緊急事態宣言、19都道府県で延長 飲食店の実情と今後の見通しは
政府は9日、東京や大阪などの19都道府県について、緊急事態宣言を今月30日まで延長することを決定した。また、一部地域についてまん延防止等重点措置に移行させるほか、12県の重点措置を解除する。
一部地域の飲食店では飲食店の酒類提供時間を一定の要件のもとで緩和する。
緊急事態宣言延長の都道府県と酒類提供の緩和
緊急事態宣言の延長、まん延防止等重点措置へ移行、重点措置が解除される都道府県は以下のようになっている。
・緊急事態宣言の延長(9月30日まで):北海道、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、岐阜、静岡、愛知、三重、滋賀、京都、大阪、兵庫、広島、福岡、沖縄
・宣言からまん延防止等重点措置へ移行:宮城、岡山
・まん延等防止重点措置:福島、石川、香川、熊本、宮崎、鹿児島
・まん延等防止重点措置の解除:富山、山梨、愛媛、高知、佐賀、長崎
また、飲食店については、まん延防止等重点措置の適用地域では知事の判断により、自治体から感染症対策の認証を受けるなどの要件を満たした飲食店で午後7時半まで酒類の提供ができるとした。営業時間についても、地域の感染者数の状況によっては午後9時までの営業も許可する方針で、10月にも実証実験を実施する。
目立つ資金繰り悪化、時短要請離反も
とはいえ現実的には、すでに瀬戸際に来ている飲食店も多い。
日経新聞が日本リスク・データ・バンク(RDB)の協力を得て約2万社の銀行口座取引情報からの資金の流れを調査したところ、今年1月の時点で、支出超過飲食・宿泊業の約6割が支出超過の状態にある*1。
特に宣言が長引く地域では見通しはさらに不透明で、時短要請に応じない飲食店が増えている。
日経新聞が8月下旬に東京都内の主要繁華街(新宿・渋谷・池袋・新橋・上野)で合わせて500店舗を調査したところ、そのうちの57%にあたる285店舗が午後8時移行も営業、その大半が酒類を提供していたという*2。
なお、東京都は時短営業の要請に応じる飲食店への協力金を、一部先渡しで支給すると発表している*3。
ワクチン接種でどこまで日常生活はどこまで回復するか
一方で政府は、ワクチン接種の進捗状況などを踏まえた行動制限緩和の基本方針を作成している。希望者へのワクチン接種完了を11月ごろと想定しており、ワクチン2回接種済み、あるいは陰性の証明があれば、緊急事態宣言下でも都道府県をまたぐ移動や大規模イベントの開催を認めるとしている。
飲食店についても、ワクチン接種証明や陰性証明、第三者の認証制度を組み合わせることで宣言地域での時短営業や酒類提供について制限を緩和する方針だ。
ただ、新たな変異株の出現やワクチン接種による「気の緩み」を懸念する声もある。政府は医療体制の確保が危ぶまれる事態になれば再びの行動制限を取る可能性もあるとしており、飲食店経営にあたっても、いぜん慎重な姿勢が望まれる。
*1「飲食・宿泊、6割が支出超過 コロナ禍で資金繰り悪化」日本経済新聞 2021年3月29日
*2「飲食店6割 時短応じず」日本経済新聞 2021年9月5日
*3「飲食店等を対象『営業時間短縮等に係る感染拡大防止協力金(9月1日~9月30日実施分)』早期支給分の実施概要をお知らせします!」東京都
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