繁盛店への道

どんな業態でも、店の「入り口(エントランス)対応」と「笑顔」が大切!

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接客コンサルタント井崎 正吾が語るこれからの飲食店サービス VOL.1 後編

 
▷前編はこちらから https://inuki-ichiba.jp/resta/inshokuten-service-1-1/
 

どんな業態でも、店の「入り口(エントランス)対応」と「笑顔」が大切

まず、業態の違いを問わず、接客での印象を良いものにするのであれば、力を入れるべきは「エントランスでのウェルカム感(お店側が温かく向かい入れている態度や雰囲気)」。そして、「笑顔での対応」です。
 
これは、大手覆面調査会社のデータによるところです。この会社は、業界出身の方々が、調査の為だけに利用するのではなく、一般のお客様が、自分が利用したい店を選び、その店を利用した際に、事前に伝えられたチェック項目に則して感想をフィードバックするデータを用いています。
 
このように「生きたお客様の声」といえるものを基にしていることと、チェックの回数も複数回、チェックした人物が同一でないという幾つかの点で信憑性の高いデータであるといえます。
 

エントランスの印象により、その後の居心地も変わる

カフェ、居酒屋、カウンターでの対面販売を行う業態でも、まずは店に入った、もしくは入ろうとした時、一番に出会ったスタッフの印象がよかった場合、その後のオーダーテイクや、料理の提供時などに対しても悪い評価をしていない利用者が多いそうです。逆に入り口での印象が悪かった場合は、その後もいろいろな対応に不満を感じているケースが多い、という報告(2021年6月現在)があります。
 
これは、全体的に接客に力を入れている所は、当然入り口での対応もちゃんとしている、
またその逆もありき、ということでもあろうかと思いますが、入り口の印象が、その後の「居心地」に大きく作用していることは間違いないと、私の経験値からも感じます。
 
現に私のクライアントのお店でも、エントランス対応に力を入れた途端に、覆面調査の評価が高くなったケースが実際にありました。勿論エントランスのスタッフが好感触でも、差がありすぎる感じの悪さを、同じ店舗のスタッフに感じたら、利用者は残念という感情をもつこともあるでしょう。
 
また、呼び込みが上手く、入店したら後は知らない、帰りに挨拶もしない、という入り口での勧誘は逆効果になることもあります。また、ウォークイン(予約をせずに当日お越しになる)のお客様は、入り口でスタッフが気づいてくれない、目が合ったのに無視された、というウェルカム感の欠如を感じると、まずその店への入店を止め、別の店に向かってしまうケースが多々ありますし、時にクレーム(苦情)に発展するケースもあります。
 

「笑顔」の接客がもたらすその先の可能性

そして、「笑顔」での対応についてですが、時折、同業者の中でも「笑顔」よりもしっかりやることをやってくれること(お客様の要望に応える)のほうが大切、という方もいます。一理あると思いますが、多くのお客様は、大それた要望をさほどされません。
 
基本的な期待に応えるための接客であれば、やはり常に笑顔で行うべきであると考えます。実際には、接客に不慣れなスタッフでも、一生懸命さや感じの良さが笑顔から感じられれば、多少のミスなど見過ごしてくれる方のほうが多いのではないでしょうか(勿論それに甘えることはいけませんが)。
 
“常に笑顔で接客ができる”ということは、“接客は笑顔で行うべき” という基本が正しく教育されている証でもありますし、その場の状況判断がしっかりとできていて、気持ちにゆとりがあり、先読みができる体制が整っている状態であるともいえます。
 
また、飲食企業の労働条件については様々ですが、スタッフの笑顔が多いということは職場環境が良い(就労条件、スタッフ間のコミュニケーションの良さ)という裏付けでもあると思います。
 
時に、レストランを使い慣れたお客様や、外国人ゲスト(勿論個人差はあります)は、多少難易度の高い要望をされることもあります。しかし、その要望に応えることでより好印象として記憶に残り、丁寧にお礼の手紙やEメールを経営会社の本部へ送ってくださるケースに発展する場合があります。それは、特に「嫌な顔ひとつせず、笑顔で対応してくれた」というケースです。
 
通常であれば、お褒めのご連絡よりも苦情のほうが多いことが一般的ですが、私はこのような感謝のご連絡を幾度となく目にしてきました。聞けば当然のことと思われるかもしれませんが、少々難解な問題でも「快く笑顔で対応する」ということは、このお店にとっての未来につながる大切なことなのです。
 
その為のホスピタリティマインドの教育指導、そして「ここまでは確認なく対応してよい」というイレギュラー対応のルールやスタンダードを決めておくことは、業態関係なく、行って損はないと思います。というより、是非行って頂きたいと切に願います。
 
 

井崎 正吾 経歴

1994年 パークハイアット東京「New York Grill&Bar」開業メンバーとして、サービスに従事する。その後、飲食企業の立ち上げ、営業本部長、代表取締役も歴任。
2008年には「Solid Foundation Japan」を立ち上げる。
2015年 カフェ・カンパニー株式会社 取締役クオリティ本部長に就任。
2018年より「Solid Foundation Japan」の活動を再始動。
日本ホスピタリティ推進協会教育機構認定「ホスピタリティ・コーディネーター」取得
国内外、異業種異業態の飲食店舗200店舗に携わる。
 

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