいたことに由来し、隅田川の水運を利用して全国から米が運ばれてきた交通の要所となっていたようです。
 
問屋街と職人の街として発展してきた蔵前ですが、近年は古いビルや倉庫をリノベーションしたカフェ、雑貨店、ギャラリーなどが増え、独自のカルチャーを形成してきました。
 
観光地の延長線上にありながらも、いわゆる“観光地然”とした喧騒とは遠く、蔵前ならではのテンポで街が流れている印象があります。
 

下町の象徴 隅田川とスカイツリー 昼と夜では表情も変わる
 

実際に蔵前の街を歩いてみる

日本屈指の観光地・浅草から至近の蔵前ですが、浅草の賑わいとは対照的に、どこか空気がゆるやかで、ふっと肩の力が抜けるような空気感を覚える街です。
 
街を歩くと古いビルや倉庫を活かした建物も多く、意図的に作られた「おしゃれ」ではなく、積み重なった時間の経過と新しさがほどよく調和している印象を受けます。
 
一方で、脈々と受け継がれた“ものづくりの街”としての側面も健在で、大小さまざまな問屋や工房などが今も点在しています。新しい店舗と古くからの営み、それらが不思議と違和感なく共存している点が、蔵前の魅力とも言えるでしょう。
 
また蔵前神社や鳥越神社といった由緒ある神社もあり、街の品格を感じられます。
 

いつもは静かな蔵前神社もミモザの季節には多くの人々で賑わう
 

蔵前神社前のカフェ『BARK BAKE&ROAST』神社の緑を眺めながら過ごす至福時間
 

【街歩きレポート①|駅周辺と人の流れ】

蔵前駅は大通りに面したいくつかの出口がありますが、いわゆる「駅前商店街」と呼べるような場所はほとんどありません。
 
駅を出た人々は、各々それぞれの目的地へと歩を進めていく印象です。観光客らしき人、近隣に住んでいそうな人、カフェや雑貨店を目指しているであろう人など、属性はさまざまですが、全体として落ち着いた動線が形成されています。
 
派手な呼び込みも大型看板もほとんどなく、それぞれの「お目当ての店」「お気に入りの店」を目指しながら散策しているような印象です。
 

大江戸線/蔵前駅前 駅を出ると厩橋が見える抜けるような風景
 

蔵前四丁目付近 リノベーションした古いビルにカフェや古書店、雑貨店などが入居し新たな息吹を感じられる
 

国際通り沿い 趣のあるタイガービル
 

【街歩きレポート②|飲食店・カフェの分布】

蔵前の飲食店は、大通り沿いに密集しているというより、路地や裏道に点在しているケースが多く見られます。チェーン店も最低限には存在しますが、街の印象を決定づけているのは、明らかに個人経営の飲食店やカフェと言えるでしょう。
 

チェーン店の分布

まず浅草線の駅近くには『すき家』『マクドナルド』『やよい軒』『日高屋』とチェーン店は少ないながらも、一定数揃っているという印象です。
 

浅草線/蔵前駅周辺のチェーン店
 

こだわり派のラーメン店も!

 

 
ぶためしが名物の『らーめん元楽総本店』や大量の貝を出汁にした貝塩ラーメンが大人気で並び列も絶えない『らーめん改』など、数こそ多くはありませんが、こだわりの一杯でラーメン通を魅了しているのが蔵前ラーメンの現在地と言えるでしょう。
 

ゲストハウス+カフェ

また観光地にほど近い蔵前ならではなのかゲストハウスの1階部分がカフェという店舗も多く見受けられます。
 
隅田川沿い厩橋近くの『Nui.HOSTEL&BAR LOUNGE』は宿泊している海外からのゲストと、食事やお茶を楽しむ人たち、それぞれが思い思いの時間を過ごしていて、旅の非日常と暮らしの日常が交差しエモーショナルな光景が広がっていました。
 

 

『MIA MIA Kuramae』こちらも上階はゲストハウスで1階がカフェという店舗
築120年の米店をリノベーション
現在も精米機が残る店先で居合わせたひとたちが自然と会話が弾むような開放感ある雰囲気
 

カジュアルにお酒を愉しむ場

こうして歩いてみるとやはり圧倒的にカフェが多い蔵前ですが、お酒をたのしめる店も少しずつ増えてきています。
 
蔵前散策の最後に立ち寄りたい軽飲みに最適な立ち飲み店のYELLOは、組み合わせでつくる無農薬のレモンサワーをメインに”酒場のつまみ”も充実。訪れた日曜夕刻は近所に住んでいそうな常連さんや散策ついでに立ち寄ったであろう人々もいたり、ふらりと入店できるラフさが魅力です。
 

ネオンサインが印象的な『YELLO』でレモンサワーを
 

平日の夜散歩にて…見えてきた灯りに吸い込まれた先は、角打ちバーの『野村商店』
 

点在する路地裏ビストロ

観光地に近く利便性の高い蔵前の街ですが、観光動線に寄せすぎない、あくまで街の空気に寄り添った佇まいの店が多い印象です。
 
大通りを一本入ると、隠れ家的なビストロなども目にします。
 

 
街や近隣店舗ともゆるやかにつながりながら、独自の路線で展開している店が多いのではないでしょうか。
 

寝かせ玄米が人気の『YUWAERU蔵前本店』昼は玄米に合うランチ、夜はナチュラルワインや純米酒などと旬の食材の料理をたのしめる
 
静かで落ち着いた夜の蔵前で、じっくりお酒を味わう場があると更に街を楽しめそうですね。
 

【街歩きレポート③|隅田川を越えたエリア】

蔵前というエリアを語る上で、隅田川の存在は大きく、この川沿いという立地がもの作りの街という側面と相まって、東京のブルックリンと呼ばれる所以となっているようです。
 

 
川を渡って墨田区側(本所・東駒形方面)に入ると、街の表情はさらに静かになり、下町らしさが一段と色濃くなります。
 
築年数の経った住宅や工場、倉庫が目立ち、それらをリノベーションした店舗も散見し、「最寄り駅は蔵前だが、住所は墨田区」という店舗も多く、実質的な商圏としては一体で捉えられていることが、街を歩いてみるとよく分かります。
 
この川向こうの静かな環境は、じっくり腰を据えて何かを取り組むのに最適な場ではないでしょうか。そして実験的な試みもこの街では叶えられそうな予感に満ちています。
 

軒先に段ボールが積まれている光景をよく目にするのは、問屋や作業所が多いエリアならでは
 

本所/ 週末のみカフェスペースがオープンする珈琲焙煎所 『Leaves Coffee Roasters 』平日に訪れると珈琲を焙煎する香ばしい香りが漂っていた
 

本所/ 『KAIKA Tokyo by THE SHARE HOTELS』はホテルとアート倉庫、ギャラリー、カフェからなる複合スペース
 

ギャラリースペースは現代アートの展示を楽しめ、併設のカフェ『Safn』では焼菓子やプリンが人気で、休日は並び列も見られる

蔵前で飲食店を開業するということ

蔵前は、人通りの多さや駅前立地だけで勝負する街ではありません。
 
むしろ、
・なぜこの街でやるのか
・どんな人に、どんな時間を提供したいのか
といった点が、そのまま店の評価に直結します。
 
街を歩いて感じるのは、「無理に目立たなくても、合っていれば選ばれる」という、蔵前ならではの価値観です。
 

まとめ|街を歩いてから判断したい蔵前というエリア

蔵前での飲食店開業を考えるなら、
まずは事業計画よりも、
実際に街を歩くことが何より重要です。

 
時間帯を変えて歩く。
曜日を変えて歩く。
川を渡ってみる。
 
そうした体験の積み重ねが、「この街でやりたいかどうか」の答えを、自然と教えてくれるはずです。
 
懐深く街のポテンシャルを感じる蔵前での飲食店開業は、街と向き合いながら店づくりをしたい人にとって、じっくり検討する価値のあるエリアと言えるでしょう。
 
文・大竹理恵
散歩したりアートを観たり、日々のかけらたちを描くこと、また珈琲周辺について思考することが悦び◎
 
編集・飲食店開業応援マガジン[RESTA(レスタ)]編集部
 
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