開業ノウハウ

飲食店開業の際に知っておきたい、外国人採用の方法

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外国人材登用のためにも、しっかりとした企業体制が必要

コロナ期間を経て、飲食店で働く人材は不足し続けています。その上、少子高齢化の日本にとって、この先の人材確保はなかなか厳しい現実です。そんな中、打開策のひとつとして、外国人の登用があります。飲食店の正社員として雇用する特定技能1号の制度がはじまったのが、2019年。
 
その2019年から特定技能1号制度を利用して、飲食店や食品工場やホテルへ人材を紹介しているのが、株式会社JAM のHRM 事業本部です。今回、就業支援コーディネーターを務める、秋山友里さん(写真右)と林悠加さん(写真左)にお話しを伺います。進行は、飲食店の経営も手がける、編集責任者の川瀬亮太(ルーテージ株式会社)。
 
―本日はよろしくお願いいたします。まずは、御社が外国人就業支援に携わるきっかけを教えていただけますか。

秋山さん:弊社では、もともと飲食チェーン店様をメインに店舗メンテナンスや改装・解体などの業務を30年間おこなっています。そのお付き合いの中で、人材不足で困っているというお話を伺っていました。そんな折、飲食店業務に対応した特定技能1号という制度が2019年から始まるということで部門を設立した次第です。
 
―そうなんですね。すでに300名以上の人材を支援されたとのこと。取引先は大手チェーン店様が中心かと思いますが、中小企業様のお付き合いもあるのでしょうか。
林さん:はい、運営が5店舗ほどの企業様でもご利用いただいております。しかし、給与、社会保険・福利厚生はしっかりと整えていることが前提です。外国人採用をする上で、入管の審査が企業側に入るのですが、過去2年間はさかのぼってすべてチェックをされます。採用するタイミングになって、急に整えるような企業では雇用の許可が下りづらいということです。
 
― やはり、働く環境を開業時より整えておくことが大事ですね。あくまでも参考でよいのですが、求人条件として必要な事項を教えていただけますか?
秋山さん: 給与は月給25、26万円支給がベースとして必要です。やはり、本人たちは母国へ仕送りをすることも念頭においていますし、しっかりと最低賃金等も把握しています。社会保険の完備はもちろんですが、会社の借り上げの社宅や、家具、家電のサポートなど住宅にまつわる福利厚生は魅力的に映りますね。賃貸契約をする上で、外国人というだけでハードルが高くなりますし、初期費用も掛かりますので。
 
―なるほど。確かに住宅面のサポートはありがたいですよね。ほかに求職者が重要にしていることはなんでしょう。
林さん:先ほどもでましたが、やはり給与額は最重要です。異国の地で働く理由のひとつに家族への仕送りがあります。そのため、同じような業務であれば1円でも高い求人を探しますし、長時間勤務希望の人材も多いです。その上で残業代がつく企業やボーナス支給についての箇所もきちんとチェックをしています。
 
―ありがとうございます。では、御社のサポートの流れを教えていただけますか。

 
秋山さん:はい、まずは企業様より求人情報をいただき、求人票を作成します。そして、弊社のコミュニティに情報共有し、人材を募ります。エントリーがあった際には、まず弊社コーディネーターが面談をします。志望動機の確認や、在留カードの所持、日本語レベルのチェックをしたうえで、企業側とのマッチングを行います。面接はオンラインの場合もありますし、直接店舗へ伺う場合もあります。お互いの意思確認がとれた上で採用となります。雇用は企業と求職者の直接契約です。
 
―面接の際に、企業の方が重要視している点はどこでしょうか。

 
秋山さん:基本的には日本の方の面接と同じだとは思います。誠実さや仕事に対するモチベーションの高さ、最後に日本語のコミュニケーション能力のチェックといったところでしょうか。
 
林さん:でも、実際にすごく能力が高い人材は多いんです。そもそも、日本語という言語を習得して、異国の地で働くという意思をもって来日しているわけですから。そして、母国への仕送りも念頭において、仕事をするんです。働くということにおいては、日本の同年代の方よりもしっかりしている印象もありますね。
 
―採用するまでの費用はなにかかかるのでしょうか。
秋山さん:いえ、採用にいたるまでは一切費用はかかりません。内定受諾後に企業様に、ビザ申請代等の初期費用をご請求させていただく、完全成功報酬です。加えて、ご委託いただきましたら、その後も特定技能1号に必要な支援も行わせていただく流れとなります。
 
林さん:このサポートは、人材のサポートももちろんですが、特定技能制度がとても複雑で、法律の更新なども随時行われているんです。外国人の方が支払った年金についても様々な規定があるんですね。企業様がその法律を追いかけていくことがとても大変なので、弊社でサポートをさせていただくという仕組みになります。もちろん、サポートが必要なく社内法務部や、自社弁護士や行政書士の方などが対応する会社様もございます。
 
―無事に入社に至ったあとにおきる問題点があったら教えてください。

 
秋山さん:入社後に、求人情報に記載のあった内容が変わって不信感をもつということがあります。それが、社内規定の変更などが起きた際に、トータルでみたら給与も変わっていないし、実は条件がよくなっていても、やはり外国の方は「騙されているのではないか?」という疑念を持ちます。なので、後だしの条件変更などは絶対にNGですね。実際に、それを理由に転職したいという気持ちを打ち明けてきた方もいらっしゃいます。
 
林さん:あとは、休暇申請については、はじめに決めておいたほうがいいですね。母国へ帰国する際に、いきなりの長期間の希望や、チケットを購入後に急に申請をするなどして、問題にあがったりもしました。
 
―なるほど。たしかに注意しておきたい点ですね。45社以上の会社様へご紹介をされているとのことですが、企業さまの声などをお聞かせください。
秋山さん:お取引様としては、仕事熱心で思っていた以上に良かったというお声が9割です。中には、入社後に3ヶ月ほどで店長に昇格して、ワンオペのお店の運営を任されたりする方もいらっしゃいます。基本的には、真面目に働く方が多いので、やりがいも生まれてきてどんどん仕事が楽しくなっていくんだと思います。
 

 
林さん:たまに、次の日からいなくなるような辞め方をする日本の方っていますよね?でも、特定技能の人材が失踪した場合は、雇用側は入管へ失踪届けを出す必要があります。失踪の理由によっては、今後日本への入国を許可されなくなる可能性もあります。そのため、日本の方よりも課されている縛りもあるので、責任感もあると思っています。1,2か月でやめる方はほとんどいません。さらに、弊社では一定期間の返金規定を設けておりますので、企業様側へのリスクも大きくないと思います。
 
―これからの飲食店において、外国の方の労働力という部分は本当に必要だと思っているので、参考になるお話をありがとうございました。
秋山さん:もし、少しでも特定技能外国人の採用にご関心をもっていただいた方がいらっしゃいましたら、弊社のホームページのお問い合わせフォームからアクセスしていただければと思います。
 
林さん:採用にいたるまでは費用もかかりませんので、ぜひお気軽にお問合せください!
 
株式会社JAM  https://www.jam-web.co.jp/
お問い合わせフォーム https://www.jam-web.co.jp/contact/
 

 

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