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フードサービス・ジャーナリスト 千葉哲幸 連載第六弾 さいたまはイタリア物語(前編)

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さいたまは「日本の中でイタリアに一番近い街」

さいたま市には「SAItaly FESTA」(サイタリーフェスタ)」というイベントが存在する。
これは日本ソムリエ協会と日本イタリア協会が主催、日本バーテンダー協会が協力して行っているもので、日本ソムリエ協会会長の田崎真也氏、日本イタリア協会会長の落合務氏をメインゲストとして、首都圏を中心に全国から著名のイタリア料理シェフが結集、さいたま市内を中心としたイタリア料理ファンにイタリア料理とそれとベストマッチするワインを振る舞うというイベントである。この第1回は2009年に開催され、さる6月2日に第10回が開催された。

 

サイタリーフェスタでの落合務氏と田崎真也氏

 

「SAItaly」とは「SAITAMA」と「Italy」をつなげたネーミングだ。
このイベントが生まれた背景には、さいたま市は「日本の中でイタリアに一番近い街」という認識があるからだ(あくまでも、さいたま市民、さいたま市内のイタリア食材・料理関係者の間の話である)。具体的には、日本の県庁所在地の中でさいたま市は「チーズ」「ワイン」「パスタ」の住民1人当たりの消費量が全国1位である(総務省家計調査より。「チーズ」「ワイン」は2008年調査。「パスタ」は2012~2014年における2人以上世帯のスパゲティ購入量が1位)というデータが存在する。

こうして、地元のイタリア料理関連の人々の「イタリア料理ラブ」の象徴となっているイベントがサイタリーフェスタなのである。

 

550人のお客さまがイタリアのワイン・料理を2時間楽しむ

 

サイタリーフェスタの様々な参加者

 

筆者は、この「サイタリーフェスタ2019」に参加した。会場のパレスホテル大宮の大宴会場には550人のお客さまが参集した。これまでさいたま新都心のホテル宴会場を会場にマックス450人で開催してきたが、キャパが不足するようになったという。ここで振る舞われた料理は16種類、ワイン13種類、他に地元の酒蔵がイタリア料理との相性が良いことを自社の日本酒でアピールした。これらで13時から15時までの2時間、「日本の中でイタリアに一番近い街」を表現した。

この日の会場は大変な賑わいであった。著名なシェフ50人によるイタリア料理の食味は素晴らしく、普段なかなか体験することができない上質のイタリアワインを味わうことができた。ひたすら楽しい思いをした。
それにしても、会場のお客様に料理を提供するシェフたちの行動は非常に忙しいながらも手際がよい。プロの仕事だ。裏方であるホテルのオペレーションや開催事務局の運営も大変なことであったと察する。

 

的確な作業のプロ

 

この背景にはここに関わる人たちの高いプライドと結束力があって存在している。私は3年前にこの事実を知り現在も取材を継続している。そこでこれらの原動力となっている活動についてまとめておきたい。

 

さいたまをイタリアの延長として食を発信

サイタリーフェスタを指揮している人物は株式会社ノースコーポレーション代表取締役の北康信氏である。北氏はイタリアワインのソムリエであり、同社ではさいたま市内にイタリア料理店を4店舗展開している。

サイタリーフェスタの第1回が開催されることの発端は以下のようなことだ。
北氏は日本ソムリエ協会の埼玉地区長をしていて、毎年例会セミナーを開催している中で、このように考え、提案した。
「例会セミナーだけで解散というのではなく、イベントも行いたい。では、埼玉で何をやろうかとなったのですが、ソムリエ協会の関東支部の中で私だけがイタリア料理分野であったことから『埼玉では、例会セミナー後にイタリアワインと料理のイベントを行ってもいいですか?』と提案しました」

 

トークショーにて雲丹のパスタ完成

 

「イタリア以外でイタリア料理店の多い国は日本です。そして、さいたま市ではイタリア食材の消費が多いというデータがそろうようになって、20州で構成されているイタリアの21番目の州はさいたま市になるね。さいたま市はイタリア21番目の州と言っていいんじゃないか、ということが語られるようになりました」

さいたま市をイタリアの延長となる食の発信地としてうたっていこうと決めたのが2009年ということだ。この日本ソムリエ協会関東支部のイベントに端を発して、日本中の著名なイタリアンシェフがさいたまのイタリアンに対する新しい試みを注目するようになっていった。

 

(後編)に続きます。

 

千葉哲幸(ちば てつゆき)

フードフォーラム代表 フードサービス・ジャーナリスト

柴田書店『月刊食堂』、商業界『飲食店経営』の編集長を務めた後、2014年7月に独立。フードサービス業界記者歴36年。フードサービス業界の歴史に詳しく最新の動向も追求している。「フードフォーラム」の屋号を掲げて、取材・執筆・書籍プロデュース、セミナー活動を行う。著書に『外食入門』(日本食糧新聞社発行、2017年)。

 

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