小さい飲食店を開業するには?必要な準備や経営を成功させるポイントを解説
飲食店経営をしたいと考えている人のなかには、規模が小さい店舗で開業したいと検討している人もいるでしょう。小さい飲食店の開業には、さまざまなメリットがありますがデメリットもあります。この記事では、小さい飲食店を開業するメリット・デメリット、開業までの手順や経営を成功させるポイントなどを解説します。ぜひ参考にしてください。
目次
◆そもそも小さい飲食店とはどのようなもの?
小さい飲食店とはその名のとおり、敷地面積が狭く席数が少ない飲食店のことです。人によって感覚は異なりますが、一般的には座席数が10席以下、面積が10坪程度のお店を指します。カフェやバー、ラーメン店などの開業に向いています。店舗を持たずに、キッチンカーや移動販売などの形態で開業することも可能です。
◆小さい飲食店の需要
小さい飲食店を開業するにあたり、ニーズがあるのか気になる人も多いでしょう。大規模感染症の影響もあり、近年ではデリバリーやテイクアウト専門店などのように、比較的規模の小さいお店のニーズも増加傾向にあります。消費者のニーズや世の中の流れなどをキャッチすることで、経営がうまくいく可能性は十分にあるといえます。
◆小さい飲食店の開業資金の目安
日本政策金融公庫総合研究所が行った「2022年度新規開業実態調査」によると、開業資金の平均は1,077万円となっています。小さい飲食店の場合には、立地やお店の規模、内装などによって開業資金は変動しますが、1,000万円程度を目安にして準備しておくとよいでしょう。
また、物件の取得費や工事費などの初期費用だけでなく、経営するにあたって家賃や水道光熱費、人件費などの運転資金も必要になります。運転資金は6か月分程度用意しておくと安心です。
参考:「2022年度新規開業実態調査」日本政策金融公庫
関連記事:飲食店開業にかかる資金とは 「当初の計算よりお金がかかった!」
◆小さい飲食店を開業するメリット
小さい飲食店の開業にはどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、3つのメリットを解説します。
◇開業資金・ランニングコストを抑えられる
小さい飲食店の場合には、開業にかかる資金を抑えて開業することができます。小さい飲食店は物件の規模が小さいため、物件取得費や内装工事費などの開業費用を抑えることができます。また、ランニングコストが抑えられる点もメリットです。家賃や光熱費なども規模の大きな飲食店よりは抑えられるため、運転資金を抑えながら経営できます。
◇リピート客が生まれやすい
小さい飲食店の場合、顧客との距離が自然と近くなります。顧客と自然な形でコミュニケーションが取れるため、信頼関係を構築しやすくなり、お店やスタッフに愛着を持ってもらいやすくなるでしょう。結果として、「また来たい」と思ってもらえる可能性が高まり、リピート客が生まれるなど安定した売上につながります。
◇差別化を意識したお店づくりがしやすい
他店舗との競争に勝つには、差別化を意識することが重要です。小さい店舗なら、経営者の思いどおりの店にしやすく、差別化を意識したお店作りがしやすいでしょう。たとえば、DIYでオリジナルの内装を施すことも可能です。ただし、DIYはほとんどの物件で事前承諾が必要です。あらかじめDIY可能か確認し、事前承諾を取っておくようにしましょう。
◆小さい飲食店を開業するデメリット
小さい飲食店を開業する際にはデメリットを把握しておくことも重要です。ここでは、3つのデメリットを解説します。
◇大きな売上は期待できない
飲食店の売上は、お店の広さや席数などが大きく影響します。小さな飲食店の場合には席数が少なく規模が小さいため、売上の最大値は下がってしまう点は大きなデメリットです。飲食店は単価が低いケースが多いため、大きな売上は期待できないでしょう。回転数を上げる、稼働率を上げるなどの工夫が必要になります。
◇食材の仕入れにかかる費用が高くなる
小さい飲食店の場合には、食材の仕入れにかかる費用が高くなりがちです。規模の大きな飲食店は一度に大量の仕入を行うことができるため、原価を安く抑えやすいという特徴があります。しかし、小さい飲食店では大量仕入れができません。大量仕入れによる割引などが期待できないため、仕入れ原価が高くなりコストがかかりやすいというデメリットがあります。
◇病気や怪我をした場合営業できないケースがある
小さい飲食店では、1人もしくは少人数でお店を営業することになります。人件費を抑えやすいというメリットもありますが、スタッフが急病やケガで勤務できない場合には人手が足りずに、休業しなければいけないケースもあるでしょう。急な欠勤が出た場合に備えて、何らかの対策を練っておくことも大切です。
◆小さい飲食店を開業するための流れと必要な準備
小さい飲食店を開業する際には、どのような準備が必要なのでしょうか。ここでは、開業の流れと必要な準備について解説します。
◇1.コンセプト・事業計画を決定する
まずは、お店のコンセプト設計を行いましょう。お店のコンセプトは集客に大きな影響を及ぼします。そのため、どのようなコンセプトにするか、ターゲットとなる客層、どのようなメニューやサービスを提供するかなどを検討しましょう。また、金融機関から借入する場合には、事業計画も作成する必要があります。
◇2.物件を探す
コンセプトが固まったら、物件を探します。立地やエリア、広さなどの条件をある程度決めておき、条件に合った物件を選びましょう。後述しますが、開業資金を抑えるのなら居抜き物件も選択肢の1つです。また、物件を探す際には内装工事を依頼する業者に同行してもらうことで、希望する内装工事ができるか判断できます。
◇3.資金を調達する
飲食店を開業するには資金が必要です。自己資金ですべて賄うのは難しいため、一般的には借入をするケースが多いでしょう。金融機関や日本政策金融公庫などから借入をします。その他にも、親族から借入する方法もあります。自己資金がある場合には、無理のない範囲で開業資金に回すことでスムーズな開業が可能です。
◇4.資格の取得・届出申請を行う
飲食店を開業するには、資格が必要です。最低限必要な資格としては、食品衛生責任者や防火管理者などが挙げられるでしょう。食品衛生責任者は最低でも1名置かなければいけないため、あらかじめ資格を取得しておくと安心です。スタッフを雇う場合には社会保険の手続きが必要です。また、個人事業の開業届などの届出申請も行いましょう。
関連記事:
飲食店経営には資格が必要?取得の方法と手続きについて解説
食品衛生責任者の資格を取るには?費用や試験、申し込み方法について解説します
飲食店開業における防火管理者について知ろう!必要な場合は?資格の取得方法は?
◇5.店舗工事・備品の購入
店舗の内外装工事や備品の購入を行いましょう。施工会社を決める際には、いくつかの会社で見積もりを取って比較検討することがポイントです。備品については購入ではなくリースを検討するのも1つの方法です。並行してメニューの開発なども行い、必要な準備がすべて整ったら開業します。
◆小さい飲食店の開業・経営を成功させるためのポイント
小さい飲食店の開業・経営を成功させるには、4つのポイントを意識しましょう。ここでは、各ポイントを解説します。
◇居抜き物件を探して開業資金を抑える
前述しましたが、物件探しの際には居抜き物件を検討すると初期費用を抑えられます。居抜き物件とはすでに店舗の内装ができあがっている物件のことです。内装を1から作る必要がないため、内装費用が大幅に抑えられます。また、開業までにかかる期間も短縮できます。
居抜き物件を探す場合には、「居抜き市場」がおすすめです。居抜き市場は居抜き物件の仲介を行っています。会員登録するだけで未公開情報の入手が可能となっているため、条件のよい居抜き物件を探しやすくなっています。効率的に物件探しができるため、スムーズな飲食店の開業にも役立つでしょう。
◇魅力的なコンセプトを設計する
小さな飲食店の開業・経営を成功させたいのなら、他店と差別化できる魅力的なコンセプト設計が欠かせません。何を提供したいのか、どのようなサービスを提供するか、ターゲット層はどこかなどを明確にしてコンセプトを設計します。そうすることで、どのようなお店で何を提供しているのかが顧客に伝わり、来店してもらいやすくなります。
たとえば、ラーメン店ならこの店にしかないオリジナルのコンセプトを打ち出す、独自のメニューを考えるなどです。コンセプトを決定したら、コンセプトに沿った営業をすることも重要です。
関連記事:目指せ!繁盛店!「どんなお店にしたいか、何をどう売るのか」飲食店のコンセプトの決め方とは
◇適切なマーケティング施策を実施する
安定的な売上を確保し、さらに売上を向上させるには集客施策は欠かせません。現在ではインターネットやスマートフォンが広く普及しているため、LINEやSNSでの発信、ホームページなどのWebを活用した集客が当たり前になっています。そのため、Webを活用した情報発信は積極的に行いましょう。
また、現金だけでなくクレジットカードや電子マネーなど複数の決済方法に対応するといった工夫も必要です。さまざまなマーケティング戦略を立てて実行し、集客率アップを目指します。
関連記事:最低限おさえておくべきSNSの基本
◇単価を上げる
小さい飲食店は客席が少ないため、確実に利益を確保するためには単価を上げることも大切です。単価を上げることで顧客離れが起こる可能性もあります。顧客離れを防ぐためには、価格に見合ったメニューやサービスを提供する、質の高い接客を心がける、付加価値を提供するなど工夫しましょう。
価格に見合った価値があると思ってもらえれば、リピーターの獲得につながる可能性があります。結果として安定的な売上の確保が見込めるため、メニューやサービスの質を上げることと単価を上げることはセットで行います。
◆まとめ
小さい飲食店は、開業資金やランニングコストを抑えながら飲食店を開業できます。リピート客を確保しやすい、他店との差別化がしやすいなどのメリットがあります。ただし、デメリットもあるためメリットとデメリットをよく比較して検討しましょう。開業資金を抑えたい場合には、居抜き物件を探すのも効果的です。
レスタンダード株式会社は、「居抜き市場」を運営する店舗専門の不動産業者です。飲食店の出退店に関して熟知しており、開業のノウハウや飲食店経営に役立つ情報を発信しています。小さい飲食店の開業をお考えなら、お気軽にご利用ください。
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