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飲食店営業許可申請に必要な貯水槽水道方式の場合の水質検査成績書とは?

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保健所に飲食店営業許可を申請する際に必要な書類の1つとして水質検査成績書の提出が求められることがあります。もし、提出する必要があるにもかかわらず提出することができなかったとしたら、許可がおりないので、飲食店を営業することはできません。水質検査成績書は重要な書類の1つです。ここでは水質検査成績書とは何なのか、そして、どのような場合に提出が必要となり、どこから入手すればよいのかなど水質検査成績書のあれこれについて説明をしていきます。
 


 

◆水質検査成績書とは何か?

水道法に基づく水質基準については「水質基準に関する省令」で規定されており、水道水はこの基準に適合したものでなければなりません。私たちが普段、口にしている飲料水は、徹底した水質管理により、安心・安全に利用できるようになっています。ただし、これは水道管から直結したものに限ります。一方で、水道管から直結していない水の場合、飲料水として適しているのかはわかりません。そこで、水道法に規定する検査機関がその水が適正であるかどうかを検査することになります。ここでの検査した結果の書面が「水質検査成績書」と呼ばれるものです。
 
参考:水質基準に関する省令 – e-Gov法令検索
 

◆水質検査成績書の提出が必要となる場合は?

5階建てなど大型の建物では安定的に水を届けるために貯水槽が設置されていることがあります。屋上などにタンクが設置されているのを見たことがある人はいるかと思います。貯水槽とは、水道の本管から届く水を一旦溜めておくための設備になります。多くは、受水槽に一旦水を溜めてからポンプで圧力をかけて屋上などに設置されている水槽まで汲み上げてから自然流下により給水する方式で各テナントや居住者に供給するのが一般的です。これらを総称して貯水槽水道方式と呼びます。貯水槽水道方式の長所としては、事故や災害時など貯水槽内に残っている水が使用できることが挙げられます。留意点としては、貯水槽の定期的な点検や清掃などの維持管理が適正に行われていることが必要となります。このような点から、飲食店が貯水槽水道方式の水を使用する場合、飲料水として適しているかどうかわからないので、水質検査をして問題がないかを確認する必要があり、飲食店営業許可の申請の際に水質検査成績書の提出が求められることになります。なお、水道法によって供給されている直結給水方式の水道の場合は水質基準に適合している水なので飲食店営業許可の申請に際し水質検査成績書の提出が求められることはありません。
 

◆簡易専用水道の場合、水質検査成績書の提出は必要か?

簡易専用水道とは、貯水槽水道方式のうち、受水槽の有効容量の合計が10m3を超える施設のことをいいます。この簡易専用水道の場合は、水質検査成績書の提出の必要はありません。なお、簡易専用水道は、設置者に対して、安全で安心な水を利用者に供給するために、受水槽の掃除を毎年1回以上定期的に行うことや、受水槽が有害物、汚水等によって水が汚染されるのを防止するために必要な措置を講ずることなど施設の適切な管理を行うことを水道法にて義務付けています。
 

◆貯水槽水道方式(タンク水)の場合の検査項目

貯水槽水道方式の場合の水質検査項目および水道法水質基準は以下のとおりとなります。1つでも基準をオーバーした場合は、安全、安心な飲料水ではないということになるので、改善が確認できるまで飲食店営業をすることができないと考えてください。
 
1.一般細菌
1mlの検水で形成される集落数が100以下であること。
2.大腸菌
検出されないこと。
3.亜硝酸態窒素
0.04mg/L以下であること。
4.硝酸態窒素および亜硝酸態窒素
10mg/L以下であること。
5.塩化物イオン
200mg/L以下であること。
6.有機物(全有機炭素(TOC)の量)
3mg/L以下であること。
7.pH値
5.8以上8.6以下であること。
8.味
異常ではないこと。
9.臭気
異常ではないこと。
10.色度
5度以下であること。
11.濁度
2度以下であること。
 
※自治体の基準、配管の古い建物や貯水槽のタンク容量の大きさなどによって上記と検査項目が異なる場合があります。店舗の所在地を管轄する保健所にて詳細を確認できます。
※井戸水の場合について、貯水槽水道方式と同様に水質検査が必要となりますが、検査項目は上記と異なります。なお、飲食店が井戸水を使用するケースはほぼないと考えられるのでここでは割愛します。
 

◆水質検査成績書はどこに依頼して入手するのか。

水質検査成績書は建物の賃貸人または建物を管理する不動産会社に直接問い合わせをして入手してください。ここで注意が必要な点は検査をしてから1年以内の水質検査成績書でなければいけないので、1年を超える水質検査成績書の場合は、再度、検査を依頼してください(1年を超えたものは受理されません。)。なお、水質検査は年1回以上行い、水質検査成績書を保管しておく義務があります。また、自ら検査を依頼することもできます。その際は、厚生労働大臣の登録を受けている検査機関に依頼しなければなりません。東京都であれば、一般社団法人東京都食品衛生協会東京食品技術研究所がおすすめの機関です。依頼をしてから約1週間程度で水質検査成績書を受け取ることができます。
 
参考:水質検査機関-厚生労働省(令和5年1月1日現在、205機関)
 

◆飲食店営業許可申請の流れと水質検査成績書提出のタイミング

飲食店営業許可申請をしてから許可を受けるまでの流れと水質検査成績書提出のタイミングは以下のとおりとなります。
 
1.保健所に事前相談をします。
各自治体が規定する施設の基準に合致している必要があるので、事前に内装工事着工前に図面(平面図)等を持参の上、店舗の所在地を管轄する保健所に相談してください。また、あらかじめ賃借する物件が直結水道方式なのか貯水槽水道方式なのか確認をして貯水槽水道方式の場合は水質検査成績書を取り寄せておいてください。
2.申請書類を提出します。
この時に水質検査成績書の写しを提出します。
3.施設検査の打ち合わせをします。
飲食店営業許可申請の際に保健所の担当者と施設の確認検査の日程等について打ち合わせをします。
4.施設の確認検査を行います。
施設検査の際は、営業者本人(法人の場合であれば社員など)が立ち会うことになります。ここでは、各自治体の施設の基準に合致しているかを確認していきます。施設基準に適合している場合は、「営業許可書交付予定日のお知らせ」がその場で渡されます。施設基準に適合していない場合は、指摘事項を改善して、再度検査を受けることになります。
5.営業許可書の交付を受けます。
確認検査時に渡された「営業許可書交付予定日のお知らせ」を持参して保健所の窓口にて営業許可書の交付を受けてください。
 
飲食店営業許可の更新申請する場合は、1年以内に行った水質検査成績書を改めて保健所に提出する必要があります。
 
関連記事:飲食店の開業には保健所の営業許可が必要!営業許可をとるための要件や手続きの流れをご紹介
 
参考:貯水槽水道に関するQ&A|くらしと水道 – 東京都水道局

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