開業ノウハウ

飲食店を開業するためにすべきこと 必要な資格・届出や資金調達の方法なども解説

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飲食店を開業するためには、さまざまな準備が必要です。店舗に必要な設備をそろえるだけでなく、複数の資格や届出も必要になります。この記事では、初めて飲食店を開業しようとしている人に向けて、飲食店を開業するうえで押さえておきたい基礎知識を解説します。飲食店の開業を目指している人は、ぜひ参考にしてください。
 


 

◆飲食店を開業する前に確認すべき4つのこと

◇必要な資格を取得しているか

個人で飲食店を経営する場合、複数の資格を取得する必要があります。法律により、条件に応じて必要な資格が定められています。飲食店を開業する際に必要となる具体的な資格については後述するため、詳細はそちらを確認してください。
 

◇必要となる開業資金はどれくらいか

飲食店を開業するには、開業資金だけでなく当面の運転資金も必要です。資金の目安を把握し、どのような方法で資金を調達するか考えましょう。具体的な資金の目安についても、後でくわしく解説します。
 

◇活用できる補助金や助成金はあるか

飲食店を開業するにはまとまった資金が必要であるため、全額を自分で用意するとリスクが高くなります。多くの飲食店は、返済が不要な補助金や助成金を活用しています。活用できる補助金や助成金については後述するため、あわせて参考にしてください。
 

◇事業計画を策定しているか

補助金や助成金を申請したり、融資の審査を受けたりする際は、事業計画の提出が必要です。どのように飲食店を経営するか計画し、わかりやすくまとめなければなりません。明確な根拠をもとに、売上の予測も立てましょう。
 

◆飲食店を開業するために必要なスキル

飲食店を開業するには、資格以外にも必要なスキルがあります。ここでは、飲食店の開業のために必要なスキルについて具体的に解説します。
 

◇経営能力

経営能力とは、飲食店の売上目標や資金の返済計画を立て、それをクリアしながら経営していく能力です。資金や売上金を適切に管理したり、税金についても正しく計算したりしなければなりません。衛生管理の責任も果たす必要があります。
 

◇資金調達能力

飲食店を開業するには資金が必要になるため、資金調達能力も必要です。個人で飲食店を開業する場合、日本政策金融公庫から融資を受けるケースが圧倒的に多いです。資金調達能力は、審査に通過するための能力ともいえます。
 

◇マネジメント能力

マネジメント能力は、飲食店で働くスタッフをまとめ上げる能力です。スタッフを教育し、接客や調理をきちんと行えるように指導します。スタッフの人数やシフトの調整を適切に進めるスキルも必要です。
 

◇調理能力

調理能力は、飲食店で提供する料理を作る能力です。特に、調理を任せるスタッフを雇用するまでは、自分で調理する必要があります。スタッフを雇った後、調理方法を指導するスキルも重要になります。
 

◇メニュー開発力

メニュー開発力は、飲食店で提供する料理のメニューを生み出す能力です。新しいメニューを作ったり、原価から逆算して適切な価格を設定したりする必要があります。ライバルの店の料理をチェックし、メニュー開発のヒントにするのもひとつの方法です。
 

◆飲食店の開業に必要な費用の目安

飲食店を開業するには、小規模な店舗であっても最低1,000万円前後が必要です。物件を借りるためには、賃料の10ヶ月分程度の保証金が必要だからです。また、設備を整えるための開業資金に加え、開業後の運転資金も用意しなければなりません。
 

◆飲食店の開業時に使える補助金や助成金

ここでは、飲食店の開業時に使えるさまざまな補助金や助成金について解説します。
 

◇創業補助金

創業補助金とは、新しく事業を始める場合に最大200万円の補助を受けられる制度です。補助金は、店舗の賃料や内装の工事費などに使用できます。事業計画書を提出し、国が実施する審査に合格すると補助金を受け取れる仕組みです。なお、東京都では、補助金ではなく創業助成金が用意されています。
 
※参考:創業支援に関する情報|中小機構
※参考:創業助成金(東京都中小企業振興公社)|東京都創業NET

 

◇小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金とは、従業員数が5人以下の事業者に対して補助金を支給する制度です。日本商工会議所が運営しており、最大で50万円が支給されます。経営計画書や補助事業計画書の審査が行われ、合格すると補助金を受け取れます。ただし申請時点で事業を行っていない創業予定者は補助対象にはならない点に、ご注意ください。
 
※参考:令和2年度補正予算 日本商工会議所 小規模事業者持続化補助金<コロナ特別対応型>
 

◆飲食店の開業準備の流れ

飲食店を開業するには、さまざまな準備をする必要があります。ここでは、具体的な流れを解説します。
 

◇1.コンセプトを決める

どのような飲食店を開業するかについて、コンセプトを決定しましょう。具体的には、アプローチしたい客層をイメージしたうえでコンセプトを決めるとスムーズです。ライバルのなかから自分の飲食店を選んでもらうには、魅力的なコンセプトを定める必要があります。


・コンセプトは5W1Hの要素を元に設計する

コンセプトを決めるときは、5W1Hを意識しましょう。5W1Hとは、「何を」「誰に」「どこで」「いつ」「なぜ」「どのように」の6つの要素を表しています。それぞれの要素が明確になると、飲食店のイメージもより鮮明になるでしょう。コンセプトを決めておけば、事業計画書を作成する際も具体的な内容を記載しやすくなります。
 

◇2.物件を選ぶ

飲食店を開業する物件は、開業する8~10ヶ月前には契約しておくべきです。資金調達をする前に優先的に物件を探し、魅力的な物件がみつかったら仮押さえしておきましょう。早めに物件を確保しておくと、融資の審査のために必要な事業計画書においても、家賃や出店エリアを明確に記載できます。


・内見は施工業者に同行してもらうのがおすすめ

物件を内見する際は、内装工事を依頼する予定の業者にも同行してもらうと安心です。コンセプトにあう内装工事をスムーズに進めるために役立ちます。間取りや設備の条件をチェックしてもらい、想定通りの席数を確保できるかどうか確認しましょう。
 

◇3.資金を調達する

飲食店を開業するには資金調達も重要です。資金としては、開業資金と運転資金があります。具体的に解説します。


・開業に必要な費用

飲食店を開業する場合、開業の準備に使用する開業資金が必要です。賃貸物件の保証金、設備の購入費用、内装工事の費用、原材料費など、開業前にさまざまな費用がかかるためです。また、開業資金のほかにも、開業後数ヶ月間分の運転資金を用意しておく必要があります。


・開業に必要な資金の調達方法

開業資金の調達方法は、さまざまあります。自分の貯金や金融機関からの融資だけでなく、補助金や助成金も活用して必要な資金を集められるようにしましょう。
 

◇4.資格を取得する

飲食店を開業するには、食品衛生責任者と防火管理者の資格が必要です。ただし、飲食店を開業する場合でも、調理師免許の取得は必須ではありません。以下では、食品衛生責任者と防火管理者の資格についてくわしく解説します。


・調理師免許【必須ではない】

飲食店の開業にあたっては、調理師免許はもっていなくても問題ありませんが、衛生面に配慮した料理の提供が無論必要です。ただし、調理師免許をもっていれば料理の技能の証明になるため、可能であれば取得しておくとよりよいでしょう。


・食品衛生責任者【必須】

食品衛生責任者は、飲食店における食品衛生の管理を行うための資格です。飲食店には1名以上の食品衛生責任者が必要になります。各都道府県で実施されている講習を受講し、保健所に届出を出すと食品衛生責任者の資格を取得可能です。なお、調理師や栄養士などの有資格者は、講習が免除されます。つまり「食品衛生責任者」資格を取得し、資格を持った人を、「事業所の食品衛生責任者」と定めることで飲食店を開業することが可能です。


・防火管理者【必須】

防火管理者は、店舗の防火管理を行う責任者です。収容人数が30名以上の店舗であれば必須となります。延床面積が300平米以上の店舗には甲種防火管理者、延床面積が300平米未満の店舗には乙種防火管理者が必要です。消防署が実施している講習を受講すると、防火管理者の資格を取得できます。
 

◇5.各所への申請を届け出る

飲食店を開業する際は、資格取得以外にも複数の届出が必要です。飲食店を適切に経営するためにも、漏れなく申請を済ませるようにしましょう。具体的に必要な届出については、次でくわしく解説します。
 

◆飲食店の開業時に必要な届出

◇保健所への届出

飲食店を開業する10日前頃までに、保健所へ食品営業許可申請を提出しなければなりません。食品営業許可申請はすべての飲食店に届出の義務があります。
 

◇消防署への届出


・防火管理者選任届

収容人数が30人以上の飲食店を開業する場合、消防署に対して防火管理者選任届を提出する必要があります。提出期限は、飲食店の営業を開始するときまでです。


・防火対象設備使用開始届

建物や建物の一部を新しく使い始めるときは、防火対象設備使用開始届の提出も必要です。建物を使い始める7日前までに提出します。ただし、内装業者が届出を行うケースが多いです。


・火を使用する設備等の設置届

飲食店では火を使用するため、火を使用する設備等の設置届の提出も行いましょう。火を使用する設備等の設置届は、設備を設置する前までに済ませる必要があります。
 

◇警察署への届出


・深夜酒類提供飲食店営業開始届出書

深夜12時以降にアルコールを提供する場合、深夜酒類提供飲食店営業開始届出書の提出が必要です。営業を開始する10日前までに警察署へ提出してください。


・風俗営業許可申請

客に対して接待を行うスナックやキャバクラを開業するなら、風俗営業許可申請も行わなければなりません。届出時期は、営業開始の約2ヶ月前までです。
 

◇税務署への届出

個人で飲食店を開業する人は、個人事業の開廃業等届出書を税務署に提出しましょう。提出する時期は、開業日から1ヶ月以内です。
 

◇社会保険事務所への届出

開業にあたっては、社会保険事務所に届け出て社会保険加入の手続きをする必要があります。法人は強制加入となっていますが、個人は任意加入です。明確な時期は定められておらず、速やかに行うべきとされています。
 

◇公共職業安定所への届出

従業員を雇う場合は、公共職業安定所に対して雇用保険の加入手続きをする必要があります。届出の期限は、従業員を雇用してから10日以内です。
 

◇労働基準監督署への届出

従業員を雇う場合、労働基準監督署で労災保険の加入手続きも済ませなければなりません。雇用保険の加入手続きと同様、従業員を雇用してから10日以内に行います。
 

◆まとめ

飲食店を開業するにはさまざまな準備が必要であり、まとまった資金も確保しなければなりません。資格や届出も複数義務付けられているため、着実に対応できるようにしましょう。
 
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