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フードサービス・ジャーナリスト 千葉哲幸 連載第十二弾 「日高屋」高い生産性の秘訣 後編

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本稿の前編では「日高屋」の特徴とブレークした沿革について述べた。現在の業績は昨年同月比で100%を割り続けているが、これは一都三県に集中して出店したことによる「店舗飽和」によるものと筆者は考えている。
その同社では新業態としてちゃんぽん専門店の「ちゃんぽん菜ノ宮」(以下、菜ノ宮)を昨年12月にオープンした。場所は、JR大宮駅西口から徒歩15分ほどの国道17号線のロードサイドだ。95%が駅前立地という同社にとっては珍しいことだ。同社ではこの新業態でどのような方向へ向かおうとしているだろうか。
大宮の国道17号線に面した、典型的なロードサイド型店舗
【大宮の国道17号線に面した、典型的なロードサイド型店舗】
 

「働き方改革」によってお客さまが減少した

2020年1月10日付の『日経MJ』の「2020トップに聞く」というコーナーでハイデイ日高の高橋均社長がインタビューに答えていた。
 
「働き方改革によって、ちょい飲み需要が減少して、夜11時以降の入店客数がガクッと減った。ほとんどの店で営業時間を短縮している。都心のオフィス街立地に強かったが、働いた後に立ち寄るサラリーマンの需要が減っている」
売上げが100%を割っている要因はこのように認めており、その対策として消費増税があった10月には、「餃子(6個)」(税込230円)の価格を据え置いてのぞんだ。
「これによって餃子が18年11月と比べて売上が2割近く伸びた。このほか生ビールなどの定番メニュー4品の価格据え置きは客数回復に効果があった」
「菜ノ宮」をオープンしたことに関してはこう答えている。
「得意としてきた駅前立地、低価格、長時間営業のビジネスモデルは転換期を迎えてきている。専門性のある業態を展開していく。昨年のちゃんぽん専門店に続き、今年中に中華そばの専門店と餃子の専門店を開く予定」
 
筆者は早速この専門店路線である「菜ノ宮」を昨年12月下旬と今年の1月下旬に訪ねた。店名の「菜ノ宮」とは、「野菜がたっぷり」ということをアピールしたのだろうが、店名の意味が分かりにくい。しかしここで「日高屋」を名のるとお客さまにとっては新鮮味に欠けることであろう。
 

「人材不足」時代を生き抜く効率を求める施策

店頭にあるアルバイトの募集告知で「日高屋」のグループ店舗であることが分かった。上に大きく「Web募集!」とあり、「日高屋バイト 検索」で気付いた。それにしても「オープン時給手当300円UP」というのは高額だ。
11時~22時の勤務時間で「高校生」「一般」ともに通常1020円~がオープン手当付きで「1320円~」となっている。深夜(22時~翌1時)に至っては通常1275円~に対して「1575円~」となっている。今日人材集めにはこれほどの時給が必要ということだ。
 
店内は木材をイメージした薄い茶色が基調色となっていて、席は整然と配列されていて各テーブルに1つずつタブレットの端末が置かれている。筆者は少し酩酊していて、従業員を呼んでオーダーしようとしたら「タブレットでお願いします」と言われた。
オーダーはすべてタブレットで行う
【オーダーはすべてタブレットで行う】
 
ちゃんぽんのメニューは「とんこつちゃんぽん」660円(税込、以下同)、「味噌ちゃんぽん」690円、「醤油ちゃんぽん」690円、「ピリ辛とんこつちゃんぽん」730円。ほかに「皿うどん」790円、「餃子(5個)」200円、「ミニ丼(昆布生姜)」155円、定食として「ニラレバ炒め」定食780円、単品500円、「唐揚げ」定食810円、530円等々。「餃子」の〝200円″は定番としての訴求効果は高いだろう。
ちゃんぽんは「とんこつちゃんぽん」と「ピリ辛とんこつちゃんぽん」を食べた。スープはクリーミーさが抑えられてすっきりしている。具材のイカ、エビ、アオヤギなどがバリエーションを豊かにして「健康的な日常外食」を実感させる。
ちゃんぽんの具材はシーフードが豊富
【ちゃんぽんの具材はシーフードが豊富】
 
これからハイデイ日高屋が挑む新立地開拓と新業態開発は同社に大きなメリットをもたらすと予想する。同社のホームページによると、現状約450店舗であるが「600店舗構想」を掲げている。しかも立地は現状のエリアのままのようだ。
多業態を擁することによって、既存店の業績によっては「日高屋」ではない新しいブランドに切り替えることもできる。「菜ノ宮」のようにロードサイド立地を開拓することは、一都三県での「面」展開を充実させるものだ。これによって、「面」の店舗によって人材の交流も活発になっていくであろう。
タブレットオーダーにこだわることは時代の趨勢であろうが、ドミナントを充実させてそのメリットを享受することは実績の積み重ねが必要になる。これは一都三県にこだわってきた「日高屋」が最も得意とするところだ。
整然と並んだタブレットが「未来型店舗」をイメージさせる
【整然と並んだタブレットが「未来型店舗」をイメージさせる】
 
ハイデイ日高の「専門店展開」は、同社の新しいステージとして注目したい。
 
 

 
千葉哲幸(ちば てつゆき)

フードフォーラム代表 フードサービス・ジャーナリスト

柴田書店『月刊食堂』、商業界『飲食店経営』の編集長を務めた後、2014年7月に独立。フードサービス業界記者歴36年。フードサービス業界の歴史に詳しく最新の動向も追求している。「フードフォーラム」の屋号を掲げて、取材・執筆・書籍プロデュース、セミナー活動を行う。著書に『外食入門』(日本食糧新聞社発行、2017年)。
 

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